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【今北産業】(今来た人に向けて3行で要約)
・シトロエンに続きプジョーも車種別の販売実績を公開
・公開はうっかりではなく戦略的な意図も持ったもの
・累計では206のシェアが25.3%。しかし意外なモデルが意外と売れている
自由惑星同盟の航路図を見ながら
「これだ… これが欲しかったのだ…」
とつぶやいたラインハルトの気持ち、と言えばお分かりいただけますでしょうか。
フォードショックのおかげで話題になり損ねた感もありますが…
シトロエンから謎のプレスリリースでも触れたネタが、なんとプジョーさんからも同様に詳細な車種別の販売実績が公表されました。
ワールドワイドと日本のリンク先が逆になってるとかそんな些細なことは置いておきます。
例によって日経プレスリリースでは全データが取得できますが、プジョーさんのリリースページではプレスメンバーのログインをしないと閲覧できません。
これで先日のシトロエンのプレスリリースとあわせて、うっかりではなく明確な意図をもって国内における販売台数をオープンにしたことになりますね。
■シトロエンに続きプジョーも車種別の販売実績を公開
当BLOGでは長いことプジョーに関する話題を扱ってきましたが、年間の合計販売台数はJAIAのデータで把握できていても、車種別でどれだけ販売されていたのか?という詳細なデータはちゃんとしたソースの形で持ち合わせてはいませんでした。
(断片的に取得した情報はあったのですが、真偽が不明瞭だったり情報源の都合で詳細が書けなかったとか…)
その理由についてはシトロエンのエントリーでも触れましたが、車種別のデータといった統計情報はプジョーのプレスリリースページからメンバー登録をしなければ閲覧ができず、そのメンバー登録はジャーナリストや媒体関係者に限定されていたため、当方のような野良ブロガーがアクセスできる情報ではありませんでした。
他のメーカーでも車種別に詳細な台数まで情報を明らかにするというのは非常にレアです。
競合に手の内を明かすことにもなりかねないからです。
例えばルノーは2015年の国内販売がついに5000台の大台を突破したことをキャプチャーの発表会で公表していますが、その車種別構成については%での開示となっています。
新車登録台数に対する車種別構成比は、「ルーテシア(GT、R.S.含む)」が36.3%で最も多く、次いで「カングー」の33.0%、そして「キャプチャー」が18.2%となった。
まぁこれでおおよその台数は把握できるわけですが、好調だったルノーでさえ台数まで踏み込んでの公表はしていないということがおわかり頂けるでしょうか?
■公開はうっかりではなく戦略的な意図も持ったもの
先日のシトロエンの発表の際、ジャーナリスト向けに出すべき情報をうっかりして一般向けにプレスリリースしてしまったのでは?という疑念を抱きました。
しかしこうしてプジョーさんからも同様の発表があったということは、ミスではなく明確な戦略的な意図をもった発表であることが明らかとなりました。
しかもプジョーさんのデータでは車種別の実績だけでなく年次推移ならびに詳細なグレードの投入時期などの情報も併せて公開されています。
すっかり忘れていましたが、当方の307swが日本で発売されたのは2002年8月でしたね。
また当時の価格も併せて記載されていますので、データとしても非常に有用であります。
カーセンサーなどでもグレードや価格といった情報がカタログとして集約されていますが、一次ソースの信頼性に勝るものはありません。
シトロエンのエントリーでも触れましたが、一般的にここまで詳細な情報を開示するのは実績によほどの自信がある場合などに限られます。
プジョーさんの2015年の実績は、前年比でプラスに転じたものの一昨年の水準に戻ったに過ぎず、まだまだこれからという状況にあります。
ルノーのような大台突破という話題になるようなトピックもありませんでした。
そのため、シトロエンに続きプジョーさんがこのような情報を一般向けにプレスリリースを打った狙いがどうにもハッキリしません。
もちろん当方のようなプジョーうぉっちゃーからすると、今回の情報開示によってプジョーというブランドが日本でどのように展開してきたのかという多方面からの考察できるデータを開示してもらったので、諸手を挙げて称賛の声を送りたいところであります。
この情報をどのようにバズらせることを狙っているのか?
