Tの終焉

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“富士通から2008年春モデル”が発表になった。
その中でも地味に注目されるのが、メインストリームシリーズの中で最小モデルであるLOOX Rシリーズというが追加されたこと、それに伴い従来までラインナップされていたTシリーズがなくなったこと。

富士通、1.27Kgの新ノートLOOX R70Y - 12.1型ワイド液晶、バッテリ11.7時間

小型ボディで長時間稼動ができる2スピンドルモデルという特徴から、実質的にTシリーズの後継がRシリーズになったといえる。
それに伴いRシリーズは、ターゲットを従来のホビーユーザからビジネスユーザへと変更している。

コンセプトは変わらずとも、ネーミングからTシリーズがなくなったという事実に、ちょっとだけ寂しい思いがする。
というのも、初代から数えて都合3台のTシリーズを使ってきた経験から、こんなに優れたノートPCはないと感じていたから。

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▲初代LOOX T5/53


初代LOOX Tシリーズは、1スピンドルモデルである同Sシリーズと共に、今は亡きトランスメタのCrusoeというMPUを搭載した初のモデルとして登場した。
インテルCPUの不甲斐なさとは対照的に、処理速度を犠牲にせず低電力を実現、それが長時間稼動を可能にしたという触れ込みで、当時のモバイル環境に衝撃を与えた名機だ。
発熱も思ったほど熱くならず、驚いたことに冷却ファンレス構造になっていた。
モバイル環境でこのファンレスというのは結構重要で、静かな部屋でもベッドの片隅でも、静かな状態で使用できることが非常に歓迎された。

実際そのパフォーマンスは、言われていたほど優れてはいなかったものの、心底Crusoeに惚れ込んでたおいら達LOOXオーナーは、

「最初のモデルはまだ最適化が進んでないだけさ。これからもっと良くなるって雑誌でも言ってるじゃん!」

みたいに擁護しつつ、新しいモデルが出るたびに我先に買い替えをしたもんだった。

衝撃的な初代(T5/53)、ボディ形状が変わった二代目(T9/80M)、最後に買ったCrusoeとしては最終モデルの三代目(T93C)と買った頃は、Crusoeなのに冷却ファンがブンブンとうるさいマシンになってしまい、しかもパフォーマンスはちっとも良くならなかった。

「Crusoeって実は大したことないんじゃない?」

という疑念を抱いていたところに、渋谷の歩道橋の上からT93Cが落下。見事3つのパーツに飛び散ったことでおいらのLOOX Tシリーズとの生活は終焉を迎えた。

次のモデルを買おうとした頃、LOOX TシリーズはインテルのCPUを搭載した猛烈に発熱と電力消費の激しいマシンと化しており、初代の志はどこかに行ってしまっていた。
その代わりに目に入ったのが、ビジネスユースに特化することでロングライフと超軽量というコンセプトのパナソニックの2スピンドルノート、Let's Note Wシリーズだった。

好不調の波が激しいパナソニックのノートPCシリーズにあって、Let's Note W/T/Rシリーズは抜群の使い勝手を誇り、その魅力にとりつかれたおいらはあっさりと富士通を棄てたのでした。
おかげさまでその時購入したLet's Note W2Bは先日まで4年間きっちりと動いてくれました。

その後もインテルCPUを搭載し続け、発熱地獄だのヒンジクラッシャーだの最大512MBダセぇだのと言われ続けたLOOX Tシリーズ。
そのコンセプトはホビーユーザをターゲットにし続けることで、基本性能そっちのけでテレビチューナーやテカテカ液晶を搭載したり、妙に豪華なDVD±Rドライブを搭載するなど、モバイルするには不要な機能てんこ盛りになってしまった。
売り上げランキングでもLOOX Tシリーズを目にすることもほとんどなくなり、市場とのミスマッチをやっと富士通が理解したということが、今回のRシリーズへと繋がったのだと解釈したい。

タッチパッドやキーボードサイズの改良、液晶画面を拡大といった、ビジネスユースに必須とされる基本性能が上がり、光学ドライブを取り外すことでほぼ1kgまで軽量化できたり、そこに予備バッテリを搭載することでさらに長時間使えるという初代LOOX Tからの利点が加わることで、ビジネスにもホビーにも使える優れたマシンとして完成された。

そう、小型ノートPCはビジネスユースできちんと使える事が前提で、その付加要素としてホビー性能が求められるわけだ。
ずいぶん長く掛かったが、初代Tシリーズの目指したことがやっとRシリーズになることで実際に使えるカタチとして具現化したと言える。
あとは、クソVista BusinessからXP Professionalへのダウングレードを永年提供してくれれば、おいらマジで欲しいですよ。

残念ながら、つい3週間前にW2Bが完全に壊れてしまったので、同世代の同じくLet's Note T2Cに買い換えたばかりなんだな。
こいつであと2年は戦うつもりなので、必要になった頃にオークションで買うかもしれんです。

うん、こういうのはタイミングが重要なんだよ。残念、残念。
  
 

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