Romanticが止まらない(2)

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■眠い
東照宮、中禅寺湖、戦場ヶ原とお約束の観光地を華麗にスルーして、ひたすらロマンチックな旅は続く。
このあたりまで来ると、涼しいを通り越して寒いぐらいだ。
先日の富士登山のために買った吸汗速乾シャツのおかげで、体温を奪われずに体温調整が出来て助かった。

昼過ぎて道沿いの通りがかった蕎麦屋でひと段落したが、長居をせずに出発したのがいけなかった。
昼飯を食ったら眠くなるというのは世の常で、同じ姿勢で走り続けたこともあり疲れが出てきたのがダブルパンチとなって、再びボーっとしてきた。
いかん、ここで寝たら確実に死ぬ、という意識が頭のどこかにはあった筈なのだが、どうにも休めるようなところがない。
なんとかフラフラしながらたどり着いたのは、利根村という場所のお食事処の駐車場。
あかん、ちょっと寝る。
バイクを止めて、カバンを枕にして昼寝することにした。
照りつける太陽はまだチリチリと暑いものの、高所のため日なたで寝ていても大して暑くはなかった。

どれぐらい寝ただろうか?目を覚ますと13:30になっていた。
ちょっと寝るだけでも頭はずいぶんスッキリするもんだ。
現在地を確認して、記念撮影などをしてから再度出発。
もうちょっと走れば沼田に着く。
沼田といえば、スキーで来ることは良くあるが、今まで使ったことの無い道からやってくることで、記憶の中で点在していたそれぞれの観光地が線で結ばれることになる。
こうやって、頭の中の地図がどんどん広がっていく感覚というのは、ツーリングやドライブの醍醐味というものだ。


■表示がない
ほどなくして沼田に到着。時刻は14:30を回っていた。
ロマンチック街道を走り出してから4時間半。ペース配分がいいのか悪いのか見当もつかないが、全体の行程のまだ半分も走ってない。
ちょっと先を急いだほうがいいようだ、という判断から水上方面へ行くのを諦めた(っていうか、行く気だったのかよ)

沼田を越えたあたりから、ロマンチック街道がどこなのか標識がほとんど見つからなかった。
沼田の市役所を超えて、国道17号と合流して、そこから国道145号を走ればいいはずなのだが、その国道145号がどこにあるのかぜんぜんわからない。
ウロウロしながら月夜野のIC近くまで行き、逆方面であることを確認して戻ることで20分ほどムダにした。
この辺、少なくとも観光名所としてアピールしたいのなら標識を多く出すなど改善が必要だろう。

国道145号に復帰すると、途中、高山村 ロックハート城の前を通りかかった。CMなどで名前をよく耳にしていたが、なんだこんなところにあったのか。
日光の東武ワールドスクウェアと並んで、あんまり期待しすぎると肩透かしを食うものの、どういった構造になっているのかというのを観るには十分な施設だと思うので、近くに行ったら是非立ち寄ってみるといいだろう。
今回は時間が無く気持ちにも余裕がなかったので華麗にスルーしたんだけどね。
割とこういった施設は好きなので、今度時間を作ってちゃんと訪れてみようと思う。


■I got it.
吾妻、長野原と経由して、軽井沢に向かう途中に急激に天気が怪しくなってきた。
ポツポツとバイザーに雨が当たったと思ったら、いきなりスコール級の雨に見舞われた。
雲を見るとまだら模様に低い雲が続いてるので、通り雨であるのは間違いなさそうだが、周りを見回しても雨宿りが出来るような場所が無い。
しょうがないのでウィンドブレーカーを羽織って、スローペースで走り続けた。
ここで、レインウェアのズボンを忘れたのが響いた。
上半身の雨を防げても、そのしずくがGパンを濡らすのだ。しかも、雨が道路に溜まってしまうので、それを掻き分けながら走れば当然シューズもびしょびしょになってしまう。
あぁ、気持ちが悪い。
半ばベソをかきながら、それでも軽井沢にはなんとか到着できた。
ここからは小諸を経由して上田まであと30kmぐらいだ。
空もなんとか持ち直したようだし、ここは一気にゴールまで向かってしまおう。

ってことで、軽井沢を観光することもなく、華麗にスルー。一路小諸を目指したのだった。
心なしか、小諸~上田間を走る国道18号線には、ロマンチック街道である標識がほとんど見られなかった。
本当にここでいいんだろうか?とりあえず大きくは外れてないはずなのでそのまま走ったが、なんかゴール近くだというのに感慨があまり沸いてこない。
演出不足の感が否めないなぁ。

そして、ゴールがどこだかわからないので、上田駅や上田市役所の周りをウロウロとして、一応ここがコールだ、と自分を納得させることにした。

やったぁ、おいらはついにやり遂げたぞ!



っていうほど熱い感動はこみ上げてこなかったが、それでも充実感というのは感じられた…ような気がする。


■そして僕は途方にくれる
さて、ゴールしたからには帰らなければいけない。
ガソリンスタンドで給油をしつつ、ここから関東にどうやって帰ったらいいか、店員に相談する。
上信越道を走って帰れ、と言われるが、地図を見ると上信越道はそのまま関越に合流するルートになる。

「なんか遠回りだなぁ」

などと考えてしまったのがいけなかった。
遠回りでも高速道路を走れば、安全に帰ってくることができるはずなのに。
などとこうして今は冷静に書いているが、その場のおいらは冷静な判断能力を失っていた。

ざっと地図を見て欲しい。

左上にある上田から、東京に戻るルートとして、佐久から南下すれば中央道の韮崎にぶつかるじゃん。
そこから中央道を帰ってくればぜんぜん早いじゃん。

という判断をなぜ下したのか、今となっては思い出せない。
この期に及んで、まだ知らないルートを走りたいという欲求があったからかもしれない。
拘束料金がもったいない、という判断だったのかもしれない。

とにかく、おいらは何故か、佐久を目指して走り出してしまった。

そして、トラブルは突然押し寄せる。
空模様が怪しいと思ったすぐに、再び大粒の雨が降り出した。
先ほどの雨はまだ優しい方だった。
とにかく、雨が激しすぎて前が見えない。
この界隈の道路は水捌けが余りよくなくて、みるみるうちに水を掻き分けて走るような状態になってしまった。
さすがにこれはマズいと判断して、なんかあんまり旨くなさそうなラーメン屋に飛び込んだ。

タンタン麺をオーダーして、とにかく濡れた服を乾かす事に専念した。
10分で食べ終わって外を見ると、雨は一向に止む気配がない。
どうすることもできないので、ひたすら水を飲み続け、本を読むフリをして時間を潰す。
1時間を経過したところで、店員の刺すような視線に我慢できずに、ラーメン屋を出ることにした。
幸いにして、雨はちょっとの間上がっているようだった。
これ幸いと出発したら、また降り出したので今度はカラオケ屋に飛び込んだ。

自分からカラオケ屋に入ろうと思ったのはこれが初めてかもしれない(笑)

なんとなく電グルと筋少を歌ってから、ふと思った。
これからの行程をどうするか考えなければいけない。
が、こんなこともあろうかと、ノートPCを用意しておいたんだ。
レインウェアは忘れても、ノートPCは忘れないこの意味不明な優先順位。


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