PSAがタバレス体制に移行して「BACK IN THE RACE」のスローガンのもとに再生を図っておりますが、その中でブランドの再構築というのは割と重要な課題であったりします。
従来の「プジョー」、「シトロエン」という2つのブランドに加えて「DS」をシトロエンのサブブランドから独立したブランドへと昇格させ、それぞれのブランドを
D S | 富裕層向けプレミアムブランド |
Peugeot | 世界レベルの高品質ブランド |
Citroen | 価格競争力のある大衆ブランド |
という位置付けに変更しました。
シトロエンは低価格を売りにするバジェットブランドというほど値ごろ感はなく、むしろ従来のプジョーが持っていた大衆車路線を引き継ぐ方向にシフトしたと考えて良さそうです。
その代わりにプジョーが高品質を売りにする方向に若干シフトしていく感じですね。
これはVWグループにおいてVWが若干プレミアム方面へ移行した穴埋めとしてシュコダやセアトの品質を向上させて大衆車としてのピースを代わりに埋めようとしている戦略と似ている部分があります。
(MQBプラットフォームをグループ全体で共有して品質の底上げを狙うのはこういう目的もあるのです)
そんなわけで、車種ラインナップとブランドの位置付けというのは切っても切り離せない関係であったりするわけですが、PSAのブランドにおいて最上位に位置するDSを、どうやってプレミアム感溢れるブランドとして演出するのか?
2009年にDSブランドを発表して以来4車種を投入しておりますが、基本設計が古いため車種ラインナップでプレミアム感の演出を図るのに苦戦しております。
そのためもう一方のアプローチでDSブランドのプレミアム化を進めようとしている取り組みが、今回のエントリーの趣旨となります。
って相変わらず前置きがなげーな。
モータースポーツでの活躍はブランドの価値を高めることはもはや疑う余地はありません。
先端技術のテストケースとしてのモータースポーツの役割も依然として残っていますが、現代のモータースポーツ参戦は多分にブランドイメージの向上というマーケティング効果を期待する側面の方が強くなっております。
で、PSAグループのモータースポーツ部門としては『Peugeot Sport』 においてダカールラリーやラリークロスへの参戦、『Citroen Racing』 としてWRCやWTCCへの参戦をしておりますが、新たに『DS Performance』を立ち上げ、ヴァージン・レーシングへの参画という形で「DS Virgin Racing」としてフォーミュラEへ参戦します。
今年の6月にプレスリリースとして発表されておりますが、新規にチームをゼロから作るのではなくヴァージンレーシングに資本&技術参加する形での参戦ということになります。
すでにある程度の技術開発が済んでいるので参戦コストが比較的安いというメリットがありますね。
F1などに比べるとバッテリーが切れたらマシン乗り換えるなどまだまだ試行錯誤の段階であるフォーミュラEは、ちょっとした技術のブレイクスルーで勢力図はあっという間に塗り替わる可能性もあります。
電気自動車でのレースという新規性も相まって、非常におもしろいカテゴリーに育ちつつあります。
一度その映像を見てもらえばわかりますが、ブースト使ったかどうかとか各種センサーからの情報が画面のあちこちにステイタスとして表示され、まるで実況がレースゲームの様相を呈していたりします。
っていうか、もはやアニメ『サイバーフォーミュラ』の世界のようで、もはや笑えるレベルまで進化しています。
そんなわけで、これからのプレミアムブランドのあるべき姿として、環境性と先進性をアピールできる電気自動車(EV)のレースであるフォーミュラEカテゴリへDSが参戦を決めたことは戦略としては正しいと思います。
とはいえ、すでにルノー、アウディが参戦してトップを競っており、DSがタッグを組むヴァージン・レーシングは昨年度は10チーム中5位という微妙なポジションにおります。
モータースポーツにおいてブランド価値を高めるには、とにかく勝つこと以外に方法はありません。
「DS Virgin Racing」としては今後共同でパワートレインの開発を行うなど、その提携効果が出るのはもう少し先になるかもしれませんが、とりあえず参戦するなら早い段階でいいところを見せてもらいたいものです。
DSとしては存在感を高めたい中国市場でのアピールをするため、10月17日から北京で開催される中国GPで参戦を果たします。
その活躍に期待することにしましょうかね。
ちなみにモータースポーツ中継は数字の取れない日本において、珍しくテレビ朝日が中継します。
録画予約を忘れずにね。
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