PEUGEOT SHOWのレポートにおいて新型208に関しては大方の報道がされておりますので、そこであまり語れていなかった部分をヒアリングした内容とともにレポートしておきます。
写真は随時追加。
■グレード展開
ガソリン仕様ならびに日本未導入のディーゼル仕様の新型208(以下『208』)と、ピュアEVである『e-208』いずれも、グレード展開は「Allure」「GT Line」「GT」で統一されます。
装備的にも208とe-208で大きな差は付けないそうです。
これが意味するところは、
「パワートレインの選択肢の一つとしてのピュアEV」
であり、EVが特別なものではないという意思の表れとなります。
展示されていた『e-208 Allure』にパドルシフトはありませんでしたが、『208 GT Line』にはパドルシフトがあります。
つまりグレードによって差は付けるが、パワートレインで差はつけない。そういうことです。
■50kWhのバッテリーを搭載
e-208のバッテリー容量は50kWhと公表されています。
これは日産リーフの標準仕様と大容量仕様のちょうど中間ぐらいになります。
▲モーターは下部に、バッテリーはプラットフォーム全体に敷き詰められてます
航続距離についてはWLTPモード340kmでとなっていますが実電費はおそらくその7掛け、240km程度ではないか、とのことです。
一部で450kmという数字が出回ってますが、それは盛りすぎだそうです。
一部で450kmという数字が出回ってますが、それは盛りすぎだそうです。
■充電インフラについて
e-208の充電端子は208のガソリン給油口と同じく車体の左側にあります。
充電端子は当然ながら日本で普及しているCHAdeMO方式に対応しており、全国各地の充電ステーションでの充電が可能です。
また今後プジョー、シトロエン、DSの各ディーラーには充電ステーションを整備していく方針とのことです。
これは308、508、3008で予定されているPHEV仕様の投入も見据えての環境整備となります。
また他メーカーで実施しているような、自宅への200V充電設備の導入補助については現在検討中、とのことです。
■新型208の推しはどれ?
PSAでは初のピュアEVとなるe-208ですから、こいつを一番売りたいのか?というとさに非ず。
充電ステーションが近所にあるような環境であればe-208を選んで欲しいが、それはお客様の好みで選んでもらう話であって、あえてe-208を前面に出すような売り方はしない予定、とのことです。
■e-208の販売促進プラン
パワートレインによって差をつけない方針であることは前述したとおりですが、初めてとなるピュアEVの普及を目指し、販売促進については攻めのプランを考えているとのことです。
当然ながらe-208の方が車両価格は高額になりますが、
3年3万kmで総額はガソリン車とトントン
となるようなプランを検討中だそうです。
これは優遇金利と国の販売助成金、専用の充電プラン、そしてメンテナンスパックによりプジョーディーラーできちんとメンテナンスを行うことで維持費を抑えることを可能とし、結果的に車両価格+維持費をガソリン車と変わらないレベルを実現する、という発想です。
大抵の場合は残価設定ローンを活用することになるでしょうから、新しモノ好きが試しに3年間乗ってみる、みたいな選択も可能となります。
■e-208と208の違い
e-208はバッテリー搭載により重量増(正式な重量は未発表)となるため、208とは足回りのセッティングが異なります。
CMPのプラットフォームにH型にバッテリーを敷きつめているので居住スペースならびにラゲッジスペースの違いはほぼありません。
ただし、後席ラゲッジ下部に208はスペアタイヤが装備されていますが、e-208はパネル構造が異なりパンク修理キットのスペースがあるだけです。(その部分にバッテリーが設置されている)
▲208 GT Lineはスペアタイヤ
▲e-208 Allureはパンク修理キット
また、運転席&助手席の真下にバッテリーが配置されているので、後席の足元(つま先)を入れる部分の奥行きが少し短くなっています。
208のつま先スペースはかなりの余裕があるためそれに比べると多少窮屈感がある、という感じです。
足回りのセッティングについては重量の関係でe-208と208は明確に異なるそうですが、展示されていた車両は両方ともミシュランのプライマシー4を履いていました。
特別なエコタイヤを履いている、というわけでもなく、あくまで普通のタイヤでした。
■CMPは内燃機関とピュアEVのみ
グループPSAのプラットフォームは大きく分けて今後の小型車のニーズを担うCMPと、中型以上の車種が採用するEMP2があります。
新型208はCMPプラットフォームを採用しており、その構造上ガソリン&ディーゼルの内燃機関と、ピュアEVのラインナップしか用意しないとのこと。
つまりPHEVは出さないよ宣言でもあるわけです。
■PHEVの導入予定について
EMP2はPHEVにも対応したプラットフォームで、しかも複数の電動方式に対応しています。
そのため2020年後半から2021年始めごろに国内導入予定のDS7 Crossbackは電動4輪駆動のHYBRID4での導入が決定しています。
同時期に国内に投入される308、508、3008のPHEVがどのバージョンになるかは現時点では未定とのことです。
■3D i-Cockpit
液晶の上に投影式の多層スクリーンを実装することで、情報に奥行きを持たせることが可能になりました。
液晶の上に投影式の多層スクリーンを実装することで、情報に奥行きを持たせることが可能になりました。
インストゥルメントパネルが物理メーターから全面グラフィックになった時から様々な可能性が模索されてきましたが、奥行きのレイヤーによる表示は限られたスペースにより多くの情報を提示する可能性を秘めており、その意味で画期的な装備であると言えます。
それに加えてi-Cockpit 2.0から採用されたショートカットスイッチも健在で、特にエアコンのコントロールに関しては目的の画面までの1ステップでアクセスできる作りにはなっています。
ただし、例によってタッチ画面で温度調整みたいなふざけたUIは変わっていないので、インパネの革新性に比べるとタッチディスプレイの成熟度がイマイチなところにバランスの悪さを感じます。
また、非常に気になるポイントとして。
ショートカットスイッチとダイヤルの操作に対してディスプレイのレスポンスが確実にワンテンポ遅れます。
試しにラジオのチューニングをダイヤルでかなりイラッとくるレベルの遅れが発生します。
発売開始までにこの辺りの最適化できるか?と問われると、少々不安なレベルであります。
発売開始までにこの辺りの最適化できるか?と問われると、少々不安なレベルであります。
タッチディスプレイのポジションは初代208同様運転視線に近い場所に設置されております。
エアコン吹き出し口より上にディスプレイがありますし、運転姿勢で指を伸ばしてタッチ操作が可能でありますので、当方の評価としては最高点を付けさせていただきます。
以上、ざっと気になった点とヒアリングした内容をまとめた備忘メモでした。
この記事へのコメント