インフラとしての無線ネットワーク環境

 
発売日に購入したiPod touchを1週間で手放す気になったのは、まだ日本ではiPod
touch を使うためのインフラ整備が十分じゃないから、というのが理由だった。

シリコンメディア搭載で、容量が8GB~16GBのiPod touch は、YouTubeの映像や動画などを、従来のiPod classicなどのようにiPodに保存して持ち歩くのではなく、無線LAN環境に接続して都度ダウンロードして使うことをコンセプトとしている。
そのためのインフラとして、無線LANがどこでも使えることを前提としたコンセプトになっている。

iPhoneの場合は、無線LANがない環境でも、電話回線を使ったデータ通信によってデータを取ってくることが出来るから、高速な無線LAN、どこでも使える電話回線のデータ通信と補完しあって使うことができる。

そう考えると、公衆無線LANが広がりつつあるアメリカでさえiPod touch は使うインフラが限られている状況なのだから、日本においてはもっと不便を強いられることになる。
つまり、日本においてもiPhoneでなければそのコンセプトを十分活かす事ができないということになる。
まぁ、Newton以来のAppleひさびさのPDAして考えるのであれば、iPod touch も悪くはないんだろうが。

ってことで、購入してこれまた早々に売り払ったソニーのmyloの例を挙げるまでもなく、インフラとしての無線LANが整備されない限り、この手のネットガジェットがブレイクするのは難しいと思うわけだ。

じゃあ、公衆無線LANの状況はどうかというと、いくつかの会社が独自のサービスを展開しているが、どれも展開エリアと相互利用に問題があり、月額費用を払って便利に使える気がしない。
そこに目を付けたのだろうか、ヨドバシカメラが動いた。

ヨドバシだけで申し込める月額380円使い放題の公衆無線LANサービス

ヨドバシ店舗で展開している独自の無線LANネットワーク(無料)以外にも、既存のサービスを低コストで相互利用を可能にした、という謳い文句のようだ。

利用できるネットワークは、「BBモバイルポイント」「livedoor Wireless」「みあこネット」「成田空港Airport」の公衆無線LANサービスが使い放題になる。別途945円を支払うことで、「フレッツ・スポット」の利用も可能。

ということだ。
それぞれのサービス概要と展開エリアはこんな感じ。

■BBモバイル
サービス展開エリア

3500のアクセスポイントと、利用できる中では唯一全国展開をしている無線LANサービス。
マクドナルドや駅、空港などの一部で利用可能ではあるものの、主要な箇所にしか展開していないため、使いたいと思ったときに即時利用できるかというと、そこまでの利便性はない。


■Livedoor Wireless
Livedoor Wirelessのサービス概要
サービス展開エリア

現在の無線LANの特性上、設置されている基地局の数だけで山手線内の8割をカバーっていう宣伝文句は大ウソだよなw


■みあこネット
サービス展開エリア

京都のサービスが利用できるといってもねぇ…
アクセスポイントの数がまだまだだから、むしろ使える場所を探す方が大変。


成田空港Airport 無線LANサービス
・文字通り成田空港内。プロバイダと契約していれば無線LAN利用そのものは無料


ここまでの利用で月額380円ということになる。
うーん…BBモバイル以外はどうでもいいような気がする。
これに加えて、月額に+945円を加えると、Flet's Spotが利用可能となる。

■Flet's Spot
東日本のサービスエリア
西日本のサービスエリア

NTT東&西日本が展開する無線LANサービスなので、対応アクセスポイントは6600以上(2006.11現在)
主要駅、施設が対応している点は心強いが、フロアが違ったら使えないというデメリットもあったりする。

もうひとつの主要無線LANサービスである、HotSpotが対象になっていないので、まだまだ不十分というところか。


他にもFONを使って自宅にアクセスポイントを開設することで、世界中のFONアクセスポイントを利用できる相互扶助のようなネットワークを使うという手法もあるが、自分のネットワークを開放して使わせるという性格上、ビジネス街などネットワークセキュリティの厳しい場所にはほとんどアクセスポイントが存在しない。


ここまでカバーできて、初めて便利に使えるといった感じになるだろう。
ただ、それぞれのサービスを使えるかどうか、事前に確認が必要になるため、
(1)無線LANを使いたい状況になる
(2)ケータイなどでサービスエリア検索をする
(3)最寄のサービススポットへ移動する
(4)利用を開始する

この4つの手順を踏まなければならない。
…めんどくさい。

進化の著しいケータイを使えば、即インターネットへアクセスが可能な状況があるため、わざわざこんな手順を踏まなければならないインフラというのは使いづらい。
(だからこそケータイの定額プランがここまで支持されているのだろう)

いつでもどこでもインターネットという環境には、WiMAXのインフラが整うのを待つか、ケータイの回線を利用した定額プランのほうがまだまだ現実的だ。
おいらがWILLCOMのPHS回線にこだわるのは、256Kという低速ではあるものの全国ほぼどこでも使えるという利便性を重視したからに他ならない。
他にも、ケータイ陣営の2社(ドコモとKDDI)から、定額サービスの開始がアナウンスされている。

■NTTドコモ
定額データプラン HIGH-SPEED

通信カードが別途必要なため、iPod touchみたいなデバイスは使えないが、実質月額10000円で、384k~最大3.6MBの通信が可能。
使えるプロトコルに制限があったりするが、ドコモのFOMAが使えるエリアであれば全国どこでも利用可能。このメリットは大きい。

■au KDDI
KDDI、PC向けデータ定額プランと専用データカード「W05K」を発表

スペックどおりのパフォーマンスが出るのであれば、現時点で最もバランスの取れた無線環境と言える。
通信カードが別途必要なのはドコモと同じだが、月額最大7000円程度で上り最大1.8Mbps/下り最大3.1Mbpsの通信が可能であれば出先の用途としては十分と言える。


こうして見ると、インフラとしていつでもどこでも利用したいと考えるなら、当面はケータイ各社のサービスを利用するのが得策だ。

しかし、それとは別の視点で、街ぐるみでの通信環境を整備するといった行政からの視点というのがあってもいい。
秋葉原などはいろんな無線LANサービスが展開されていて、実質的に街全体に無線LAN環境が整備されたと言っていい状況になる。

これは、観光資源として有効に活用する方法もあるはずだ。
ショッピングモールが集まるエリア、観光名所が多いエリアなどは、公共無線LANを敷き、ブラウザベースで情報配信すればそれだけで客のメリットに繋がる。

課金の有無はそれぞれのエリアに任せることにして、まずは全国統一で使えるアカウントIDを整備するような動きがあっていいんじゃないかと思う。
ヨドバシカメラの仕組みが全国に広がったら、その役割を果たすことになるのかもね。

電気、ガス、水道、電話に続くインフラとして、ネットワーク環境というのはもはや避けては通れない必須インフラなんだから、ここらでひとつ国を挙げて大きな仕掛けをして欲しいもんだ。

それで広がるものすごい潜在市場もあるわけだから。
  


この記事へのコメント

  • ねお電人

    W05Kはあまり速度が出てない(1Mがやっと、全国8割のエリアでは平均で80k…)という状態のようです。
    ttp://d.hatena.ne.jp/magisystem/20071222#1198315079
    2007年12月24日 01:12

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