立体駐車場に収まる大きさのクルマえらび


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忙しい忙しい。

などと言ってるうちに半年以上更新が滞って、もう止めようか?みたいな気分になるときと、思考を整理する上でなにかまとめておきたいという衝動に駆られるときと、まぁ人の感情には波がありまして。

そのなわけで、久しぶりの更新です。


日本のクルマを取り巻くインフラは昨今でこそ改善の兆しを見せつつありますが、昭和の時代に設計された道路や駐車場にはいまだに大きな制約が残っていたりします。

居住に適した国土が限られる中で、特に都市部は戦後の復興における無計画な都市開発などにより複雑化した区画とそれを縫うように湾曲した道路が存在するなど、クルマを運転する上で決して恵まれた環境であるとは言えません。

そのようなインフラで運転するのに適しているという理由で、日本ではコンパクトなクルマのニーズが高い、いわゆる「5ナンバー信仰」があったと言えます。
この長らく続いたコンパクトカーを好む国民性が、駐車場インフラにおけるスペースの改善が進まない一因にもなっていました。

そんなわけで、未だに都市部では

全幅1,800mm
全高1,550mm

というサイズの制限がある駐車場が多かったりします。

特にマンションに併設の機械式立体駐車場はこのサイズ制限があるところが多く、建設された時期(昭和〜平成初期、平成中期以降、現在)によっても制限の条件が異なっていたりします。

一例を挙げるとすると、平成初期からのミニバンブームによって機械式立体駐車場の全高制限が緩和する傾向が見られます。
流行のクルマが収納できることが駐車場に求められたから、と考えればわかりやすいでしょうか。

とはいえ、全ての駐車場がこうした制限緩和に動いたわけではなく、また一度建設すると構造上30年近くは刷新(作り直し)できない機械式立体駐車場が多数存在しているのはこれまた事実であって、自動車メーカー各社もこのサイズ制限というのを無視することができない状況ではあります。

クルマの開発競争において各メーカーとも基本的にはサイズの拡大傾向が続いていましたが、トヨタ車の最高峰にあったクラウンでさえ、全幅1,800mm、全高1,550mmを超えることはありませんでした。

輸入車でもBMW3シリーズが長らく日本仕様のみドアハンドルの形状を変更することで全幅1,800mmに抑えていた事例は、いかにこのサイズ制限が無視できない規模であるかを如実に物語っています。
2019年より日本で販売開始された7代目3シリーズ(G20)からはついに全幅1,800mmを超えてしまいましたが。


全高に関しては国内において背高スタイルのミニバンが大ヒットしたことにより全幅に比べて緩和される傾向がありますが、それでも1,550mm制限は依然として存在しており、空前のSUVブームにあってもレクサスやメルセデスを筆頭に内外問わず全高1,550mmに収まる車種をラインナップしています。

そんなわけで、一軒家や平置きの月極駐車場を選べる人にとっては何の関係もない話ですが、当事者にとっては極めて重要な駐車スペースに収まるクルマ選びのお話です。


■サイズ制限を意識したクルマえらび
マンションにおける機械式立体駐車場の要点をおさらいすると…

・築年数の古いマンションの立体駐車場は全高、全幅の制限がキツい
・昨今のクルマ(特に海外で販売されるモデル)は全高、全幅ともに拡大傾向
・欲しいクルマが必ずしも自分の駐車場に収まるとは限らない

こんな感じです。

クルマえらびをしている時が一番楽しい、とはよく言われます。
自分の好みのデザイン、性能、予算との兼ね合いなど様々な条件を擦り合わせた結果が最終的に愛車の購入ということになるわけです。

この様々な条件に、「駐車場に収まるサイズ」を、しかも最重要優先度で検討しなければなりません。
どんなに欲しいクルマがあったとしても、駐車場に入らなければ買うことはできないわけですから。(例外はありますが、それは後述)

では、そんな条件の中でクルマを探そうとする場合にやるべきことは?

