やはりVWの影響が大きかった11月の輸入車市場

さて、師走です。

多くの輸入車メーカーにとって、12月は締めの月となり、年間販売台数上積みのため最後の追い込みに掛かっています。

その助走期間とも言えるのが11月の販売実績であります。

その実績がJAIAより発表になりました。

ってことで11月の主なブランドの実績を前年比でまとめるとこんな感じになりました。

2015年11月度輸入車登録実績(TOP20)
ブランド名10月前年同月前年比
Mercedes-Benz4,8935,38190.9%
VW3,6385,33268.2%
BMW3,5003,60897.0%
Audi1,9222,49976.9%
BMW MINI1,9611,606122.1%
Volvo1091975111.9%
Jeep43848091.3%
Porsche52754596.7%
Fiat532341156.0%
Peugeot512454112.8%
Renault368366100.5%
Ford437296147.6%
Land Rover17821782.0%
Alfa Romeo11116567.3%
Citroen14121565.6%
ABARTH11682141.5%
Maserati165141117.0%
Jaguar13657238.6%
DS65  
Ferrari384780.9%
合計21,48123,31092.2%

当BLOGが注目するのはプジョーさんを含めた欧州の大衆車メーカーの動向でありますが、今月は動向が注目されるVWとメルセデスについて見て行きたいと思います。

東京モーターショーもそこそこの話題を振りまいて終了し、各メーカーにとっては刈り取りの重要なタイミングでありました。
各社とも熾烈な販促合戦を繰り広げ、輸入車を検討する人にとっては車種も豊富で条件の交渉もしやすい、非常に恵まれた時期にあると言えます。

そのタイミングであるにも関わらず、全体では前年比92.2%ということで前半好調だった輸入車市場も冷や水をぶっかけられた形であり、年間トータルでも良くて前年同等もしくは前年割れあたりに落ち着きそうであります。


上記のツイートでも触れましたが、VWの前年比68.2%という実績は、未だに不祥事に関するニュースが次々出てきている状況を考えるとよく頑張った方ではないかと思います。

毛野犬坂さんの言ってるのはこちらの記事のこと。

こういうポジショントークをしなければならない自動車評論家という職業に同情の念を禁じ得ませんが、もう若くもない小沢コージさんは今後どうやって食っていくつもりなんでしょうか?

話は飛びましたので戻します。

日本市場で販売されているラインナップは、(まだ疑いの余地は残されていますが)基本的にオーナーにとって不利益になる仕様は搭載されていない(ことになっています)わけで、商談においてかなり魅力的な条件が出ていることを考えると、このタイミングでVW車をあえて買うという選択も消費行動としてある意味正しいと思います。

想定されるリスクは、下取価格の下落と世間のVWに対する悪化したイメージを気にするかどうかという主観的な部分になってくるかと思います。

『よく訓練されたVWオーナーは他人の目や下取価格など気にしない』ということで、本当に好きな人だけ残るのであれば、長期的に見てもVWというブランドにとってはプラスになるんじゃないでしょうかね。

今、VWを選んでくれたオーナー。
そしてVWを乗り続けてくれるオーナーを大切にすべきかと思います。


さて、もう一つの興味はメルセデスの勢いですね。
新型Aクラスで若年層を意識したプロモーション展開をした2012年にこんなエントリーを書いてました。


その後もマリオとのコラボなどおよそメルセデスとはかけ離れたプロモーションを続けており、そうして撒かれた種が今の好調に繋がっているため、今回のPurfumeとのコラボについてもそれほど驚きはありませんでした。

ただし、成功している方の上野さんこと、メルセデス日本法人の上野金太郎社長が積極的に自分を前面に出して『なぜ、メルセデス・ベンツは選ばれるのか?』というストレートなタイトルの本を出版したりと、妙に浮かれた感じが見受けられるんですね。


こういうのは上野金太郎社長自身のブランディングという意味ではそれなりに効果はあるんですが、成長がピークアウトすると逆効果にもなったりするわけです。

VWで庄司茂元社長が自分自身を全面に押し出してアピールしていたのが、『ゴキゲン♪ワーゲン』のプロモーション展開で潮目が変わったとたんにネガティブな評価に転じたことからもわかるように、自慢も度が過ぎると叩かれるということにもなるわけです。

自慢の根拠は成長が続いていることであるわけですが、10月、11月ともに追い風でありながら前年同月を上回っていないことからも分かる通り、メルセデスの勢いもピークアウトを迎えたのではないか、というのが当BLOGの見解であります。

比較的若い層が300万前後で買えるAクラスに飛びついてますが、その維持費の高さに音を上げているのも目にします。

果たして彼らがちゃんとAクラスを乗り続けることができるのか?

この辺りも注目したいところです。


そんなわけで、11月の実績に関して、VWとメルセデスに絞ってちょっと思ったことを書いてみたのでありました。
その他のブランドについてはツイートであらかた触れたとおりです。



おまけですが。

成功できなかった方の上野さんこと元プジョーシトロエンジャポンの社長であった上野国久さんの著書も改めてご紹介しておきますね。


プジョーの社長時代については大しておもしろいことが書いてあるわけではありませんが、その驚きの経歴と内容はそれなりに読み物として面白かったですし、何よりセガ方面にはネタ本としてぜひ手元に置いといて欲しい一冊であります。



この記事へのコメント

  • しの。

    こんにちは。VW車の5月の販売台数が久々に前年比プラスに転じたと言うことでニュースになっていますね。
    果たして本当にVWが大好きなユーザが戻ってきたのか、それともブランドに拘らないユーザ層が合理的な判断をした結果なのか。。。今後の展開を暖かく見守りたいと思います。
    2016年06月07日 18:24
  • 海鮮丼太郎

    >しの。さん

    VWの復調が本物なのかどうかはまだ現時点ではなんとも言えない気がしていますが、ゴルフとポロの値下げで「ジワジワと値上げを繰り返してきたVWが再び安くて実用的な大衆車というポジションに復帰した」というのが現状ではないでしょうか。

    ちょっとそのあたりをエントリーにまとめてみました。


    VWは復調したんでしょうか?
    http://kaisendon.seesaa.net/article/438827644.html


    ゴルフの数字を押し上げたのはトゥーランの実績によるアシストだと思われますので、これが来月以降どう動くか次第だと思われます。
     
    2016年06月13日 07:35

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