マツダがミニバンから撤退報道に思うこと

premacy_drop.jpg

2014年09月にこんなエントリーを書きました。

ちょっと小耳にはさんだプレマシーの噂

これは当時プレマシーの商談をしていた際に多摩川で釣りをしていたらディーラーの営業マン氏がコソっと教えてくれたお話でありました。

世代の古いMPVと極度の販売不振であるビアンテのオーダーストップが近いという話は聞いていましたが、日産へ『ラフェスタ・ハイウェイスター』としてのOEM供給もして一定の生産を維持してきたプレマシーがどうなるのか?という点に若干の望みを抱いていたのですが…

で、この時の話はなんだったのか?というと今のところ特に大きな動きはありません。

その代わりにドーンときたのがこちらのお話です。



マツダは2017年をめどにミニバンの開発・生産から撤退する。多人数が乗るクルマとして多目的スポーツ車(SUV)の人気が世界的に高まっており、ミニバンの経営資源を振り向ける。三菱自動車も小型SUVや電気自動車(EV)に注力する。トヨタ自動車など大手がほぼ全車種をそろえて拡大を続けるのに対し、中堅自動車メーカーでは車種を絞り得意分野に集中する動きが広がってきた。

 ミニバンは日本では2000年前後にファミリー層の圧倒的な支持を集めた。その後、デザイン性と運転そのものを楽しむSUVに需要が移り、市場縮小が続いている。

 マツダは「プレマシー」「ビアンテ」「MPV」の3種類のミニバンを展開するが、次期モデルは開発しない。15年の国内販売台数が3車種合わせて約1万600台と、直近ピークの10年と比べて4分の1の水準まで低下。人気車種が競合大手に偏る傾向が強まり、継続は困難と判断した。

 MPVは早ければ年内にも生産を中止する。プレマシーは日産自動車にOEM(相手先ブランドによる生産)供給しているが、生産中止に伴って日産への供給もやめる。販売は3車種とも17年には終了する見通しだ。

 ミニバン撤退で生まれる余力は世界展開しやすいSUVに振り向ける。販売中の中型SUV「CX―5」をベースに3列シート7人乗りの大型SUVを新たに開発し、18年にも発売する計画。

SKYACTIVのロードマップにおいてもミニバンタイプの車種については言及がありませんでしたので想定の範囲内のお話ではありますが、やはり残念という話ですね。

当BLOGでは買い替え候補の筆頭としてプレマシーをずっとチェックしていましたので、可能であればいつかはプレマシーと思ってはいたのですが…


■初代プレマシーは名車である
1999年に初代プレマシーが『プレマシーカプセル』というキャッチコピーと共に登場した際、その独特のパッケージングが注目を集めました。

たかだか4300mmの全長に3列シートを配したパッケージングは非常に効率的なものでした。
(もちろん居住性は高くはありませんでしたが、3列であったことが重要でした)

ホンダのモビリオやトヨタのシエンタなどが登場したのはその数年後だったことからも、初代プレマシーの先見性の高さが見て取れます。


また初期モデルは3列目のシートが取り外し可能で、取り外せばかなりの広さのラゲッジスペースが確保できたこともあり、現在の“普段は2列+荷物”、そして“緊急時に3列”というミニバンの使い方の基礎を作ったと言ってもいいでしょう。

競合が3列目シートを床下に収納できるようにしてきたため、マイナーチェンジでプレマシーも取り外し式から床下収納型に改良されました。

この辺りの効率的なパッケージングは、初代デミオに通じる機能性重視の発想から生まれたものと言えます。


■完璧に近い正常進化の2代目
パッケージ効率を優先したあまり居住性が疎かになっていた感の否めない初代プレマシーでしたが、マツダは2代目プレマシーを開発するにあたり、初代の良さを活かしつつネガティブ要因を潰すことでさらに素晴らしい車種に仕上げてきました。

