2017年上半期の輸入車市場、全般的に好調

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早いもので2017年も前半を折り返して後半に差し掛かりました。

そんなわけで各業界では今年上半期の総括が盛んではありますが、当BLOGがうぉちしている日本の輸入車市場にも動きがありますのでざっと見ていくことにしましょうか。

まず2017年の輸入車市場のトピックとしては、1997年以来となる年間30万台突破なるか?という非常に大きな話題があります。

またメルセデスの絶好調に代表される高級ブランドの盛り上がりに加えて大衆ブランドも前年に比べてプラスに推移するなど好調の波が輸入車市場全体に訪れています。

その波に各ブランドがどれぐらい乗れているのか?

それが上半期を振り返るうえでのポイントになるのではないでしょうか。


では、具体的に2017年上半期の実績を見てみましょう。
   
2017年上半期(1月~6月)輸入車登録実績
 2017年2016年前年比(%)
Mercedes-Benz32,69432,236101.4
VW25,59525,079102.1
BMW25,42924,639103.2
Audi13,45814,13795.2
BMW MINI12,46811,810105.6
Volvo7,7026,972110.5
Jeep4,9824,356114.4
Renault4,0072,423165.4
Peugeot3,9423,613109.1
Porsche3,5853,438104.3
Fiat3,3033,54593.2
smart2,5192,173115.9
Land Rover1,6311,73194.2
Jaguar1,5881,290123.1
Citroen1,303861151.3
ABARTH1,234878140.5
Maserati858575149.2
Alfa Romeo72299172.9
DS50861782.3
Ferrari403338119.2
Lamborghini279198140.9
Cadillac25831282.7
Ford2021,30315.5
Chevrolet19322685.4
Aston Martin18799188.9
Bentley184183100.5
Dodge156133117.3
Chrysler13816484.1
Rolls Royce12298124.5
BMW Alpina10719455.2
Lotus9211381.4
Mclaren707297.2
Autobianchi255500.0
Rover2317135.3
Morgan135260.0
Lancia127171.4
Hyundai112550.0
MG73233.3
Pontiac72350.0
Buick65120.0
GMC6785.7
Bugatti1250.0
Detomaso1250.0
Maybach1250.0
Mini1
RUF1
Saab1
Hummer5
PROTON1
Others441147300.0
Total150,476145,009103.8


■このまま推移すれば年間30万台突破の勢い
上記のとおり上半期の合計台数が150,476台となりました。
前年比でも+5,476台(103.8%)となっております。

前年より+2.1%以上で推移で伸びれば30万台に達する計算になりますので、VWのディーゼルゲートのような事件でも起こらない限りは目標達成が見えてきた感じではあります。

しかも今年は東京モーターショーが11月に開催されますので、それに合わせて各社販促を強化することになるでしょう。

その意味で今年の年末は輸入車の購入には好条件が揃っていると言えます。



■息切れするブランド、波に乗れないブランド
日本の輸入車市場をけん引するブランドがVWからメルセデスに変わり、その動向に注目が集まる昨今ではありますが、硬軟取り混ぜたプロモーション展開はメルセデスの目指す購買層の拡大に寄与してきたのは事実でありました。

その拡大によってメルセデスは販売台数を急激に伸ばしてきました。

2010年 107.6%
2011年 107.4%
2012年 126.2%
2013年 128.2%
2014年 113.2%
2015年 107.1%
2016年 103.4%
2017年 101.4%(上半期実績)

しかし昨年は前年比103.4%と頭打ちの傾向が見られ、2017年上半期は101.4%と辛うじてプラスではあるものの、市場全体の伸び(103.8%)を下回っています。

どのブランドにも言えることですが新型車の投入や船便のタイムラグなどの影響で販売台数は大きく変動するものですが、一つの指標として市場の伸びを下回っているというのは注目すべき事態かもしれません。

トップのメルセデス販売が落ち込めば全体に与える影響は大きくなるからです。

急激な拡大路線により一部では登録済み未使用車を中古車市場に流すことで販売をかさ上げしているとの指摘もあり、限界点を超えると一気に悪影響が出てきたりもするものです。

メルセデスはピークアウトしたのか?

