記事を書いてるのが日経BPの大西さんということなので、その辺りを差し引いて読まねばなりませんが、概ね事実関係には間違いはないでしょう。kaisendon / 海鮮丼太郎MARTY
トヨタさん、逃げ切り組確定ですな。|トヨタもVWの不正に抗議していた http://t.co/KxMDTYgZuE #日経ビジネスオンライン at 10/01 10:56
環境性能を向上させるための技術なんてものは技術的にそう大きなブレイクスルーが起きるとは考えにくく、燃費と排出ガスの規制クリアを両立させるというのは何か飛び道具を使わない限りは実現が難しいというのが世界の自動車メーカーの共通課題であったとも言えます。
トヨタはその解決策としてハイブリッドを主軸として対応してきたわけですが、製造時の環境負荷が高いという問題はあるものの、一応は燃費と排出ガスの問題を解決してきたわけです。
そんなトヨタからすれば、従来技術の延長でどうやってVWが環境基準をクリアしてきたのか?その点に対して疑念を抱くのは当然であります。
リバースエンジニアリングなどあらゆる手段を使って構造を探るのはトヨタに限らずどのメーカーでも行われていますが、その結果として不正をしなければ実現できないんじゃないか?という結論に至ったのでありましょう。
それを欧州当局に告発するというのは、もし不正がなかったとしたら逆にトヨタが非難を浴びることになるためそれなりの覚悟があったものと思いますが、事態が露わになったことによりトヨタの疑念は正しかったということになったわけですね。
これでトヨタは不正を行っていないというある種の免罪符を得たことになり、逃げ切り組としてめでたく対岸の火事を眺めていればいい立場になったとも言えます。
そうなってくると、こういう情報がどうして出てきたのか?またどういった意図があるのか?という疑念が浮かんできます。
独VWの排ガス不正を受けて、同社と世界シェア1位を争うトヨタは、役員会で豊田章男社長が「VWの苦境につけ込む火事場泥棒のようなことは断じてやってはならぬ」と厳命したそうだ。それがビジネスとして正しいかは別にして、トヨタは収益だけでなく文化面でも一番良い時期にあるのだろうと思った。
— 木村岳史(東葛人) (@toukatsujin) 2015, 9月 24
kaisendon / 海鮮丼太郎MARTY
章男社長の火事場泥棒発言、結局まともなソースってその後出てきてないんだよなぁ。キャラとしての章男社長としては言いそうではあるが経営者としての発言とも思えず、さらにツイート主の素性からしてあんまし信用できない。 at 09/27 17:07
kaisendon / 海鮮丼太郎MARTY
キャラとしての章男演出を考えれば周りでそういう噂レベルの話が出ても本人はいっさい黙っているというのが一番好感度を上げることにはなるので、東京モーターショーに向けていろいろと動いてるんじゃないの説。 at 09/27 17:10
VWと世界一を争うトヨタが相手の敵失を見逃すなんて判断をすることはあり得ません。
武士道とか仁義を重んじるとかもしそうしたニュアンスが出てきたとすれば、それは好感度アップを狙った演出と考えるべきです。
つまり、カーガイである彰男社長とトヨタの経営者である彰男社長という人格は別であり、今回の話はカーガイである彰男社長のイメージアップを図る狙いがあると考えておけばよろしいかと思います。
これがトヨタサイドから流された情報か、日経の木村氏の妄想なのかはこの際問いません。
こういう噂レベルの話が流れること自体に意味があるわけです。
そんなわけで、日経関連の人が発信源である場合はその辺りをまずは疑ってかかるのがリテラシーってもんでしょうね。
さて、話は戻ります。
VWが排出ガスをごまかしてまで実現したかったことは何なのか?という点についてこう指摘されています。
試験以外のリアルワールドでは基準値の40倍のNOxをまき散らしていたと報じられたVWだが、カタログ燃費と実用燃費のかい離率は他社に比べて小さい。
毎年の全社平均値より下回っているのは、VWグループと小型車が主力の仏フィアットと仏プジョーシトロエングループ(PSA)だけだ。この対象車はディーゼル車以外も含まれるが、欧州で走行しているクルマを対象としたため、ディーゼル車が多いと見られる。
実際、これまでVWは実燃費の良さを売りにしてきた。VW日本法人のホームページでも、他社と比較しながら実燃費の良さをアピールしている。
欧州車がカタログ燃費と実燃費の乖離が少ないというのはよく言われることであり、実際日本に持ってきた際の10・15モードならびにJC08モード燃費との乖離も比較的小さいと言われておりました。
ちょっと古いデータですが、e燃費の集計においてプジョー207の実燃費がカタログ値を上回って日本一にになった!なんて話題もありました。
プジョーの燃費は日本いちぃぃぃ!