それが2代目プレマシーです。

最も変わったのは初代がヒンジドアだったのに対し、スライドドアを採用したことです。

ロールーフミニバンでスライドドアを実現するのは高度な技術が必要ですが、プレマシーはそのあたりをデザインと機能性を高い次元でまとめてきました。

動力性能こそ特筆すべきものはありませんでしたが、3列目までちゃんと使えるスライドドアのロールーフミニバンという独特のポジションを確立するに至りました。

特に3列目を畳んだラッゲージスペースは、背の高いステーションワゴンとして活用するにも十分であり、競合となったトヨタのウィッシュやアイシス、ホンダのストリームを相手にまったく引けを取らない戦いを繰り広げました。



■時代に翻弄された3代目
2代目のプレマシーが素晴らしかったこともあり、新世代マツダの更なる技術力を投入して3代目のプレマシーが開発されていたらどうだっただろう?と思う事があります。

しかし、3代目プレマシーは2代目の熟成というレベルに留まざるを得ませんでした。

リーマンショックに加えてマツダのピンチを救ってくれたフォードとの資本提携解消という、会社存続の大きな岐路に立たされた時期に3代目プレマシーの開発が行われたため、思いきった開発コストが掛けられなかったのは3代目プレマシーにとって最大の不幸であったと言えます。

3代目プレマシーは、実質的に2代目のビッグマイナーチェンジでした。

基本プラットフォームはアクセラのものを流用しつつ、走行性能に磨きをかけてそれなりに高い商品力に仕上げてきましたが、話題性が希薄だったためサイドパネルに曲線のプレスラインを入れることでモーターショーで提案していたコンセプト「NAGARE」を実現しましたが、一般的な反応はあまり芳しくありませんでした。

しかし、2013年のマイナーチェンジで念願のSKYACTIVエンジンを搭載し商品としてのブラッシュアップが図られ、アクセルレスポンスからステアリングの反応まであらゆる面で走行性能に磨きがかけられました。

2代目プレマシーのビッグマイナーチェンジとはいえ、この完成度は未だに他者の追随を許していません。

その意味では、今買って乗っておくべき一台と言えるかもしれません。

願わくば販売終了までに『i-Activesense』など先進安全装備を採用した特別仕様でも投入してくれれば良心的なのですが…



■世界に影響を与えたデザイン
世界の流行から外れたガラパゴス市場などと揶揄される日本車ですが、初代RAV-4やCR-Vなどが切り開いたシティクロカンは、20年経って日産のキャシュカイを皮切りにクロスオーバーSUVとして世界の潮流に育ちました。

日本のミニバンブームであらゆるパッケージングの車種が登場したこともまた、世界の自動車メーカーに影響を与えていると言えます。

特にコンパクトMPVとしてのプレマシーのパッケージングは後の欧州メーカーのMPVにも影響を与えています。

欧州フォードのC-MAXやオペルのザフィーラ、プジョーの5008やVWのトゥーランなどは程度の差こそあれ、プレマシーなど日本のロールーフミニバンのデザイン上の影響が垣間見えます。

逆に日本市場でこうしたロールーフミニバンの市場が壊滅してしまったのは皮肉というほかありません。



■マツダはどこへ行くのか?
あらゆるユーザ層に対応するために車種を揃えるメーカーを一般的に「フルラインナップメーカー」と呼びます。
トヨタや日産、ホンダなどはその筆頭と言えるでしょう。

それに対して中規模のメーカーはフルラインで車種を揃える体力はもはやありません。
そのため弱い部分を他社からのOEM調達で埋めるという戦略を取っています。

マツダは軽自動車や商用車をスズキや日産、いすゞなどから調達して名目上のフルラインナップを揃えています。

ですので、いくら高級路線への移行を進めるとは言え、ファミリー層向けのミニバンラインナップを持たないという選択肢は考えにくいところです。

CX-5をベースとした3列シートの新型車を開発してはいるものの、それはあくまでクロスオーバーSUVの派生車種であって、ミニバン的なニーズの代替にはなりえません。

果たしてどこのメーカーから何を供給してもらうのでしょうか?

その辺りに今後のマツダという会社が向かう先が見えてくる気がします。


もちろん、OEM調達をせずファミリー層を切り捨てるという選択肢もありえるわけですがw








この記事へのコメント


この記事へのトラックバック