それはすなわち、個人情報を売ってるだけなんじゃないのか?
未来的すぎて失敗した新手法 「WiLL」をトヨタが復活
迷走を続けていたトヨタのG-BOOK事業だが、利用者ほったらかしのハードウェアバージョンアップを何回か繰り返し、ようやく現実的な通信環境が整うところまできた。
じゃあこれで何をしようかと考えたトヨタが打ち出した施策は、利用者の走行データを吸い上げ、それを金に変えることだった。
カーテレマティクスの未来って、こんなもんだったんかい?
ホンダはインターナビにおいてフローティングカーデータの収集と、それを反映することでより精度の高い渋滞情報提供を実現した。
もちろんそれだけではないが、すべての月額料金を払うユーザーが等しく得られる明確なメリットがそこには存在する。
それに対してトヨタがやろうとしていることは、顧客の走行データを収集することでそれを商売に結びつけるという、いかにもトヨタ的な発想だ。
確かに、走行距離に応じた自動車保険の料金体系ができると便利であることは否定しない。
しかし、その根拠となる走行距離の把握にG-BOOK mXを使うというのは、この保険に加入する気のない他のユーザーに対するメリットが一切ない。
まさか、保険までトヨタグループに縛られなければならないなんて無粋なことにはならないだろうな?
今は走行距離データだけだが、そのうち走行ルート履歴まで吸い上げられて、嗜好から何から全部把握したいって言い出すに決まってるぞ。
(ルート履歴で把握できれば、いつ、どんなところに立ち寄ったかという喉から手が出るほど欲しいマーケティングデータが簡単に手に入る)
こんな愚策はトヨタだけでやってりゃいいだけの話だが、困ったことにトヨタはなんとしてでも利用者を増やしたいという思惑から、G-BOOKmXのライセンス提供をし始めた。
先日発表されたマツダの新型アテンザには、このG-BOOKmXがメーカーオプションのナビとして設定されている。
なぁ、マツダさんよ。
今からでもいいからホンダにインターナビのライセンス交渉してこいよ。
あんたのところに、G-BOOKmXを搭載して喜ぶ客はいないでしょうが。
マツダはG-BOOKmXを採用してしまったが、ホンダはインターナビをもっと広めるために他メーカーへの外販施策を採った方がいい。
交通渋滞の解消は、Co2削減ならびに無駄な燃料消費を抑えることができる。
保険料金を抑えることではエコにまったく貢献しないが、インターナビのそれは目に見える形でエコロジーに貢献できるし、その方がよほど世の中のためだ。
かつてWeb2.0なる言葉が流行った時に持て囃されたコトバ、『集合知』。
インターナビのフローティングカーデータの活用は、まさに『集合知』そのものに他ならない。
自分の走行軌跡情報を提供し、それを一箇所に集めて利用者みんなで情報を共有しようとする発想。
トヨタ的な視点でデータを活用する方法もあっただろうが、ホンダは匿名性を活かす事で形作られた集合知のメリットを前面に出した。
結果としてそれがユーザーに受け入れられ、50万人以上のアクティブな会員を生み出した。
ホンダ自身があまり宣伝が上手くないため、どれだけすごい事かというのがイマイチ伝わりにくいが、少なくともトヨタの数歩先を行っている。
カーテレマティクスについては、さまざまな可能性を秘めており、消費者はどんな驚くサービスが出てくるのかワクワクして待っている。
それに対して一番研究に金を使える立場にいるトヨタがこの程度の発想しかできないというのは、逆の意味でビックリだ。
この記事へのコメント
ねお電人
実際使ってみると良くわかりますが、色々な部分がコンセプト倒れでしたね。
通信速度が遅すぎて施設検索なんかするより電話してオペレータ呼んだほうが断然早かったし。
ナビと連動して近くにいるサイファがGoogleMapよろしくアイコン表示されたり、GAZOOと連動したマイルマラソンキャンペーンとかやってたみたいですが、全て「余興」レベルであって、実用的な要素が皆無でした。トヨタのくせにw
多分GAZOOとかWILLとかのチャラけた企画ぶったてた連中とか、通信回線独占したKDDIにも責任の一端はあるんじゃないかなーなんて思っちゃったりしてそこんとこよろしくさんじゅうろく、みたいな。
ところでインターナビもWindows AutoMotiveだったんですね。