新型デミオをどう解釈するのか?(1)

newDEMIO.jpg

デミオという車種の歴史を知るものにとって、この命題に対する答えは非常に複雑だ。

スカイラインが、狂信的なファンによるリアコンビランプは丸型デザインでなければならない的な固定観念に捕らわれすぎて身動きができなくなってしまったように、デミオもコンパクトなのに積載量に優れたミニワゴンとしてのみ進化を義務付けられたのだとしたら、それはそれで袋小路に迷い込んでしまっただろう、という主張はわからないでもない。。

しかし、デミオはある意味マツダを象徴するクルマだ。トヨタで言えばカローラみたいなもんだ。
その象徴が、異なるコンセプトで進化を遂げたのを目の当たりにすると、初代からのデミオファンにとっては戸惑うことも多かったりするわけで。

マツダの象徴としてRX-7を挙げる者も多いが、おいらはデミオこそがマツダのDNAだと思っている。

理由は簡単。

会社は存続してこそ意味があるわけで、どれだけクルマとしての出来が良くても売れなくては意味がない。
デミオはクルマとしての出来が良く、結果としてそれが市場から支持されてシリーズ累計100万台の販売を達成した車種だ。

死にそうなマツダが死ぬ気で作ったクルマ。

それが初代デミオであったわけだ。

デミオの魅力をもう一度おさらいしてみると、

 (1)コンパクトなのに、驚くほどの積載性を実現した
 (2)ミニワゴンというカテゴリを切り開いた
 (3)旧型レビューのプラットフォームを使って安く開発できた

といったところか。
特に、ハッチバックといえばセダンのお尻をそぎ落としたようなクルマばかりだったところに、背高ワゴンの積載性とコンパクトであるということを両立させて登場したのだから、その衝撃は大きかった。
MBAの有名選手だったビッペンを採用した妙なCMの『小さく見えて大きく乗れる』という秀逸なコピーどおりの車種だったことが、当時のRVブームのにも乗って大きく支持されたわけだ。
だって、自転車もキャンプ道具も積み込めるクルマだったら、それでいいじゃん。

それを実現したのは、ハコ型のデザインと苦肉の策が生み出したリアサスペンション。リアハッチの開口部の広さ、ならびに多彩なシートアレンジだった。

まだブランド力を回復していなかったマツダディーラーにあって、モデル末期は大盤振る舞いの値引きで、発売から末期まで販売台数においてトヨタの数ある車種と同等のバトルを繰り広げたのだから、そりゃもう見てて痛快だった。

二代目のデミオは2002年に発表されたが、この時はすでにフィットやヴィッツといった同等のコンセプトの車種が他社から発売されていたこともあり、やや精彩を欠いたのは事実だが、それでも復活マツダを象徴するようにZoomZoomコンセプトの元、初代の使い勝手をそのままに、走りの性能を高めて登場した。
10・15モードが17.2km/Lと、フィットなどに比べて3~5km/L少なかった事が、燃費戦争真っ最中にはマイナスに働いたようだが、実用燃費においてはそれ程大きな差はなかったことが、e燃費のデータなどからも実証されている。
その意味では、マツダは実直すぎて宣伝がヘタだなぁ、などと思ったもんだ。

クルマとしては非常に良くできていたが、割と早いタイミングで三代目にバトンタッチとなり、今回の新型デミオの発表につながったわけだ。

そして今、実車を目の前にして、おいらの気持ちは非常に複雑だったりする。

これって、デミオなのか…???



(つづく)

関連記事
新型デミオをどう解釈するのか?(2)
新型デミオをどう解釈するのか?(3)
新型デミオをどう解釈するか?(番外編)

この記事へのコメント

  • ねお電人

    続編に期待。
    ちなみに先日アキバに入った時、路上駐車している実車を見ました。
    でかくなってもっさり感が出たVitzをぎゅっと縮め直したような見た目は、そんなに悪くないと思いましたけどね。
    2007年07月27日 06:58
  • だっしゅ

    はじめまして。2代目デミオに乗ってます。
    5年乗ってますが走り、性能等非常に満足しています。新型が出ましたがすごくいいデザインの車だなと思いました。
    デミオの積載性ですが、5年で2度程こんなに積めるのかと感心したことがありますが,私みたいに殆ど1,2人乗車で荷物をあまり積まないユーザーには今度のコンセプトは大賛成です。
    正直DYのデザインはエアロパーツを付けないとかっこいいと思わなかったので。新型はノーマルでもかっこいいので乗換えたいと思う車です。
    2007年07月27日 18:25
  • ROMA

    初代デミオの企画をした者です。
    ヒットの理由はご指摘の3点と思いますが、まさに企画どおりです。実はM2という企画会社でお客様の声をいろいろ聞いていると、小さなMPVをレビューベースで作ればいいじゃないの、という声が多く、それをそのまま具体化するとヒットした、という経緯があります。
    今新型のマイナーを買おうとして待っていますが、地震の影響もあり、さてどうなりますか。
    2011年05月05日 19:41
  • 海鮮丼太郎

    >ROMAさま
    連休を忙しく動いていたもので遅レス大変失礼しました。
    初代デミオの企画に携わられていた方にコメント付けて頂けるなんて光栄です。

    M2でそうした経緯があったんですね。
    当時マツダに勤めていた友人からもいろいろとエピソードを聞きました。
    初代デミオは間違いなく歴史に残るクルマだと思いますので、是非とも開発秘話などを語って頂けると嬉しいですね。
    BLOGも拝見させて頂きます。

    2011年05月07日 09:14

この記事へのトラックバック