2015年の輸入車市場を振り返る(2)


さて、前回は2015年を象徴するメルセデスとVWのトップ交代について触れたら長くなり過ぎました。

そして、続きを書こうとしたらいつの間にやらこんなに日が開いてしまいました。

ってことで今回も長いです。
すいません。

当BLOGでは年間1万台以上のブランドを便宜上輸入車の第1グループ(TOPグループ)と分類しています。

2015年の実績でいうと、6位のボルボまでが第1グループということになりますね。
ではその第1グループのその他を見て行きましょうか。


 2015年輸入車トップ20ブランド実績
メーカー20142015販売台数20142015順位
販売台数販売台数前年比順位順位前年比
Mercedes-Benz60,83465,159107.1%21
VW67,43854,76581.2%12
BMW45,64546,229101.3%33
Audi31,41329,41493.6%44
BMW MINI17,59621,083119.8%55
Volvo13,27713,510101.8%66
Jeep6,6917,129106.5%87
Porsche5,3856,690124.2%108
Fiat7,2896,03282.8%79
Peugeot5,7105,906103.4%910
Renault4,6625,082109.0%1111
Ford4,5984,856105.6%1212
Land Rover3,1262,97995.3%1313
Alfa Romeo2,6612,32187.2%1414
Citroen2,3211,97885.2%1515
Abarth3561,472413.5%-16参考値
Maserati1,4071,449103.0%1617
Jaguar1,0731,349125.7%1918
smart1,1141,01290.8%1819
DS869251075.6%-20参考値
■2014年途中よりAbarthFiatから分離、DSCitroenから分離のため前年比は参考値


■BWMは伸び悩みなのか?
3位のBMWですが前年比で台数を584台上乗せし+1.3%と、決して悪い数字ではありません。

しかし、一時はメルセデスと2位の座を争っていたのに、ずいぶんと差を付けられてしまいました。


その差はどこにあったのでしょうか?
そしてこれは伸び悩みと言えるのでしょうか?

2015年の車種別トップ20を見てみましょう。

順位メーカーモデル名2015年実績
1VWGOLF25,635
2BMW MINIMINI21,083
3Mercedes-BenzC Class21,031
4VWPOLO12,271
5BMW3 series12,050
6AudiA3 series10,604
7BMW2 series8,182
8BMW1 series8,080
9Mercedes-BenzCLA8,054
10Volvo40 series7,026
11Mercedes-BenzA Class6,752
12Mercedes-BenzE Class6,097
13Mercedes-BenzS Class5,844
14Volvo60 series5,316
15Mercedes-BenzGLA5,241
16VWThe Beetle5,043
17VWup!4,514
18Fiat500/500C4,370
19VWPASSAT4,136
20BMW4 series3,910

商品ラインナップで見ると、メルセデスもBMWも、各セグメントに隙間なく商品をラインナップし、そして新しいパワートレイン(PHEVやクリーンディーゼル)の投入にも積極的でした。

唯一大きく異なった動きとしては、2シリーズにアクティブツアラー&グランツアラーというファミリー向けMPVを投入したことでしょうか。

メルセデスはAシリーズのキャラクターチェンジによってむしろこのカテゴリから撤退した形になっており、その成否が気になるところです。

しかし、グランツアラーについてはセールス的に非常に好調であり、輸入ミニバンは売れないというジンクスを(今のところ)打ち破ってい
ます。

こうしたことによりBMWの他の2シリーズも含めると、1/2/3シリーズという3本柱でBMWの売上全体を支えていることがわかります。

唯一メルセデスと異なる点は、Cクラスの爆発的なヒットに対してBMWの3シリーズが対抗できるほどの実績を挙げられていないところでしょうか。

とはいえ、ファミリー層からインテリ層まで幅広い支持を獲得できているBMWは、プレミアムコンパクトのBMW MINIとの相乗効果によりまだまだ伸ばせる余地はあるのではないかと考えられます。

逆にファミリー層向けの車種が手薄になったメルセデスは、傘下のブランドであるスマートでその辺りを獲得していく狙いがあるようです。

従来のスマートの象徴でもある2人乗り(for two)は限定販売とし、新たにルノーと共同開発した4人乗り(for four)を209万円という設定で発売しましたので、今後は

メルセデス+スマート VS BMW+BMW MINI

というグループ単位での比較で見て行った方がいいのかもしれません。



■ついに前年割れのアウディ
4位のアウディに関しては後半にVWグループのスキャンダルに巻き込まれて、2006年から続いてきた右肩上がりの実績がついに前年割れを起こしました。

あまり語られませんが、リーマンショックでも販売を落とさなかったブランドはアウディぐらいのものでしたから、中の人もけっこうショックなのではないでしょうか。

また、昨年VWの庄司社長が逃げるように辞めましたが、アウディの大喜多寛社長も年末に退任するというニュースもありました。

奇しくも2006年の入社してアウディの快進撃を支えてきたこともあり、前年割れの責任を取っての退任なのか?と穿った見方も出来なくはありません。

アウディの快進撃も、昨今の新世代パワートレイン投入の躓きからピークアウトを迎えた印象もあるため、今後さらに販売を伸ばしていくにはいろいろと大変なのではないかと思います。



■モデルチェンジで大きく伸びたBMW MINI
正直言うと、モデルチェンジでこんなに実績を伸ばすとは思いませんでした。

ということでBMW MINIが絶好調ですね。

BMWグループの中では「プレミアムコンパクト」のカテゴリを担っているわけですが、その個性ゆえに競合することはほとんどなく、

「MINIくださーい」
「はいよーお買い上げありがとやんしたー」

みたいな感じで売れていくと冗談半分に営業マンの人が話してくれました。

個性というのがいかに大事か。
特に輸入車においてはその傾向がどれだけ顕著なのか。

お話を聞いて非常に考えさせられました。

とはいえ、モデルチェンジにより全体的な大型化がさらに進行し、クラブマンは見事なステーションワゴンとして生まれ変わっております。

市場の動向に合わせて商品性を変えていくアグレッシブと、旧来のMINIの持つキュートな感じを好む人との微妙なズレが気になるところですが、販売実績を見る限りそれは杞憂のようですね。



■クリーンディーゼルで持ち直したボルボ
V40ならびに先進安全装備の話題性によって爆発的に売れた2013年に対し、翌2014年は大幅に実績を落としてしまった(というより需要が一巡した)ボルボでありましたが、2015年は再び持ち直しの傾向を見せております。

ボルボが得意とするクリーンディーゼル仕様の投入によって安全性と経済性、そして先進性をアピールできたのが貢献していると言えるでしょう。

しかしVWのスキャンダルによってクリーンディーゼル全体に水を差された格好となり、目標ほどは販売を伸ばせなかった、みたいな話を聞きました。

とはいえワールドワイドでの販売も好調のようですので、引き続き先進的な取り組みをした車種が登場してくることが期待されます。

それと忘れちゃならないのがこの件です。


既報の通り、ボルボは世界のモーターショーへの出展を大幅に削減し、その代わりに時代に則した新たなプロモーション展開を行うという方針を出しました。

そして2015年の東京モーターショーにはやはり出展しませんでした。

果たしてそれでも実績は伸ばせるのか?

そのプロモーション手腕についても注目していきたいところです。



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