輸入車市場が好調という話はここ数年でずいぶん知られるようになりました。
その原動力となるのはメルセデスを始めとしたドイツ車の勢いによるものでしたが、そんな中で第二勢力とも言えるイタフラ勢も存在感を発揮しているなんて話は当BLOGでも繰り返し主張してきたところであります。
今年に入って一部の新聞がフランス車の販売が前年比で2ケタ伸びていることに着目してこんなニュースを発信しました。
フランス車、ニッポンで急加速…個性的なデザイン、SUVなど品ぞろえ拡充で2ケタ成長
日本自動車輸入組合がまとめた平成29年度のブランド別販売台数では、シトロエンが前年度比43.8%増、プジョーが18.6%増、ルノーが13.7%増と軒並み、前年度を大きく上回った。もともと販売台数の多いドイツ勢はメルセデス・ベンツが1.4%増、フォルクスワーゲンが0.9%増となっており、フランス車の勢いは際立っている。仏4ブランドの合計でみると、16.1%増の1万9724台だった。
特にシトロエンの43.8%増という数字は見た目のインパクトが大きく、フランス車が好調というイメージ醸成に大きく貢献してくれました。
このカラクリとしては、2016年のシトロエンはろくな販促策を取らず、2017年7月に満を持して販売を開始した新型C3で一気に勝負を掛けたことによるものです。
ちなみに新型C3のプレスリリースのタイトルは
『NEW CITROEN C3 - 新たな攻勢の幕開け』
というものでしたから、その力の入り方がわかろうというものであります。
そんなわけでドイツ勢以外の選択肢としてフランス車に注目が集まっている昨今ではありますが、もちろんそれを取りこぼさないようにプジョー、シトロエン、DS、ルノー各ブランドが切磋琢磨しているわけです。
中でもプジョーさんに関しては傍流から主力へとのし上がった4ケタ軍団(2008/3008/5008)の好調で急激に販売台数を伸ばしています。
ここでプジョーさんの2001年からの販売台数を見てみましょう。
年間販売台数 | |
2001 | 12,295 |
2002 | 15,162 |
2003 | 15,330 |
2004 | 12,693 |
2005 | 10,354 |
2006 | 10,283 |
2007 | 8,284 |
2008 | 6,171 |
2009 | 4,365 |
2010 | 6,021 |
2011 | 6,137 |
2012 | 5,649 |
2013 | 5,970 |
2014 | 5,710 |
2015 | 5,906 |
2016 | 7,403 |
2017 | 8,242 |
2018(6末時点) | 5,231 |
振り返るとプジョーさんの日本での販売においては、206の大ヒットによって2000年に10,767台の販売を記録してから2003年の15,330台をピークに2006年まで年間1万台以上の販売を維持しておりました。
その後407/207/308(1st)という大ヒットモデルの後継者の販売が振るわず台数は減少。
2009年はリーマンショックの影響により4,365台という全盛期の30%弱まで減少してしまいました。
輸入車市場の回復の波に比べるとプジョーさんのそれは平均を下回る状況で、商品力と販売戦略いずれも魅力に欠ける中、販売の現場も大変苦労していたのは記憶に新しいところであります。
反転攻勢の契機はいくつかありました。
2014年末に従来のワンモーションフォルムから脱却し、ECOTYを受賞した新型308(2nd)の投入。
加えて2016年夏にはプジョーを支える世界戦略車である新型3008(2nd)の発売、そしてVWに先んじる形で勝負に出たディーゼル仕様の投入。
こうして一気に勝負に出た感がありました。
特にディーゼル仕様は大きな支持を集め、今ではプジョーさんの屋台骨とまで言える存在になりました。
そうした結果が2017年の8,242台という販売台数に表れているわけです。
2018年に入っても販売は好調で、6月末時点で5,231台の登録がありました。
これは好調だった前年同期比の+32.7%という実績となります。
ってことでこれを月次の実績グラフにしてみました。
▲クリックで拡大
太いダークブルーの線が2018年6月末現在の実績です。
グラフを見ると一目瞭然ですが、このペースは10,283台を記録した2006年の実績カーブをほぼなぞっている形で推移しています。
つまりこのまま好調が続けばプジョーさんの2018年の販売は、12年ぶりに1万台の大台を復活する可能性があるということなわけです。
ポジティブ要因としては今年末に新型508が投入される予定です。
あまり台数の出るモデルではありませんが、初期需要としては一定の積み増しが期待できます。
あまり台数の出るモデルではありませんが、初期需要としては一定の積み増しが期待できます。
また、販促期に残価設定ローンの利用であれば金利0%というキャンペーンを定期的に実施するようになりました。
(対象車種に一部を除く3008/5008も含まれるようになりましたので選択肢が広がっています。)
ネガティブ要因としては、量販車種として台数を稼いでいたBセグメントの208がモデル末期となり販売にあまり貢献しなくなってきました。
次世代208の発売までしばらく時間がありますので、その分を2008で支えきれるかどうかがカギになるのかもしれません。
3008/5008も初期の需要は一巡してきましたので、これからは注文受けても在庫が無いとかふざけたことやってないで粛々と台数を積み上げていっていただければと思います。
当然プジョーさんの中の人たちも年間1万台というラインは意識しているはずですので、ひょっとすると12月あたりに大盤振る舞いな条件が出るかもしれませんね。
これから検討される方は今年後半の販促施策に注目するといいのではないでしょうか。
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