NO BORDER…?

国際宇宙ステーション(ISS)で撮影されたという日清カップヌードルのCMがかなりヘヴィローテーションで流されている。

宇宙で撮影した事実


以外に、取り立てて注目すべき点がなかったというのは言いすぎだろうか?

窓から見える地球をバックに「NO BORDER」のメッセージ。
絵としては非常にキレイなんだけど、アングルというか企画段階で見せようとしたシーンが十分撮れなかったのかな?という印象を受けた。
遊泳しながら宇宙食のラーメンを食べるところも、何十回と撮りなおしをしたらしいが、なんかあんまり楽しそうじゃない。
宇宙飛行士に笑顔の演技をしろといってもムリな話ではあると思うが、地球から遥か離れた宇宙の地でも、カップヌードルが皆に食べられてるんだよ、という説明としては若干インパクトが弱い映像に思えて仕方がないのだ。
おそらくCG合成してスタジオで撮影したほうが、CMとして魅せるべきポイントは多くなったと思われる。
例えるならば、アニメやCGによる戦闘シーンに比べると、実際にカメラを回して俳優が戦闘シーンを演じるほうがなんとなくチープに感じられるようになってしまった、そんな感覚に近い。ヴァーチャルな映像に慣れ過ぎてしまったことによる弊害だろうか。

 このシリーズ企画の当初から、制作スタッフには「いずれはBORDERのない世界を描きたい」との強い思いがありました。「人が勝手に作り出したBORDERを消すことが、なぜこんなに難しいのか。」という疑問を「本来、この地球上にBORDERなんてないはずだ。」という直接的な表現でCFにすることにしました。今回のCFで描く「究極のNO BORDERな世界」―――それが≪宇宙≫そして≪宇宙から見た地球≫なのです。

 舞台は、地球上空400kmの周回軌道に位置する国際宇宙ステーション(ISS)の中。そこで、宇宙飛行士がカップヌードルを食べようとします。空中に浮遊するカップヌードルとフォークを手にし、給湯ノズルからお湯を満たし、数分待つとカップヌードルの出来上がり。・・・ここで彼はふと何かを想い、窓辺に移動します。窓外に広がる青い地球を見ながら、カップヌードルを食べようというのです。遥か眼下には、地球上で帰りを待つ彼の家族や友人達がいるはずです。そして母なる地球には地図で見るような国境もなく、ただひたすら青い海と白い雲、そして力強い大地が広がるだけです。しかしそこには様々なBORDERが存在し、その両側で幾多の争いが繰り広げられているのです。「この星に、BORDERなんてない。」宇宙飛行士のつぶやきのように、画面に文字が現れます。


さすがに世界規模で売れてる製品の広告は企画段階から考えることがデカい。
企画意図からすれば、宇宙で撮影すること自体に意義があったのだろう。その事実を以って、NO BORDERを訴える。その筋の通し方にはまったく異論がないのだが、CMのインパクトとして、ちょっと訴えかけるものが希薄に感じられたのは、やはりおいらを含めて消費者の視線が濁ってしまっているからなのか?
スペシャルサイトのメイキングを一通り見ることで、CMの裏側を理解することができ、初めてどれだけすごいCMなのかは理解できた。
ただ、すべての人がサイトに訪れるわけではないだろう。
究極のショートフィルムであるCMにおいて、伝えたいことがきちんと伝わったのか。送り手も受け手も、一度考えてみる必要があるのかもしれない。


余談だが、日清がNO BORDERを宇宙から訴えることに労力を割いている片方で、こんな話もある。

希望を失った宇宙ステーション日本モジュール「きぼう」

おいらが初めての海外旅行でヒューストンのNASAを訪れたとき、訓練施設ではスペースシャトルにどうやってISSの各国のモジュールを積み込むかという実験が行われていた。
そこでおいらは、宇宙開拓時代を迎えるにあたり、各国が利害を超えて協力関係をつくっていくんだろうな、とワクワクしながらその光景を眺めていた。
しかし、あれから8年経って、ISSはアメリカが撤退を匂わすなど利害の衝突が表面化しつつある。まさしく、利害というBORDERを高くしてしまっている
また、日本が多額のコストを掛けて開発してきたモジュールすら、ISSの待つ宇宙に運べなくなるかもしれないという状況を目の当たりにしてしまうと、日清が訴えるNO BORDERというメッセージがむしろ皮肉のようにも聞こえてしまう。
BORDERは確かにある。しかし、それはそれで受け入れることが重要なのではないか。
そこから、利害を超えてBORDERを低くする努力を続けることが次へのステップになるのではないか。そしてそれは恐らく、政治の役割になるのだと思う。

なんか、今回のCMはこういったいろんなことを考えさせられるきっかけになった気がする。

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