プジョーさんが新しいSUVであるところの新型3008を正式に発表しました。
“C SUVセグメント”なるワードが使用されておりますが、これは“CセグメントのSUV”と“Crossover SUV”のダブルミーニングと解釈できます。
つまり、日産キャシュカイ(日本名:デュアリス)が切り開いた都市型SUVの新しい潮流に各社がフォロワーを次々と送り込む激戦区に、真正面から戦いを挑むという意気込みであると言えます。
ちょっと待て。
では従来の3008は一体何だったんでしょうか?
初代3008も紛うことなきCセグメントのクロスオーバーSUVではあったのですが、MPVとSUVのクロスオーバーというコンセプトが主流からはちょっと外れていたことで市場にうまくアピールできなかった反省があったのでしょう。
(とは言っても中国市場を中心にそこそこヒットモデルと言える実績は残していますが)
▲初代3008
そういえばプジョーさんは307sw/初代308swがステーションワゴンとしてもMPVとしても中途半端にしか見てもらえなかったこともありましたね…
新型3008ではそのあたり、かなりストレートにクロスオーバーSUVとしてのスタイルを身にまとってきました。
とはいえ、どこかで見たような…という指摘があるのもまた事実であります。
新3008、どことなくエスクードっぽい。興味が1mmも湧かない。
— mkstyle_air (@mkstyle_air) 2016年5月23日
RCZのオーナーでもあるmkstyle_airさんのツイートにもある通り、最近はエスクードやエクストレイルなど元祖SUVの車種もクロスオーバー寄りにデザインを振っており、この辺りはどうデザインしても何かに似てしまう傾向があるのは止むを得ないところかもしれません。
ちなみにサイドのラインからルーフあたりの処理はレンジローバー・イヴォークを彷彿とさせるものがありますが、プジョーが、そして3008が目指すプレミアムセグメントのことを考えたら多少似ててもまぁ問題ないということなのかもしれません。
新型3008のトピックとしては、新世代プレットフォームであるEMP2ベースとして、超ハイテン鋼やパネルやシートフレームアルミを採用するなど徹底的に軽量化を目指し、初代に比べて-100kg近くの軽量化を実現しております。
世代交代で-100kg近く軽量化するのはここ最近のプジョーさんの得意技ではありますが、従来モデルが重すぎたとか言っちゃいけません。
軽量化がもたらすメリットは新型208、308に乗ったことのある方なら直感的に理解できるのではないでしょうか。
パワートレインに関しては1.2L PuterTechターボと1.6L THPといういつもの構成に加えてアイシンAWの6速ATであるEAT6を組み合わせたモデルが日本に導入されるんじゃないでしょうかね。
あとは308、508に続いてクリーンディーゼルであるBlueHDiが追って追加される流れとかそんな感じじゃないでしょうか。
ちなみに新型3008は中国市場を始めとした世界戦略車となりますので、モデルバリエーションとして後からハイブリッド仕様のバリエーションが追加されることになりますが、初代3008に設定されていたディーゼルハイブリッドであるところのHYbrid4は商業的に見れば失敗となってしまいましたので、新型ではHYbrid4は名乗らないんじゃないでしょうかね。
一つ地味なところですがおや?と思ったのがサンルーフの処理です。
従来のPSAの車種は一枚ガラスによる広大なパノラミックルーフを採用するケースが多かったわけですが、逆に可動式のサンルーフは構造上採用できませんでした。
それに対して新型3008はパノラミックルーフ同様のガラス面積を確保していますが、真ん中あたりで分割して一般的な開閉式サンルーフを実現してきました。
こうした処理はオペルのザフィーラなど先例がいくつもありましたが、分割処理のラインがガラスに入るとパノラマ感の演出がイマイチになることから、個人的に今回のルーフガラスの処理はあまり好きではありません。
これだったら別にガラスルーフは必要ないかな、と思いました。
ただ、全体的にはPSAの開閉しない一枚ガラスのパノラミックルーフは珍しい存在でしたので、新型3008がそうした独自色を可能な限り排して他社と同等の使い勝手を実現する方向に向いたのかな?とも解釈できます。
その割にi-Cockpitなどインテリアではやりたい放題ではありますが。
さらに小径化されたステアリングホイールから見下ろす位置に配置された12.3インチ高解像度ディスプレイにはスピードメーターやタコメーターがグラフィックで表示され、欧州仕様ではナビゲーションのガイド(地図とは別に方向をガイド)といった表示も可能となっており、308から採用されたi-Cockpitからさらに過激に進化しました。
この辺りの表示はアイシンAWが開発してアウディTTに搭載されたディスプレイが先行事例として参考になるかと思います。
フルグラフィックで表示できるという事は、あらゆるカスタマイズが可能ということでもあるので、こういうことを夢想するわけです。
kaisendon / 海鮮丼太郎LOOX
巨大なディスプレイを用意すればもはやスピードメーターもタコメーターもグラフィック表現でどうにでもなる時代なのね。メーターのカスタマイズをオプションとして金を取るビジネスも成立するか。一定の基準を設けて外部にデザイン解放すればヲタ系デザインにもワンチャンありますよw at 05/23 18:27
インフォテイメント用の8インチタッチスクリーンも健在ですので、運転席周りが妙に液晶画面の面積が増えた印象を受けます。
液晶がデカくなりすぎた最近のパチンコ台みたいですね。
さて、日本語のプレスリリースでは触れられていませんが。
経営不振から中国資本を受け入れたことで、否が応にも中国市場を無視できない状況になったプジョーさんではありますが、最近では中国の色が着き過ぎているんじゃないかという懸念があるようです。
新型3008に関しては生産はフランスのソシュー、トレムリー、ドゥヴランの各工場で生産、出荷されることからメイド・イン・フランスを証明する"Origine France Garantie" をアピールするそうです。
プレミアムセグメントを目指すにはイメージが大切であり、中国のイメージはどちらかといえば隠したいというのが正直なところでしょう。
シャープの『世界の亀山モデル』なんていうキーワードを思い出した方がいたら、おそらくそのイメージで正しいですw
とはいえ、中国向けは東風汽車との合弁工場での生産になるのでしょうから“それ以外の地域に限って”というエクスキューズになりそうな気もします。
新型3008は10月のパリモーターショーでのお披露目&欧州での販売開始となることから、国内導入に関してはその半年後、2017年春ごろを想定しておけばよろしいかと思います。
ちなみに、サイズ感としてはこんな感じです。
Cセグメントでありながら全幅1841mm…
もうこの辺りは諦めるしかないんでしょうかね、まったく。
その他情報はNetCarShowあたりをどうぞ。
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