是非とも中の人に話を聞いていみたいところです。
■累計では206のシェアが25.3%。しかし意外なモデルが意外と売れている
ってことで、開示されたデータを少しいじってみましょうか。
1988年からの累計で車種別の実績をまとめるとこのようになります。
プジョーさんの中で最もヒットしたのは当然のことながら206であったわけです。
約5万台を販売し累計のシェアで25.3%というのは圧倒的な数字でしたね。
その次はやはり206と並んでプジョーブームを牽引した307で、累計2.8万台と母数がこれだけあるわけですから今でも街中で見かけることが多いのも納得であります。
次に続くのが306で2.4万台と、意外にもCセグメントでありながら日本ウケするプジョーだったということになるのでしょう。
新世代プジョーとしては4番手に1.6万台で207が、6番手に8822台で308が続きます。
プレミアム路線と大型化が進んで客離れを起こした時期にしては、後半のテコ入れでそれなりに売れた感じですね。
現行モデルとして見ると、2012年に販売を開始した208シリーズが7478台、そして意外にもRCZが累計で3681台も売れています。
RCZはプジョーの中では特殊なモデルとなりましたが、6年間コンスタントに売れ続けてたんですね。
ライオンミーティングやフレンチブルーミーティングでも抜群の存在感を発揮していただけに、現モデルで販売終了というのは惜しいです。ホント、惜しいです。
一方の208は、パワートレインの迷走により爆発的なヒットには至っておらず、2015年の実績では新型308より販売が少なかったというのはなかなか厳しい話ではあります。
しかしようやくターボとトルコン6速ATを手に入れましたし、フォード撤退報道に伴いフィエスタの客層を取り込む神風とも言えるチャンスを得たことになりますので、2016年の飛躍に期待したいところです。
ついでに。
一部で盛り上がっている2008とキャプチャーはどっちが多く売れたのか?問題について。
2015年の2008の実績は999台。
2015年のキャプチャーの実績は5082台のうち18.2%(≒925台)。
つまり、2008の方が台数的には売れているということになりますね。
とはいえ、一時は7倍近い差があったのに、“振り向けばルノー”というぐらい両メーカーの販売差は縮まってきました。
春に2008もパワートレインの刷新がありますので、流行のクロスオーバーとして販売を伸ばして欲しいものです。
あれこれ一晩中数字をいじっていたい気分ですが、とりあえず今回はこの辺で止めときます。
■この姿勢をどう活かしていくのか?
さて。
繰り返しになりますが、シトロエンに続いてプジョーさんも詳細な情報開示を意図的に行ったことが明らかになりました。
他のメーカーでもここまで踏み込んだ情報開示はしていないというのは上記した通りです。
プジョーさんの捨て身の姿勢には驚き半分、称賛半分という気持ちです。
ではこの姿勢をプジョーさんの販売促進にどう活かしていくのか?という事を考えてみましょう。
プジョーさんというブランドは、シトロエンやルノーなどに比べるとフランス車というイメージが希薄であり、どのようにクルマの魅力を訴求していくかをずっと苦労してきました。
簡単に言えば話題が無く、話題を作るのもヘタでした。
その話題作りの種を撒いたという見方は出来るかもしれませんね。
フランス車のミーティングでも、シトロエンやルノーに比べると旧車の比率が低く、長く乗り続けるオーナーの絶対数が少ない印象があります。
逆に言うとそれだけ新型車を好んで乗るオーナーが多いという見方もできるわけですが、その辺りの相関関係を見てみたいですね。
例えば今年も開催されるであろうPEUGEOT LION MEETINGにおける来場者の車種と販売台数の相関などで、オーナーの傾向は把握出来るかと思います。
個人的には、今年のフレンチブルーミーティングでプジョーに関しては台数だけでなく車種別のカウントも細かくやって、この販売台数との相関を出してみたいという野望すら芽生えてきました。
(一人で作業するのは無理です。念のため)
また一般の人にはプジョーがどういった歴史を辿ってきたのかということを知ってもらうきっかけには成りえると思います。
とはいえ、それはあくまできっかけに過ぎません。
これらの情報をベースにどういった情報発信を行っていくのか?
その次の一手こそが重要になるんじゃないかと思います。
シトロエンと共に捨て身のノーガード戦法を取る覚悟を決めた、
プジョー&シトロエンのあしたはどっちだ!?
うぉっちゃーとしては楽しみな2016年が始まりました。
この記事へのコメント
こたろう
累計では、旧308の8822台は予想より少ないですね。これでは苦戦するわけです。
2015年実績を見ると、2008の比率が、世界に比べて低い気がしますね。6ATになれは上向きそうですが。
フォードのようなことが無いよう祈るだけです。