世界がクルマのパワートレインを電動化する方向に舵を切り、日本もその動きに合わせて内燃機関からの脱却を図る動きになってきました。
燃費も向上しハイブリッド車発売から20年が経過して市民権を獲得した今、ガソリンスタンドで燃料を入れる頻度というか必要性がだんだんと薄れてきております。
そんな流れを受けて都市部で顕著なのがガソリンスタンドの廃業であります。
改正消防法によって2013年に古い貯蔵タンクの改修が義務付けられ、採算面から改修ではなく廃業を選ぶスタンドが多発しましたが、その後も減少がずっと続いております。
とはいえガソリンスタンド側も打てる手はいろいろと打っています。
・セルフサービスへの転換
・メンテナンスPITの併設による厚サービス化
・コンビニ併設など複合化
・レンタカー事業等の多角化
当方の近所には様々なスタイルのガソリンスタンドがありましたが、いろいろ手を打っていたもののここ半年ぐらいでバタバタと5店舗ぐらい閉鎖してしまいました。
物流の拠点がいくつもある主要幹線道路沿いにも関わらず夏から年末に掛けて近隣のガソリンスタンドが軒並み閉店。ピットメニューを売りにしたフルサービスの新しい店も3年持たなかったし、いよいよもって給油という文化の衰退が肌感覚でも感じられるようになってきた。
— 海鮮丼太郎 the Junker (@kaisendon) 2017年11月8日
特に整備から車検、コーティングまでフルサービスを売りにしていた新店舗が3年持たずに閉店してしまったのはちょいとショックでありました。
すぐ近くにオートバックスがある立地でなぜそのような店舗を出したのか開店当初から疑問ではありましたが、肝心のガソリン価格が近隣に比べても明らかに高かったので厳しいだろうなぁ…とは思っていたのですが、一応物流拠点の多い幹線道路沿いでもビジネスにならんのか…と。
また閉鎖する店舗の特徴として、中古車レンタカー事業に手を出した後力尽きるという傾向があるようです。
8時間2500円程度で借りられる中古車を使ったレンタカーは確かに魅力的で一時期流行の兆しを見せることがありましたが、最近ではカーシェアにその役割を取られているようにも見受けられます。
近隣で閉鎖した5店舗のうち3店舗が中古車レンタカーを提供していましたが、収益にはあまり貢献してくれなかったようですね。
ガソリンスタンドは厳しい安全性を求められるためあらゆる規制で縛られているという実情があります。
普通に考えればガソリンの需要が電気に切り替わるのなら、EV充電器を設置すればいいじゃないかという話になりますが、その辺りの必要性は語られるものの規制緩和が一向に進みません。
ようやく具体的な話が出てきたのはつい最近の話です。
給油所でEV充電OK コンビニ併設も可能に
対策が遅すぎました。
少なくとも日産がリーフを本格的に押し出した2012年ぐらいのタイミングで規制緩和を進めておけば、充電インフラの拡充と経営に苦しむガソリンスタンドの救済策になり得ましたが、2019年を待たずにさらに多くのガソリンスタンドが廃業の道を選ぶことになるでしょう。
都市部ではまだガソリンスタンドの絶対数が多いからなんとかなっているものの、地方の過疎部では経営的に成り立たないが生活インフラとしてかんたんに廃業もできない危機的状況の店舗も多いわけです。
電動化と自動化が進むことで、将来的にクルマは所有するものからタクシーのような社会インフラとしてシェアする流れに移行していくことでしょう。
(所有するスタイルはゼロにはなりませんがそれは少数派になっていきます)
そうなるとガソリンスタンドに求められる役割はそうした車両の管理拠点にシフトしていくことが想定されます。
ガソリンスタンドという場所は、求められる機能を変えながらも社会インフラを担う役割であり続けるわけです。
産業構造が大きく転換する時期はいろんな混乱が生まれますが、日本はもうかつてような高度経済成長が見込めない以上、あるものを無駄なく有効活用していく行政の手腕が求められますね。
残された時間とお金は、もうほとんど残っていませんが。
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