保有年数から残存率を推定してみる


  
昨日のエントリーで輸入車の保有台数に関する数字をご紹介しました。
今回はそれをちょっといじって、輸入車は果たしてどれぐらい保有されているのか?という点でちょっと考えてみました。

まず、日本において新車がその寿命を終えるまでの使用年数がどれぐらいか?という点を見てみます。

こちらのデータによると、2014年時点での平均年数は『12.64年』となっております。



ただし、注意書きにもあるように減少台数には一時抹消も含まれるため、自動車が完全にスクラップされるまでの年数とは若干異なります。


輸入車は旧車を維持する文化が根強く、また昨今ではニュースになるようにポルシェ911などの希少な旧車が投機目的で海外向けに輸出されるようなケースもあるため、必ずしも全てがスクラップになっているわけではありません。

その辺りを勘案して、使用年数を14年と仮定してみました。


次に直近14年間(2001年~2014年)の新車販売台数の合計を算出しました。

乱暴ではありますが、この二つの数字を比較すると、そのブランドの残存率というのが見えてきます。

それがこちらになります。


Brand2001-2014
新車台数
2014
保有台数
残存率
Rover2,18648,0552198.3%
Mini5428,9431650.0%
Pontiac1572,4581565.6%
Buick1662,0121212.0%
Autobianchi657171103.1%
MG3862,342606.7%
Morgan230786341.7%
Lancia1,3484,254315.6%
Rolls Royce8521,936227.2%
Ferrari6,44111,472178.1%
Lotus4,5538,104178.0%
Kia2440166.7%
Porsche50,15766,910133.4%
Cadillac12,21715,827129.5%
BMW Alpina2,4503,142128.2%
Jaguar35,73443,006120.4%
Lamborghini1,8302,167118.4%
Saab6,8348,058117.9%
Chevrolet26,73731,418117.5%
Bentley3,3243,672110.5%
Volvo172,976188,275108.8%
GMC1,0211,079105.7%
Mercedes-Benz618,700623,115100.7%
Alfa Romeo55,11954,92599.6%
Ford60,24959,52198.8%
Saturn57256598.8%
Citroen
(DS含む)
30,70530,21898.4%
Maserati5,7285,60297.8%
Chrysler
(Jeep/Dodge含む)
82,84179,88796.4%
Aston Martin1,9121,84396.4%
BMW
(BMW MINI含む)
729,072682,50093.6%
Maybach18317193.4%
Fiat
(Abarth含む)
53,22348,47591.1%
VW763,868677,68888.7%
Hummer3,6243,19488.1%
Renault40,90535,99288.0%
Audi247,095213,60186.4%
Opel28,68223,29881.2%
Peugeot124,42499,02279.6%
Land Rover26,15817,97168.7%
smart21,85513,86563.4%
Ssangyong1407452.9%
GMDAT36517247.1%
Hyundai15,3445,61436.6%
DAEWOO98118819.2%
Others2,1595,186240.2%
Mclaren214- 
Tesla42- 
Detomaso22- 
Bugatti21- 
PROTON5- 
RUF7- 
Innocenti1- 
Zagato2- 
Artega1- 

いろんな例外条件がありますので一概には言えないのですが、この残存率が高いほどそのブランドのクルマは壊れにくい、もしくは維持しやすい傾向があると言えるのかもしれません。


たとえば、残存率ではRoverならびにMINIが圧倒的に高くなります。

これはMINIがBMWに買収されRoverとしての販売が2000年で終了していることから新車販売が極端に少ない割に、過去に販売されたMINIが今も多くの台数が維持され残存していることを意味します。

まさしく愛されキャラとしてのMINIでありますね。


その下にはPontiacやBuickといったアメリカンブランドが並んでおりますが、すでに正規での販売はされておら、ずこれも恐らくは旧車を維持しているオーナーが多いために極端な残存率として出てきているのだと思われます。


なんとなく納得してしまうのはFerrai、Lotus、Porscheあたりでしょうかね。
新車の販売も好調ですが、加えて旧車もしっかり維持されており新車の販売台数以上の個体が今も現存しております。

こうして見ると、上位は旧車を維持することにある程度の価値のあるブランドが並んでいる印象です。

逆に実用車として使われる率が高くなるほど、数字を下げて行くような感じですね。


100%ギリギリのところにメルセデスがおりますが、BMW、VW、Audiなど年間数万台も販売するブランドは日常的な実用車として使われることも多く、廃車や登録抹消といったことになる個体が多くなるのではないでしょうか。

本来はこれぐらいが一般的な数字だと思います。


リストを見ていておや?と思ったのがLand Roverですね。
こちらは国内の新車販売はかなり好調で歴史もあるブランドですが、残存率で観ると68.7%と他の同条件のブランドに比べて低くなっています。

故障が多くて廃車になる率が高いのか、途中で海外に輸出されて登録抹消になっているのかは不明です。



最後にちょっとだけ。
前回壊れやすい例えとしてイタフラ車の話をしましたが、こうしてデータで見るとAlfaRomeoとCitorenの残存率が優秀ですね。

2CVやDSなどに代表される旧車オーナーがしっかり根付いている印象です。
AlfaRomeoも同様ですね。

そこからちょっと落ちてFiatとRenaultになります。
オーナーさん達がコミュニティを作ってメンテナンスのノウハウを共有し、しっかり維持していたりするので寿命が長くなっているのでしょう。


Renaultから8.4%ほど下げたところにプジョーさんが着けております。

イタフラ車の中ではもっとも残存率が低くなっております。

これはプジョーオーナーで旧車を維持する人がそれほど多くなく、206や307あたりの世代の廃車が進んでいることからいわゆる新車として売れた個体がその寿命を終えてスクラップにされている傾向がそのまま数字として表れている形でしょうかね。

決してプジョーだけが壊れやすいという意味では無いのでしょうが、旧車でも根性で維持したいというモデルが他のブランドに比べて少ないのかな?という気もしましたとさ。

とりあえずざっくりと数字を出してみましたが、もっといろんな分析の仕方があるかと思います。


各位でその辺りいろいろチャレンジしてみてはいかがでしょうか。



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