ってことで、PEUGEOT SHOW 2019にて初お披露目となる新型MPVであるところのプジョー『RIFTER』に関して、気付いたことを備忘メモとしていくつかまとめておきます。
■なぜMPV?
本国の方ではこうした車種は「LAV(Leisure Activity Vehicle)」とカテゴライズされています。
本国の方ではこうした車種は「LAV(Leisure Activity Vehicle)」とカテゴライズされています。
当初プジョーさんもリフターはLAVである、とメディア向けに説明していたようです。
リフターの国内ティザーは2018年8月にGQ JAPANの記事を皮切りに各媒体に一斉に掲載され、日本導入を匂わせていました。
その際にリフターは「LAV(Leisure Activity Vehicle)」として紹介されています。
LAVとは、商用車兼用もしくは派生のレジャー用途に特化したカテゴリとなりますので、普通にLAVでアピールすれば良かったのですが、正式発表の際にカテゴリを「MPV(Multi Purpose Vehicle)」と表現しています。
その理由を尋ねたところ、明確な回答は得られませんでしたが、「MPVの方が理解しやすいから」ということのようです。
今やプジョーを支える大黒柱になった2008/3008/5008のSUV路線は、本来であれば「CUV(Crossover Utility Vehicle)」と表現すべきところ(実際に一時期CUVと表現していた)を、「SUV」という一般認知度の高いキーワードによってわかりやすさを優先したことが結果として成功を収めることにつながりました。
リフターも同じ発想で、あえて日本では馴染みのないLAVではなくMPVという表現を使うことにしたと思われます。
日本におけるMPVのイメージはどちらかというとミニバン的なものを連想しがちですが、まぁ文字通り多用途に使えるクルマであることに間違いはないのですが、(プジョーにとっては)新カテゴリというのをもう少し前面に出してもいいんじゃないか?というのは一方で感じるところではあります。
■後席リクライニング&シートスライドなし
まぁ、そういうクルマではないということなんでしょう。
後席足元はそれなりに余裕があるのでスライドがいるか?と言われると微妙ですけど、リクライニングは欲しかったですね。
ついでに言うと、後席を倒してもフルフラットにはなりません。
調整用の上底ボードを噛ますとかうまく加工する必要がありそうです。
調整用の上底ボードを噛ますとかうまく加工する必要がありそうです。
■前席は極めて乗用車的
商用車兼用設計ということで運転席周りは極めて乗用車的ではあります。
i-Cockpit的なタッチ操作の演出は控えめで物理スイッチがたくさんあります。
要は、そういうことです。
で、問題のこれです。
2019年。
— 海鮮丼太郎sw (@kaisendon) 2019年10月21日
シフトレバーはついにこんな形になってしまいました…#PeugeotShow2019 #RIFTER https://t.co/ekMGIEz6NG pic.twitter.com/Cdfx1LN1R8
ダイヤルを回すことでシフトをセレクトするスタイルですが、はっきり言って操作し難いです。
運転中にこれをいじることはほぼありませんが、とはいえ操作には注視が必要ですし、この形である合理的な意味を見出せませんでした。
試乗でもすればまた感想は変わるのかもしれませんが…
それと、意外なのが、センターコンソールにたくさんモノが収納できるのはいいんですが、それによって運転席も助手席も包み込まれるような感覚がある、という点です。
助手席は特に極小のバスタブに入ってるような感じ、とでも言いますか…
この包まれ感は独特な感じがしますが、商用車として考えるとあれこれモノを取ったりしまったり、みたいな動作がしにくいんじゃないかな?と感じましたが、どうでしょうかね?
ちなみにカングーの前席はかなり開放的な造りになっています。
どちらが好みか?と問われると個人的にはカングーです。
ちなみにチルト&テレスコピックはちゃんと備わっています。
カングーはテレスコピックがありませんので、この点はリフターの使い勝手が勝りますね。
カングーはテレスコピックがありませんので、この点はリフターの使い勝手が勝りますね。
■ベルランゴとなんで仕様が違うの?
既報の通り、同時に予約開始されたシトロエンベルランゴのデビューエディションとリフターでは仕様と価格が異なります。
特に後席が3座独立可倒式のベルランゴに対し、リフターは6:4分割となります。
既報の通り、同時に予約開始されたシトロエンベルランゴのデビューエディションとリフターでは仕様と価格が異なります。
特に後席が3座独立可倒式のベルランゴに対し、リフターは6:4分割となります。
展示車は3座独立可倒式でしたが、6:4の分割可倒式だと中央のシート幅が狭くなり、イメージとしては3008のリアシートに近いそうです。
実際の使い勝手、特に家族がいるシチュエーションでは使い勝手に大きな差が出ることが想定されますが、なんでこうなってるんでしょうか?