下半期を見ていく上でこれが一つのポイントになるのではないでしょうか。


もう一つ波に乗れないブランドとしてAudiの存在があります。

VWがディーゼルゲート事件の影響をようやく払拭したように見える中、その影響をあまり受けていなかったはずのAudiの販売が伸びません。

トップグループの中で唯一前年割れの状況が続いており、一時期の飛ぶ鳥を落とす勢いはどこに行ってしまったんだろう?と関係者でもないのにかなり困惑しております。

ソーシャルメディアを活用したQ2の #型破る のプロモーションはそれなりに話題喚起には成功しているようですが、納車が本格化するのはもう少し先ということもあり、下半期の販売にどれぐらい寄与するのかがよくわかりません。

先日コンテンツ東京2017にてAudiのデジタル&CRMマネージャーである井上大輔氏の講演を聞いてきましたが、非常に明確にマーケティングの戦略を考えている人であり、当方が申し上げるのもおこがましいですがとても才能のある方だと感じました。

この人が陣頭指揮を執っていながらなぜAudiが(現時点では)低調なのか?
本気を出すのはむしろこれからなのか?

とにかくAudiに関しては意味不明なことが多すぎます。

Q2は話題にはなるものの「買った!」という人があまり見当たらないのも気がかりです。

Q2の動向が下半期のAudi回復のカギを握っているだけにこちらも要注目です。




■波に乗ってるブランド
上半期の輸入車市場は市場全体で前年比103.8%です。
つまりそれ以上の実績を上げているブランドは波に乗れていると言っていいでしょう。

トップグループでは相変わらずBMW MINI、Volvoの好調が目立ちます。

ただしBMW MINIは既報の通り今年の東京モーターショーには出展しません。
逆にVolvoは方針を撤回して出展することに決めました。

こうした思惑を伴った判断が市場にどう影響を与えるかは見ものですね。



第2グループでもJEEP、ルノー、プジョーといった大衆ブランドが元気です。

この辺りはAセグメント車の好調に支えられている部分もありまして、下記のエントリーで触れていたりします。


今年はルノーがプジョーさんより売れるかもしれないという話(1)

今年はルノーがプジョーさんより売れるかもしれないという話(2)


大衆ブランドが好調というのは市場全体にとってとても健全なことであります。
下半期もこの調子でガンガンと行っていただきたい感じであります。


ちなみにルノーとプジョーさんですが、6月はプジョーさんの頑張りによって前月の290台→65台と一気に差を詰めてきました。

3008ディーゼルと新型5008でどれだけ爆発力を見せつけることができるのか?

そしてルノーはAセグメントの積み上げで逃げ切れるのか?


俺の中の全米が今猛烈に熱狂の渦の中にあります。



■テスラ、再び拡大路線か?
正確な数字が取れずあまり注目もしていなかったのですが、テスラの販売が復調の兆しを見せているようです。

ようです、というのはJAIAが発表する実績にテスラは単独のブランドとして登録していないため、発表では「Others(その他)」に分類されているため、正確な数字が不明なんですね。

ただ、Othersに含まれるブランドでコンスタントに売れるものはほとんどありませんので、実質的にテスラの販売台数に近い数字と見ることが出来ます。

上半期の実績を見ると441台の実績で前年比300%と猛烈な台数になっています。

バックオーダーが解消されたのか、モデルXなどのラインナップ追加で販売が上向いたのかは定かではありませんが、ボルボが2年後の2019年に内燃機関のみの新車は発売せずEVやハイブリッドのみの展開とする、と宣言したように時代はそちらへと確実に動いてはいます。

そんな中で先行者利益をどれだけ獲得し続けられるのか。
イーロン・マスクのビッグマウスっぷりがどこまで続くのかとセットでテスラの動向は要注目ですね。



そんなわけで上半期の国内の輸入車市場は高級ブランドから大衆ブランド、そしてEVといった先端技術を売りにするクルマまで等しく売れているという明るいニュースで折り返すことができました。


11月の東京モーターショーでも盛り上がりを見せるでしょうから、各社ニュースになりやすいネタの仕込みをよろしくお願いしますねw



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