①欲しいクルマの寸法を把握する
車庫証明の条件を確かめる
③実際に駐車場に収まるか確認する
④結論を焦らず情報収集&検討を継続する

この4点が重要であると当方は考えています。


①欲しいクルマの寸法を把握する
まずやるべきことは、駐車場の登録可能な寸法を確認することです。
入居の際に配布された資料の中に駐車場のサイズ制限について記述された部分があるはずです。
機械式立体駐車場のコントロールパネルに掲出されていたり、わからなければ管理組合に確認すればOKです。

一例として、当方のマンションでは

全長 4,900mm x 全幅 1,800mm x 全高 1,750mm

という制限が(規定上は)定められています。

ではこの情報を元に駐車可能なクルマを探してみることにしましょう。

昨今のWEBサービスは便利になったもので、たとえばカーセンサーであれば車種カテゴリを選んで条件検索とのところで寸法の指定が可能です。

全幅1,800mm以下で6〜7人乗りの条件で検索すると、このように新旧車種の条件に合致する車種の情報を出してくれます。


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国産ミニバンが圧倒的に多いですが、SUVやステーションワゴンもありますね。

ただ一点気を付けなければいけないのが、検索結果が必ずしも現行車種に限ったものではない、という点です。

たとえば検索結果にメルセデスのEクラスワゴンが出てきますが、現行モデルの全幅は1,850mmなので本来は検索対象外のはずですが、1993年に発売された初代Eクラスワゴンは全幅が1,740mmのため、検索結果に引っかかった…みたいなケースも散見されます。

購入検討が新車に限らず中古車まで含めるのであれば、過去の車種の情報まで俯瞰して検索できるので、寸法という絶対制限がある中でどのような選択肢があるのかをチェックするにはまずこういったサイトで情報を集めるのが有効と言えるでしょう。

同様に細かいスペックでの検索に優れているのは価格.comのスペックサーチです。
価格.comらしく寸法に限らずあらゆる条件での検索が可能ですので、いろいろ指定して自分の好みを探してみるのも面白いものです。


このように、最初にやるべきことは明確なのですが、逆に言うとここで選択肢が限られてしまってクルマえらびを楽しむどころではない…なんてことも起こりがちです。

そこで一つの視点を提示します。

規定で定められているサイズと、物理的に収まることは同じではない、ということです。


②車庫証明の条件を確かめる
車庫証明とは、クルマを所有する際に保管場所を警察署に申告し、発行してもらう書類のことです。

つまり、警察署の許可を得られなければ、その場所にクルマを停めることができない、ということです。

クルマの購入プロセスにおいて、最も難易度が高いのがこの車庫証明を取得することであると言えます。


一般的に知られている原則として、“規定の寸法をオーバーしていると車庫証明が取れない”というものがあります。

駐車場の規定のサイズを超えた車両が駐車していると、たとえば道路にはみ出したりして交通を阻害したり歩行者に危険が及ぶことがあるため、一律の条件が課せられるのは当然と言えます。

とはいえ、クルマといっても様々な形状があります。

箱型タイプのミニバンと、流線型のスポーツカーの形が異なることは幼児でも理解できます。
とはいえ寸法という統一条件で計測してサイズを決めておかないと管理ができません。

大前提として、

「駐車場の規定以内の寸法であれば車庫証明の取得は可能」

これは当たり前です。
しかし一方で

「寸法を超えていても運用上問題がないのであれば車庫証明の取得は可能」

という例外がありえることは、認識しておくと良いでしょう。

この例外が適応されるのは概ね以下の条件を満たしている場合に限ります。

・物理的に駐車スペースにクルマが収まること
・安全な運用上の問題がないこと

物理的に収まること、というのは当然ですね。
車両が入らなければそもそも車庫証明を得られたしても日常の運用ができません。

安全な運用の問題がないというのは、駐車した状態で安全の乗降ができて、なおかつ第三者の安全を脅かさない状態のことです。

マンションの機械式立体駐車場においては、

・パレット(車両を乗せるスペース)に物理的に収まり、エレベーターがきちんと稼働すること

と捉えればいいでしょう。


これはマンションに限らずとも戸建て、賃貸アパートなどにも共通した話でもあります。
たとえば下記のような事例がわかりやすいですね。

アパートの駐車場の寸法が車の全長よりもわずかに足りない!どうする?


