ショッピングモールを作ると人が集まる。
ショッピングモールへ人はクルマで来る。
だったら、クルマをショッピングモールの主役にしてしまおう。
そんなことを考えた我らがトヨタさん。
発展に著しい港北エリアからちょっと外れたところに大きな商業施設をオープンさせた。
その名も、Tressa(トレッサ)横浜
昨年11月のプレスリリースでは、
「暮らしにクオリティを求めるお客様に発見・感動・集いの場を提供します。~クルマと愉しむ豊かな生活~」
という施設コンセプトを打ち出している。
大阪、岐阜に続く、3つ目のディーラー&ショッピング複合「オートモール」ということになるが、港北エリアということを想定してコンセプトを変えてきている。
さて、トヨタがショッピングモールを運営する、という切り口には2つの意味があると思う。
まず、クルマという消費財は、購入するだけではなくてその後もメンテナンスや車検など、顧客とディーラーとの接点を持ち続けなければいけない特殊性がある。
大規模な修理の場合はディーラーにクルマを預ける必要が出てくるが、初回の車検やちょっとした点検など大抵の場合は1時間程度預けておけば作業は完了する。
ただし、その1時間をディーラーで待たされると、顧客側はやることがなくただ営業マンとつまらない話で時間を潰すことになる。かといって、一度帰ってまた出直してくるには半端な時間だ。
そのため、各ディーラーでは点検時間を短縮したり、試乗車に乗ってもらったりするなど、待ち時間を飽きさせない工夫をしてきたわけだが、そもそもクルマにあまり興味がない顧客にとっては、試乗車があったとしてもそれほど食いついては来ないだろう。
じゃあ、その待ち時間をどうやって有効活用してもらうか?ショッピングというのは有効な手段だろう。
今でも、ディーラーにクルマを預け、近隣のショッピングモールに買い物に行く顧客がいないわけではない。
何もトヨタがディーラー併設のショッピングモールを作る意味などないのでは?と考えがちだが、トヨタにしてみれば、ショッピングモールを運営することで、待ち時間に顧客が買い物をしたら、その売り上げの一部がテナント料としてまたトヨタに還元されることになるわけで、待ち時間を使ってさらに顧客からお金を取ろうという非常に
優れたビジネスモデルであるということだ。
そしてもうひとつ。
ショッピングモールとは、そもそもショウルームであるということだ。
週末になると、郊外のショッピングモールの一角に、地場のディーラーがクルマを展示してたりするのを目にしたことがあるだろう。
ショッピングをしに来ている=購買意欲が高まっている消費者に対して、魅力的なクルマを見せることは、自分から思い立ってディーラーへ見に行くというアクションよりクルマを購入させるためのハードルが低くなる。
ただ、モールの一角を借りての展示では内容も絞込みをせざるを得ず、アピールしたいクルマを思い通りに見せることができない。
しかし、ディーラー自らがショッピングモールに店を出せば、そこでの展示はやりたい放題だ。
一番人通りのあるところに、一番アピールしたいクルマを並べることができる。
消費者にとっても、いろんなディーラーをそれぞれ訪れることなく、ズラっと並んだ車種の中から自分の好みの一台を選ぶことができるようになる。
しかも、ショッピングのついでに。
ただしこれは、トヨタというフルラインナップ(=低価格から高級車までニーズに合わせた車種を多く持つ)メーカーだからこそ出来る話だ。
ラインナップの少ないホンダや日産、車種の少ないマツダでは、単独でこうした動きはできにくい。
こう考えると、アムラックスや、お台場のメガウェブなど、ショウルームの取り組みをあれこれやって研究してきたトヨタが行き着いた結論であるということがわかる。
さて、そのコンセプトの具現化として、全体の半分にあたる北棟がオープンしたトレッサ横浜とは、いったいどんな感じだったのか!?
ってことで疲れたのでつづく。
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MC-774