アンテナをなんであんな不便なところに設置するのか。
立体駐車場に入れるときにアンテナを倒す必要があるケースで、必ず服が汚れてしまう。
これはアンテナの位置を左右どちらかに寄せれば解決できる問題だ。
あんな不便なところ、というのは車の後部ハッチの中央部を指す。
これがどういう意味かと言うのは、おそらく雨の日などに立体駐車場に入れるためにアンテナを倒す作業をしたことがある人なら誰でも理解してもらえるだろう。
特に背の低い女性だったらなおさらだ。
少なくとも三本さんのこの指摘は10年近く前から聞いてるような気がするのだが、ちょっと意外なところからこれに応えるクルマが出てきた。
トヨタが10月に発売したファンカーゴ後継車、『ラクティス』がそれだ。

▲トヨタ ラクティス
ラクティスは、ヴィッツと車体を共有する派生車として登場したが、全高が1640~1660mmとけっこうな高さがあり、アンテナに手を伸ばすのは男性でもけっこう気を使う高さだ。
そうしたことがわかっていたからだろうか?トヨタはかつて三本氏が主張していたとおり、車体の右サイドにアンテナを設置した。
これならばドライバーが乗降する際にちょっと手を伸ばして高さを調整することが簡単にできる。
じゃあ、他社のクルマはどうなんだろう?ってことで主要なコンパクトカーのアンテナ取り付け位置を確認してみた。

▲ラクティスと兄弟関係にあるヴィッツ。
真ん中に設置してあるね。

▲ホンダのフィット。
これは設計が古いからしょうがないかもしれないけど、やっぱりこれも中央部だ。

▲日産ノート。
日産だったらこの辺しっかりやってくるかと思いきや、これまた中央。

▲三菱コルト。
欧州車によくあるタイプの、フロントガラス上の中央部。実はこれが一番扱いにくい。
ってことで、三本さんからお叱りを受けることの多かったトヨタが真剣に取り組んだという事実がここに残った。
ラウムやポルテで声高に主張してきたユニバーサルデザイン(誰でも普遍的に使いやすいデザイン)というキーワードだが、あまり使い勝手というところで劇的な改善を感じることは少なかった。
ただ、ラクティスのこのアンテナ取り付け位置だけは、ユニバーサルデザインと言ってもいいんじゃないだろうか?
ラクティスのWebページをみてもそんな記述はぜんぜん見当たらないが。
ってことで、やはりトヨタは層が厚いということをまざまざと見せつけられた。そんな、どうでもいいところのこだわりのお話でしたとさ。
三本さん、ラクティスをみてどう思ってるかなぁ…?
[11.18追記]
街中で見かけるのがピラーアンテナが多かったのでチェックし損ねてましたが、日産キューブも扱いやすいようにアンテナが設置してあるとのご指摘。

調べてみたら、確かにピラーアンテナに近い形で設置されてますね。
旧来、Aピラー内蔵タイプのアンテナというのが主流であったとき、ドライバーは運転席から手を伸ばしてアンテナの伸縮ができるのでカッコは良くないが、支持は高かった。
今でも、軽自動車&商用車、コンパクトカーの低位グレードではこの方式が多い。
日産キューブも、街中で見かけるのは意外にピラーアンテナ内蔵タイプだったりするが、上位グレードは同じように運転席直上部に設置されているので、簡単に調整することができる。
その意味では、ラクティスより先に服が汚れずにアンテナを操作できるようにしたのは、日産キューブが先でしたな。お見事です。
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