つまりこの例外を把握しておけば、クルマえらびの選択肢は格段に広がることを意味します。



②実際に駐車場に収まるか確認する
クルマえらびにおいて最も重要なのは、駐車場の出し入れをスムーズに行うことができるか?という点です。
日常的に行う行為だからこそ、その利便性の確認は重要です。

また上記したように、場合によっては規定のサイズを超えるクルマでも車庫証明を取得して所有できる可能性がある以上、まずは物理的に駐車スペースに収まるかどうかを確認することは必須であるわけです。

そうしたことを確認するために、ディーラーでは試乗車を用意しています。

試乗車は、マニアの自己満足やyoutuberに試乗動画を作らせるために存在しているのではなく、本来はこうした購入の検討における課題を確認するために用意されてるんですよ、実は。



ある程度車種を絞ったらディーラーに訪問してみましょう。
事前に試乗の目的を伝えて対応してくれるディーラーを選んで訪問することをオススメします。

昨今のコロナ対策としてディーラー訪問は事前に予約を受け付けていることが多いので、その際に試乗車を借りて自宅の駐車場に入るかどうかをチェックした旨伝えておくと話がスムーズに進みます。
(逆に目的をきちんと伝えないとディーラー近所の短時間しか試乗させてもらえない可能性があります)

車庫入れの際にチェックすべき点は、

・切り返しのアプローチに無理がないか?(何度も切り返さなくても入るか?)
・完全に収まった状態で立体駐車場のエレベーターが稼働するか?
・ヒンジドア、スライドドアは開くか?

そもそもの問題として、最小回転半径が大きいと何度も切り返しが必要になることがあります。
アプローチのスペースに余裕がない場合、これが毎回となるとストレスに感じることもありますので自分の正直な感想をメモっておきましょう。

物理的に収まったとしてもセンサーに引っかかってエレベーターが動かない可能性がありますので、ここは忘れずにチェックが必要です。

また大抵の立体駐車場では完全に収まった状態では後部ヒンジドアが駐車場の柱に干渉して開きません。
そのため後席に乗ってる人は駐車前に降りてもらう必要があります。

スライドドアの場合は開いた状態で柱に干渉しないか?という部分もチェックが必要です。

日常の使い勝手に直結する部分ですので、チェックリストを作ってきちんと見極めることが大切です。


確認が終わったらどうするか?

ここで重要なのは、あくまでクルマが駐車場に入るか確認することのみを目的として、無理に商談を進める必要はない、という点です。

営業担当と話をしていると、大抵の場合

・いつ購入する予定か?
・他に検討している車種はあるか?

この2点を聞かれます。

そこで

「今はまだどんなクルマにするか方向性が決まってない」
「検討中の車種は他にもあり、まずは物理的に駐車場に入るかを確認してから比較検討したい」

このように伝えることで見込み客としてはまだ確度が低いことを匂わせ、それ以降しつこく連絡してこないよう牽制しておくことが大切です。



④結論を焦らず情報収集&検討を継続する
当BLOGで何度も書いてきた通り、307swはとても気に入っており、よほどのことがない限り買い換える可能性は低いと思っていました。

しかし一方で買い替えはいつか必ずやってきます。
それがいつになるかはわからないからこそ、買い替え候補になり得る車種の情報は常に集めていました。

そして可能性のある車種は片っ端から駐車場に入るかどうかをチェックする、というのを10年近く続けてきました。

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▲先代プジョー5008

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▲先代プジョー3008

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▲先代シトロエンC4ピカソ

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▲マツダプレマシー

他にもスバルのエクシーガやトヨタのアベンシスワゴン、VWトゥーランや(入らなかった)フォードKUGAなど様々な車種の車庫入れ確認をしてきました。

いずれもディーラーで新車が手に入るタイミングで試乗車を借りて物理的に収まるかを確認しておくことが重要です。

こうして物理的に収まるか否かを確認しておくことで、いざ具体手な検討段階に入った時に情報を整理することが容易となります。

いつ買い換えるかわからない、という人にこそ日頃の試乗の際には駐車場のチェックをあわせて行っておくことをオススメいたします。

クルマは検討している段階が一番楽しいわけですから、その機会を多く作ることはいい経験になりますよ。


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