英国では今年の2月に放映されたものの、日本ではおととい初オンエアとなりましたのでご紹介。
ジェレミー・クラークソンが司会を務めるTopGearとしてはこのシリーズ22が最後となりますが、そのEpisode:5において、プジョーを総括的に扱っております。
日本語字幕の書き起こしになりますのでオリジナルのニュアンスとは異なっているところもありますが、ジェレミー・クラークソンが何を伝えようとしているのか、考えてみるのもいいかもしれません。
個人的感想については別エントリーで書こうと思います。
長い歴史を誇る、偉大なメーカーはたくさんあります。
フェラーリ、ジャガー、ランチア、マセラティなどです。
しかし今日私とジェームズが注目するのは、
その中でももっともすばらしく独創的なメーカー。
『プジョー』です。
長いので続きは下記のリンクからどうぞ。
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数千年もの間、灼熱の北アフリカで、
広大な砂漠を移動する手段は1つだけでした。
これ(ラクダ)です。
ギリシア人ローマ人 ベルベル人 フェニキア人
ヴァンダル人 アラブ人 カルタゴ人 トルコ人
フランス人 トゥアレグ人 イタリア人
英国人も乗りました。
しかし1968年、4000年続いたラクダの時代は終わった。
プジョー504の登場だ。
多くの人はランドローバーやジープが世界の最果てにエンジンを持ち込んだと思ってる。
実際はこれだ。
かつて“アフリカの王”と呼ばれた。
車高が高く、パーツが安価。
しかしアフリカで重宝された本当の理由は丈夫さでした。
たとえばこんな話をよく効く。
100万キロぐらい走ったプジョー504が、
ランドローバーが行けない場所にも行けたとか。
40年前プジョーは“タフ”と“常識”の代名詞でした。
しかし1983年にプジョーは、強くて丈夫なベージュ色の車の生産をやめた。
パンツを脱ぎ、スポーティーで楽しい車を目指した。
完全に方向性を変えたんだ。
優秀な“サス職人”を雇いこんな車が生まれました。
505GTiはBMWに対抗するスポーツセダンです。
プジョー405 Mi16はマシンガンのような爆音で、速さも弾丸並みでした。
しかし最高の1台はこれ。
往年の名車 205GTiです。
ジェームズが運転しても速い、驚異的な車でした。
80年代を代表するホットハッチだろう。
今でもイケてる。
504と同じ会社が作ったとは思えない。
あまりに違うからね。
しかしプジョーの転身はこれが初めてではありません。
プジョーは1810年に創業し製鉄業で成功を収め、1840年には木製のペッパーミルを作り始めた。
世界最高のペッパーミルだ。
1852年にはコルセットの生産を開始。
しかし30年後はたと気づいた。
"本当に作りたいのは自転車だ”
これがその自転車だ。
実にすばらしい。最高の自転車だ。
でも自転車ときたら次のステップは、軍需メーカーになることだ。
彼らの砲弾は世界最高クラスだった。
第二次世界大戦が始まりドイツ軍が来ると、プジョー氏はモノ作りへの情熱を失った。
そしてある夜、工場に爆薬を仕掛け、何もかも吹っ飛ばしてしまった。
この波乱の歴史を考えると、丈夫な車を作っていた会社が突然205GTiのような車を作ったのも納得だ。
そして鉄鋼やペッパーミルや自転車や兵器と同じく、車作りの技術も驚くほど高かった。
ターボ付き4WDのプジョー205 T16は世界ラリー選手権で16勝を挙げました。
フォード、アウディ、ランチアの強豪を抑え、2年連続世界タイトルを獲得。
スポーティーな車を次々と発表し、プジョーは絶好調でした。
しかしある日パリで会議が開かれました。
(俳優による再現ドラマ)
(お粗末な仕上がり)
「諸君、スポーティーな車は卒業しよう」
「何と」
「ウソだろ?」
「でも、ほかに何を作る?」
「ハンガーとか傘とか?」
「私にアイディアがある。」
「ひどい車を作ろう」
「救いようのない車だ」
「すごく醜いとか?」
「いいね」
「役立たずのエンジン」
「すぐ壊れて乗り心地が最悪のやつ」
「内装は唾液をつけたチリ紙を張る」
「そいつはいい」
「いい考えだと思わんかね?」
「細かいことは言いっこなしだ」
「諸君最悪の車に乾杯だ!」
「サス職人を呼べ。クビにしてやる」
「賛成だ」
「実りのある会議だった。プジョーはこの先も安泰だ。」
これがその結果です。
憎たらしい1007やマヌケな407。
悲惨な607や驚くほどダメな3008。
安っぽくハンドリングの悪い、肥溜めのような車です。
広告も変わりました。
炎の中を走る車や空飛ぶ205は姿を消し、
こんなやっつけ仕事に。
(月々わずか99ポンドで車が買える)
(合計3000ポンドをキャッシュバック)
(今なら無料でカギ付きの給油キャップをサービス)
(年利29.4パーセント)
(名前が書ければ購入可能)
(返済不能の際には制裁あり)
“プジョーが販売トップ”
“プジョーが躍進!”
“プジョーが英国車を上回る
“プジョーの成功街道”
効果はてきめんでした。
セールスが急上昇。
丈夫でスポーティーな車のメーカーは、ひどい車を作ることにも長けていたのです。
性能を確かめるため2人で実験をします。
(酷すぎるので説明は省略)
プジョーは丈夫な車を作っていた。
スポーティーな車も作った。
ここ10年はひどい車を作ってる。
世界の未熟なドライバーにとっては完璧な車だ。
心配なのはプジョーがまた新製品を作り出すかもしれない。
次は何かな?
プジョーだから不活性ガスとか?
9人編成のR&Bバンドかも?
時が経てば分かる。
C:Clarkson
H:Hammond
M:May
H:「マジで?」
C:「今までで一番苦しかった」
「火に包まれて息ができなくて死ぬかと思った」
H:「ちょっと待って」
「君たちはプジョーが10年間わざとひどい車を作ったと?」
C:「そうだよ」
M:「偶然にしては出来すぎだ」
C:「よく考えてみろ」
「複雑なブレーキや高価なサスを作っても、購入者はラジオやローンにしか興味がない」
M:「チープな車を作っても買う人がいる」
C:「こう考えろ」
「こうしてる間にも900万人の英国民が裏番組のドラマに夢中になってる」
H:「彼らはプジョーの所有者?」
C:「そうだ」
「プジョーが牛を育て始めたらみんな悲しむ。」
そろそろお別れの時間です。
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