CS/CATVの旅チャンネルで1ヶ月半(全6回)にわたり放映されていた、『戸井十月の南米大陸大紀行』を見終わった。
作家戸井十月は、1997年よりバイクによる世界5大陸走破にチャンレジしており、北米、オーストラリア、アフリカに続く第四弾となるのが南米大陸一周の旅だ。
2005年4月~8月までの4ヶ月間にわたる旅の模様を、サポートスタッフによる密着取材によって作り上げたのがこの番組だ。
旅チャンネル10周年企画ということで放映されたが、3年前の旅なのでひょっとすると以前にも放映されたのかもしれない。
おいらはたまたま日曜日の23:00にこの番組を見つけて虜になり、最後まで見てしまった。
戸井十月が乗るのは、ホンダのアフリカツイン。
しかしアフリカツインはすでに販売が終了しており、この旅のために1997年北米大陸走破に使用したものをレストアして使うことになったのだそうだ。
アフリカツインといえば、おいらの知り合いも乗っている非常によくできたバイクだが、これに代わるバイクがホンダにないというのは残念でならない。
スタッフの乗るサポートカーは同じくホンダのMDX。トレーラーボックスを牽引する仕様に改造されている。
SUVの開発経験が浅いホンダのMDXで大丈夫なのか?という気がしないでもないが、この旅はホンダがスポンサーについているため、MDXを利用することになったんだろう。
これが後半でトラブることになるのだが、それもまた旅のエピソードに花を添えている。
ペルーのリマを出発し、 南米最南端の町プンタ・アレナスを目指し、そこから大西洋沿いに北上し、アマゾン流域から南米大陸を横断、そしてリマへと戻るルートを、立ち寄る町はある程度決めてあるものの、宿などについては行き当たりばったりという旅だったそうだ。
そのため、宿を巡るさまざまな出会いが番組中で語られ、南米の小さな町の風情にも触れることのできる、良質な旅番組に仕上がっている。
出発が遅れたために、結局最南端の町プンタ・アレナスには雪で到達することは出来ず、その手前エル・カラファテから北上するという不運に見舞われているが、戸井十月は“何かを諦めなければ前に進めないこともある”と語っている。
悔しかったろうが、これもまた旅なんだろう。
旅のクライマックスでは、自身が著書として題材にした、ペルーの革命家チェ・ゲバラがボリビアに渡ってゲリラ活動の後、捕らえられ、射殺されたイゲラの村に立ち寄る。
そして、チェ・ゲバラが埋葬されていることが10年前にわかったというバージェ・グランデの町を訪れる。
ゲバラについては、正直おいらは不勉強で、最近『モーターサイクル・ダイアリーズ』という映画のDVDを買ったこともあり、少し知っていた程度だったのだが、その思想、与えた影響、そして南米が今どうなろうとしているのか、ということに興味を持ち始めた。
興味のきっかけなんてものは、案外こういうもんだったりするもんだ。
この旅の模様は、戸井十月の著書『遥かなるゲバラの大地』でも語られており、映像には出てこなかったエピソードを補完するような役割を持っている。
併せて読んでみることをオススメする。
番組は全6回の放映を終了してしまったが、ぜひとも再放送して欲しいと思う。
ここで紹介したのも何かの縁だから、見てみたいと思う人は、旅チャンネルまでリクエストを送ってみてほしい。
それにしても、旅するオヤジというのは、かくもカッコよいものなのか。
おいらはバイク旅とまではいかないが、せめてクルマで未踏の地をあれこれ旅してみたいものだ。
いや、国内でもいいから、おいらもバイク旅というのにチャレンジしてみよう。
規模が大きければいいというものではない。自分の可能性にチャレンジすることこそが、旅なのだから。
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札幌の人