グラフを見てもVWグループならびにPSAはカタログ燃費と実燃費の乖離が少なく、平均より大幅に下回っていることがわかります。
(PSAに対しても不正の疑念が出てくるわけですが、今のところは特にステートメントは出てないようです)
この実燃費を重視するという姿勢は、ある意味では消費者メリットとして非常に大きな意味を持ちます。
環境対応は金にならないが、実燃費重視は金になるというのはわからなくもありません。
だからといって不正をしていい理由にはなりませんが、今後の環境基準を考える上でここは大きな意味を持ってくることになるでしょう。
おとといのエントリーでも触れましたが、WLTC(Worldwide harmonized Light-duty Test Cycles)やRDE(Real Driving Emissions)といった新たな世界レベルでの環境基準ならびにテスト基準が準備されています。
複数用意されたテスト項目のうち、どれが適用されるか直前までわからないようにすることで事前対策を事実上不可能にする新方式でのテストが実施されることになるため、これにより燃費だけでなく排出ガスについてもより実態に近い内容が明らかになることが期待されます。
(日本がどこまでRDEにコミットするかは不明ですが、世界的な流れから採用はそう遠い話ではないでしょう)
イーロン・マスクがドヤ顔でポジショントークをしておりますが、どうやったってあと数十年は内燃機関に頼らざるをえないのですから、そういうのは放っておいてとりあえず今できることをきちんとやって公平かつ公正な環境で内燃機関のブラッシュアップを進めて行ってもらいたいものだと思います。
[補足]
実燃費のJC08モード燃費達成率については、最新の情報をe燃費のサイトから確認できます。
意外と輸入車、中でもプジョーならびにシトロエンブランドが好成績を収めてますね。
こういうのは宣伝文句としてアピールしてもいいんじゃないかと思いますね。
この記事へのコメント
しの。
つまりVWのクリーンディーゼルの実力は「実車でNOxを測ってみれば誰でも首を傾げざるを得ないレベル」であったと思われ、こんないつ不正がバレるか分からない高リスクな製品を何年も市場に送り続けてきたVWの心理が理解できません!それほどまでにライバル・プリウスの存在がVWにとって「目の上のタンコブ」だったという事でしょうか。
私はトヨタもプリウスも嫌いではありませんが、HVにもディーゼルにも夫々メリット・デメリットがあって、ユーザーが個々の使い道に合った製品を選べる事が好ましいと思っています。今回のVWの不正がきっかけで、他社のディーゼル車も含めた市場に水を差す様な結果にならなければ良いのですが。。。
海鮮丼太郎
コメントありがとうございます。
並行輸入に携わってる方のコメントは非常にリアルですね。
正直言うと、日本の対象台数(=並行輸入の該当車)が230台ってずいぶん少ないなと思ったんですが、そういった事情を並行業者も御存じだったのかもしれないですね。
そう考えると、どうしてこんなザルみたいな不正をVWが行ったのか理解できませんし、当然こうした話はVWにも多方面から指摘が入っているでしょうから、一部の人間だけで不正を行ったというVWの主張は説得力を持ちません。
力を持つ企業の驕りがそうさせたのかもしれませんが、冗談ではなく会社存続の危機というレベルの話になってきましたね。
当然世界各地でディーゼルに対する嫌悪感がそれこそ石原都知事のペットボトルアピール並に広がることは避けられないと思います。
それに乗じて政府もクリーンディーゼルへの補助や優遇などを切り捨てる可能性も出てきますので、結果としてディーゼルの芽が摘み取られてしまう危機感を感じております。
今やれることは、不正を行っていない他のメーカーが、排ガスと燃費の問題をきちんと解決した上で、選択肢としてのディーゼルを残すという努力をすることだと思います。
そして、消費者も単なるバッシングに乗るのではなくきちんと事実を見極めたうえでメリットを感じるのならばディーゼルを買って応援する姿勢を見せることが必要でしょうね。
何にしても正しい行動でしか、問題は解決できないと思います。