話を聞いたPCJのスタッフも明確な答えを持ち合わせていないようでしたが、どうもリフターは少しプレミアムな層を想定していて、どちらかというとベルランゴの方がファミリー層を想定しているから、だそうです。
■事なるイメージ戦略
ベルランゴのカタログがどうなってるかは知りませんが、WEBページでは明確に
家よりも、家族がひとつになれる場所。多彩に使える室内空間と充実のドライバーサポート。全く新しいレジャービークル、シトロエン ベルランゴデビュー。
という形で明確にファミリーニーズへのアプローチが見て取れます。
それに対してリフターはWEBも簡易カタログにも一切”家族”というキーワードが出てきません。
イメージとして使われているのは男女二人がレジャーに出かけているイメージだけで、DINKSの都会的でスタイリッシュなレジャーライフって感じでしょうか?
自分で書いてて意味がわかりませんが。
で、絶対数からいうとシトロエンオーナーの方には申し訳ないんですが、リフターの方が家族のニーズは高いはずなんですよね。
それでもPCJとしては頑なにプジョーは都会的、シトロエンは家族的というイメージで打ち出したい理由があるんでしょう。
多分にブランドの位置付けをそうしたいって思惑だけだと思いますが、それで不便を被るリフターオーナーが不憫です。
こういうところは差をつけないようにできませんかね?
■充実の収納スペース。ただし懸念される異音
さすがLAVということもあってあちこちに収納スペースが備わっています。
話題の頭上空間ですが、どうなってるかわかりにくいようなので、こんな感じです。
ギミックとしては面白いですが、何か置いたらその影が気になりますし、衝撃やカーブで置いたものが落下してくる懸念がありますので、ここに何か置くのはやめておいた方が良さそうです。
後席上部の収納スペースはトレッキングブーツが余裕で入る容量もあってかなり使い勝手がいいですね。
いいんですが…
成型が樹脂素材そのままで構成されており、経年劣化を待たずに細かい振動でカタカタという異音を発生しそうな造りになっています。
噛み合わせの部分に緩衝テープを貼り付けるなどで対策できると思いますが、この手の異音が嫌いな人はある程度覚悟しておいた方が精神衛生上よろしいのではないかと思われます。
■ガソリンエンジン仕様は出るのか?
昨今のプジョーの販売におけるディーゼルの好調と、リフターという車種の性格からディーゼル仕様以外の導入はほぼあり得ない、とのことです。
もちろんディーゼル一辺倒になるわけでもなく、508のようにガソリンエンジンの方が快適で評価も高い車種があったりするので、車種や客層に合わせてパワートレインを用意するけど、リフターにガソリンエンジン仕様を望む声が今後も高まるとは想定していない、とのこと。まぁ、ごもっともですね。
■買いか?待ちか?
デビューエディションは先進安全装備などてんこ盛りで、ある意味“豪華お披露目仕様”と言うことができます。
それに対して2020年夏以降に本格展開されるのは2グレード展開になる予定で、その場合の装備と価格のバランスを考えるとデビューエディションのお買い得度はそれなりにあります。
一方で本国での発売から一年を経過しているとはいえ、国内初導入なおかつ生産ラインの都合で割り当てられた220台が果たして信頼できるクオリティで届けられるかは若干の不安を感じずにはいられません。
ほら、PSAの初物っていろいろアレじゃないですか。
とはいえ、デビューエディションのデリバリーは2020年始め(場合によっては年内もあり得る?)ということもあり、誰よりも早く新しいモノに飛びつく性格の人は、購入に踏み切っても大きな失望は感じないんじゃないでしょうか。
とはいえこれはあくまで商用車をベースとした車種であり、乗用車と同様の静寂性や品質を期待すると肩透かしを食う可能性もありますので、神経質な方にはあまりおススメしません。
ってことで、それ以外はプジョーのカングーとして十分魅力的な商品に仕上がってますので、迷っているならYOUハンコ押しちゃいなよ、ってな感じです。
この記事へのコメント
PSAファン
リフター、なかなかですが色々気になるところもあるようですね。
頭上のギミックは写真で見ると?という感じでしたが、この記事を見たら分かりやすく助かりました。
PSAの初物...実際、DS3クロスバックは既に車両交換となった事例もあるそうで、納車直後のトラブル入庫もちょくちょく、という感じみたいです。
またお邪魔します。失礼しました。
海鮮丼太郎
コメントありがとうございます。
プジョーならびにシトロエンとして久しぶりの新ジャンル車ですから注目度はすごく高いですし、実車も良くできていると思います。
ただ細かい使い勝手のところでは国産ミニバンにはかないませんし、カングーのようなカルチャーがあるわけでもありません。
そこを割り切ることができるかどうか?というところで評価が分かれそうな気がします。
決して悪い車じゃないんですよ。
7人乗りだったら当方も即決していたと思います。
リフターのデビューエディションは白以外まだ予約できる状況なので、これがどれぐらいのタイミングで捌けるかに注目ですね。
あと、ベルランゴの認定中古車がどの店からどれぐらい出回るかも注目です。
み。