プジョーさん、ついに心のドアを開く

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※この情報は10月29日時点のもので、最新状況がどうなっているかはわかりません。

東京モーターショーの目玉はいくつかあれど、個人的に最大の関心事はプジョーさん(およびシトロエン、DS)の展示車がドアロックされているかどうか?という一点にあった。

話は2年前に遡る。

2013年の東京モーターショーは、プジョー&シトロエンとして出典はしたものの、展示車のすべてがドアロックされていて中を自由に見ることができないという、信じられないものだった。

一般的にモーターショーにおける展示は参考展示と一般展示に分けられており、コンセプトモデルや特殊な仕様のモデルは参考展示として中が自由に見られなくなっているというのは他のメーカーでもよくある話だ。

それに対して一般展示は正式に発表もしくは発売された車種を、今後の潜在顧客の可能性がある来場者に認知してもらうために、ドアロックなどはせずに自由に触れてもらうことを目的としている。

前回のプジョー&シトロエンブースにおいては、参考展示としてC4ピカソが展示されていた。
これはまだ背式発表ではなかったのでドアロックされていたのは理解できる。

しかし、正式発表された2008の展示車ですら、外観は自由に見られたもののドアロックによって中を見ることができなかった。

その姿はまるで心のドアをロックして、客との対話を自ら拒否しているようにすら感じられた。

一方、2008と同時期に正式発表したルノーのキャプチャーは、そうした姿勢とは真逆で客に自由に見てもらう展示をしたせいで、明らかにブースの賑わいはプジョーを圧倒していた。


当BLOGではこの出来事に関してエントリーを書いたが、はっきり言ってバカとしか言いようがなかった。



あれから2年経って社長も体制も変わったPCJが、今年のモーターショーでどう客と向き合うのか?

それがドアロックの有無に集約されているといっても過言ではない。

だからこそ、入場してすぐにプジョーブースへと足が向いたのだった。

結論から言えば、展示車種のドアロックは解除されており、中を自由に見物することができた。

しかもまだ正式発表されていない508GT(ディーゼル仕様)やC4カクタス、308GTiなども自由に見学することができて、PCJの各ブースは大勢の来場者で賑わっていた。

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なんだよ、やればできるじゃんか。

心の中で目頭を熱くする俺ガイル。

これ、これですよ。
せっかく高い金払ってモーターショーに出展するのなら、チャンスを最大化するためにやるべきことを当たり前にやる。

ブースの熱量も、来場者の熱量も2年前とは桁違いに高まっていたのは恐らく現場のスタッフが一番実感していることだろう。


その代わりとして、他のメーカーが配布していた紙のカタログはプジョー、シトロエン、DSのブースでは用意されず、代わりにデジタルカタログのURLを案内するカードが配られていた。

モーターショーでいるかどうかもわからないカタログを片っ端から集める好事家にとっては不満ではあっただろうが、限られたコストに配分を考えた結果だろうから、このデジタルカタログの取り組みについてはあまりネガティブな評価をするつもりはない。
(もちろん刷り物があるに越したことはない。その分アピールを強くすることが出来ただろうから。)

そんなわけでプジョーならびにシトロエン、DSブースではあるが、いくつか気になったことをいろいろ聞いてみた。


まず208に関して。



ちゃんと停止する自動ブレーキこと「アクティブシティアクティブブレーキ」の採用やスーパーチャージャー付き3気筒1.2Lエンジンの採用など先進装備が充実してはいるものの、欧州仕様では対応がアナウンスされている「Mirror Link(Mirror Screen)」や「CarPlay」には対応していないとのこと。

MirrorLinkやCarPlayは共通プロトコルとして言語や地域別の規制にもハードウェアを変更せずソフトウェアで対応可能になっているため、日本市場においてもすでに他社がCarPlay対応製品を出していることもあり、導入の障壁は低いものと見ていたのだが…

従来通り日本製ナビをビルトインすることでナビゲーションの表示が可能になってはいるが、ミドルウェアの開発に難儀してリリースが遅れたといった過去もあったので、この辺りの自由度は確保していて欲しかったところだ。

この辺りはひょっとするとランニングチェンジで対応してくるかもしれないので今後の動きを注目したい。


クリーンディーゼルに関して。

正直言って日本市場で存在感が非常に希薄になってしまった508ではあるが、クリーンディーゼル仕様を予定通り導入することでカンフル剤としたい思惑が見え隠れする。

よく訓練されたプジョー乗りは展示車のボンネットを開けてe-HDiディーゼルエンジンをこれ見よがしにひけらかすアシストをするのを忘れない。

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日本で初お披露目となるプジョー製e-HDiエンジンを写真に収める来場者も多かったことから、こうしてエンジンを見えるようにしておくと結構な人が足を止めて興味深そうに眺めていた。

しかし、VWのパサートがまったく同じセグメントで同じ狙いで準備を進めていることを忘れてはならない。

あえてプジョーのDセグメントディーゼルを選ぶ理由はあるのか?

