プジョーさんはプレスリリースを見てほしくない?

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グループ PSAはいかなる不正行為も否定し技術的な根拠に基づく選択であることを改めて強調
9月8日の仏メディア報道に対し、グループ PSAは司法当局からの問い合わせを受けていないことを表明します。”http://press.peugeot.co.jp/information/pdf/171005_PSA-Press-release-Diesel-JP.pdf

日本語ではここまでが公開されている情報となります。
本国では報道が出たその日(9月8日)にリリースが出ており、それが一ヶ月経ってようやく日本語でステートメントが発表された、ということになります。

Groupe PSA denies any fraud strategy and strongly reaffirms its technological choices



VWを発端とする排ガス不正に関する疑惑の目は他の自動車メーカーにも及んでおり、アメリカや欧州各国の機関が調査を開始、事実それにより後から不正が発覚する事例も見られるわけです。メルセデスのように。

9月の報道の前段階の動きとして、PSAは2016年4月21日にフランスのDGCCRFによる突然の立ち入り検査を受けました。

これは日本でも4月26日に同内容の翻訳リリースを出しており、同様に潔白を主張しています。

この主張を裏付けるため、7月には2つのNGOと共同で排出ガスならびに実燃費の実験データを公表しています。

正直者のプジョーさん、実燃費を調べて公表


こうして一貫して不正に対する身の潔白を主張しており、当方のような定期的に情報をうぉちしている立場からすれば(今のところ)PSAが不正を働いたとは思っていないわけですが、多くの経済紙を中心とした媒体がニュースとして報じてしまうと、それを二次利用したまとめサイトなどに情報が拡散して一般の消費者層には事実と異なるイメージが定着してしまいます。

“PSA(プジョーとシトロエン)はVWと同じく不正をしている”

中途半端にしかニュースをチェックしていない人には、こんなイメージが根付いているわけです。

一次ソースであるメーカー自身がきちんと否定しない限り、こうした最初に報じられた内容がいつまでも世間の認識として定着し続けてしまいます。(否定してもきちんとその情報がアップデートされるとは限りませんが)

そういった層は最初からプジョーの見込み客には成り得ない、という見方も一方ではあると思います。

とはいえ、既存オーナーやこれから商談をしようとする人の心配を払拭するためにも、事実と異なる報道に対しては一次ソースが明確に否定するステートメントを出して早めの消火を図るべきです。

特に日本市場においてクリーンディーゼル(今やギャグの響きがあるワードですが…)の販売に力を入れ、しかもそれが堅調に推移しているわけですから、そこに水を差すような要因は早期に排除しておくべきでしょう。

その意味で9月の報道に対してPCJがなぜ一ヶ月も経ってから翻訳リリースを出してきたのか?正直その意図がわかりません。

新情報でも出たのかと期待しましたが、そうでもないようですし。

そして何より、プレスリリースがIDとパスワードによる認証を通らないと閲覧できないという、前時代的な運用に逆戻りしているのが一番の謎であります。

これはすなわち、PCJに登録しているメディア関係者のみに情報を開示するという姿勢を意味しています。


昨今のマーケティングにおける最重要課題は、情報をいかに広く拡散させるかにあります。

その情報の起点は一次ソースによるプレスリリースであるわけです。

つまり、プレスリリース(およびステートメント)は、あらゆる人に広く読んでもらうために発表するものであり、そのために各社はPR TIMESなどの有料サービスを使ってでも広くプレスリリースを広めようと努力しているわけです。

それに対してPCJの方針は情報の拡散をむしろ好んでおらず、情報の流通を限られた層に限定(コントロール)しようという姿勢が見え隠れします。

少なくとも先月まではシトロエン、DS含めてほとんどのリリースが制限なく閲覧できましたので、10月に入ってからの方針転換と見られます。


自動車ジャーナリズムがプレスリリースを単に写しただけの記事を量産するようになって久しいですが、要はそういう層に都合のいい記事だけ書いてもらえばいいって発想ですかね?

ある程度名の通った媒体はちゃんとライターがプレス登録をしてリリースを閲覧できる体制を整えていることでしょう。


しかし、ご存知の通り世の中には様々な自動車に関する情報サイトが存在します。

みんカラをはじめとした個人ブログも同様です。

そうしたサイトがきちんとプレス登録をして記事を書いてくれるとは限りません。

それによりどういうことが起こり得るか?

ネット上にプジョー(&シトロエン)の一次ソースを元にした話題が減少することになります。

話題が減少するということは、プジョーというブランドの認知度低下をも招く恐れがあります。

守秘義務に抵触するような情報の閲覧に認証制限を掛けているケースは見たことありますが、一般のプレスリリースにまで閲覧制限を設けるような極端な事例はPCJ以外記憶にありません。

ハッキリ言って悪手です。

なぜPCJがここまで極端な施策を採ったのか?

理由に若干思い当たるフシがあるにはあるのですが、とりあえず今は言及しないでおきます。

ってことで、当BLOGは可能な限り一次ソースを元に当方の見解を加えるスタイルでエントリーを書いてきましたが、プレスリリースが見れないのであれば当然対策を考えなければなりません。

今年4月のミッドタウンで開催された3008のイベントで、PCJのジャン・ミシェル・オモン氏とお話させて頂いた時に

「プレスIDちょうだい」
「いいよ」

みたいなやりとりはさせて頂いておりましたので、手続き忘れておりましたがこれを機に正々堂々とIDの申請をしてみましたよ。

さて、PCJの反応はいかに?

一週間待ってみますが、反応が無ければ要は個人ブロガーみたいなのは排除したいという意志の表れなのだろうと解釈し、かわいい猫ちゃんやおいしいスイーツの写真をいっぱい載せるブログにでもしようかと思います。







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