その差別化をどうアピールできるかが肝になるだろう。

2016年前期は508の、そして後期には308のクリーンディーゼル仕様を投入するそうなので、最初で躓かないで欲しいものだ。


2008について。

2016年中に208に続いてパワートレインを刷新する予定とのこと。
具体的なスケジュールは未定だが、恐らく後半になるかと思われ。

2008も208と同様にETG5と1.2L NAエンジンでセールス的にヒットと呼べるほどの台数は売れていないので、このあたりの商品力を高めたいところだろう。

BセグメントクロスオーバーSUVは直接のライバルであるルノーキャプチャーだけでなく、ジープレネゲード、フィアット500Xといった新参組の参戦に加えて国産勢も魅力的な車種をどんどん投入してくる大激戦区になりつつある。

C4カクタスとともに、早く準備を整えて商品アピールを開始しないと、その他大勢の中に埋没してしまう懸念があるので割と待ったなしの状況だ。


で、そのC4カクタスだが。

モーターショーにおける注目度は抜群だった。

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今回のプジョー、シトロエン、DSの展示の中で、レイアウト的に奥に追いやられてしまったシトロエンブースではあったが、それでも抜群の存在感を発揮していたのだから見事なもんだ。

もっと通路寄りの目立つところに置いても良かったんじゃないかなぁ…

とはいっても、これだけ話題になっていながら国内導入のスケジュールに変更は(今のところ)無いそうだ。

興味深げに展示車を見つめる大勢の客の表情見ていると、やはり鮮度が勝負のこうした商品は新鮮なうちに市場に投入した方がいいという個人的な考えは変わらなかった。もったいない。


DSに関して。

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『東京モーターショーではDSストア1号店に関する情報をお伝えできればと考えています。』
と発言していたにも関わらず、具体的な計画について発表はなかった。

なんだよ嘘つき!

中の人に話を聞いてみたが、

「今のところ正式にアナウンスできる情報はない。
 年明けには何らかの発表ができると思う。」

との回答。

期待を煽っておいてそりゃないよ。

まぁ、あそことかあそこにできるとかいう話はなんとなく聞いてるが、DSというブランドのお披露目の機会だったんだから、東京モーターショーのタイミングできちんと発表しておかなきゃ興味の持続という点で機会損失だと思うけどね。




余談だが。

ボッシュのブースでHYbrid Airについて話を聞いてみた。

圧縮空気を利用したパワートレインのコア技術を持っているボッシュではあるものの、あくまでその技術を使って完成車を作るのはメーカーであり、ボッシュとしては技術的にできるところまではお手伝いしたつもりだが、PSAの実質的な計画の頓挫発表以降具体的な進展の話は聞いていないとのこと。

市販化において何がそんなに難しかったのか?という点については、回生で得られるエネルギーの効率が課題という話だった。

ブレーキのエネルギーを回すだけでは足りないため、走行中にどのように圧縮のエネルギーを確保するのかが難しいところではある、と。

完成すれば208クラスの小型車にも採用できる技術ではあったものの、市販化のメドは完全に潰えたとみて良さそうだ。

180名規模の開発部隊を大幅に縮小したというのだからPSAとしてはかなり本気で実用化を目指していたのだろうが、結果といてこの飛び道具は武器としての完成を見ず、一般的な電気+エンジンのハイブリッドシステムを後追いで開発するため大きく遠回りしてして後れを取った感は否めない。


ついでにアイシンのブースでトランスミッションについても話を聞いてきた。

308や208で第3世代のトルコン6速ATを収めているが、順調に販売台数を増やしているとのこと。
現在主力は6速ATではあるものの、ボルボやレクサス向けに8速ATを収めている。
ただし、今後必ずしも多段化が進むかはわかならい、とのこと。

PSA向けに8速ATを供給するという噂もあるが、現時点では正式にコメントできる状況には無いそうだ。

多段化はコストと重量アップにつながるため、必ずしもギア数が増えればいいというものではない。

新型308や208に採用されたEAT6のセッティングを見てもわかる通り、ロックアップの制御をきちんとやれば、6速でもじゅうぶん心地よい走りを実現することができるので、個人的にトルコンATは6速あれば事足りるというのが乗ってみての感想だ。

ついでに最近DCT(Dual Clutch Transmission)とトルコンATの評価について聞いてみたところ、VWがDSGの投入によってDCTこそ最も優れた自動変速機だという評価が蔓延したものの、最近ではトルコンATも効率がMTやDCTと同等レベルまで改善しており、再評価の機運が高まっているとのこと。

VWにおいてはディフィートデバイスの問題もさることながら、国内においては乾式DSGのトラブル事例が多く、また低速や上り坂での挙動といった部分で不満の声も多く聞かれるようになったが、こうした問題はトルコンATではほとんど発生しないため、むしろアドバンテージとしてアピールできる状況になっているとのこと。

それゆえに、308やマイナーチェンジされた208に掛かる期待も大きくなるというものだ。


そんなわけで、東京モーターショーにおけるプジョーさん関連の話題をまとめて書いてみた。

その他あんな話やこんな話も聞いたんですが、書いてる時間がねーや。ははは。


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