ルノーカングージャンボリー2015の会場へ実際に赴いて、この目で見て改めて感じたことは、
『ルノーは“俺たちが自慢されたいフレンチ”を見事に体現している』
ということだった。
つまりそれは、ルノーに乗ることでフレンチなライフスタイルを楽しめるんじゃないか?という期待にうまく応えているということだ。
ルノーという隣の芝生が蒼いのに対して、果たしてプジョーはどうするべきなのだろうか?
■フランス車を選ぶ理由
そもそも、国内に10近い自動車メーカーがありながら、あえて輸入車を選ぶ理由はなんだろう?
もっとも簡単に表現するなら、それは『好きだから。』という理由に集約される。
何が好きなのか?
それは、「商品自身」「商品を取り巻くイメージ」の2つに大別される。
この点についてはそれぞれオーナーの数だけ理由が存在するだろうが、『好きだから。』という理由は消費行動の根幹を成す部分であり、だからこそメーカーは商品を好きになってもらうためにあれこれ工夫を凝らす。
では、輸入車において圧倒的な品質やステイタスを誇るドイツ車ではなく、フランス車を好きになる理由ってなんだろう?
品質という部分では劣っていても、フランスの文化、思想に基づいたデザインであったり使い勝手に魅力を感じたりといったことがあるだろう。
とはいえ、フランスに限らずどのメーカーもグローバル化を推し進めており、フランス車だからフランスらしい文化や思想を体現しているとは必ずしも言えなくなっている。
長年の歴史に刻まれた精神性、そしてメーカーが演出するイメージ戦略などによって『好き』という感情が増幅されるのではないだろうか。
だからこそ、ルノーはフランス文化に根差したメーカーだと認識されているのだろう。
■フランス車にもいろいろあるよ?
さて。
フランスには他にも自動車メーカーがある。
大衆ブランドで言えばプジョーがあり、シトロエンがあり、DSがある。
PSAを親会社としてこれら3ブランドが展開されているが、いずれも歴史のあるブランドであり、ルノーと並んでフランスを代表する自動車メーカーであることに間違いはない。
つまり、フレンチなライフスタイルを楽しむならば、ルノーじゃなくてもプジョーやシトロエンだっていいじゃないか。
しかし、2CVやDSといった歴史的名(迷)車により圧倒的な存在感を発揮したシトロエンはまだしも、プジョーに関してはメーカー自らがフレンチブランドであることをあまりアピールしていない。
むしろ無国籍性を前面に押し出す戦略を採っているため、フレンチなライフスタイルとプジョーというイメージはどちらかというと希薄となっている。
これはプジョーのフレンチブルーミーティングへの取り組み方からも明確に垣間見える。
■そのブランドを選ぶ理由
何を好きになるか?について、「商品自身」「商品を取り巻くイメージ」と書いた。
上記では商品性の違いについてはそれぞれ本国の戦略に左右されるので置いておくとして、、もう一つむしろこちらの方が大切という話。
日本の消費者が欲しくなるような演出こそが、商品力と並んで重要な要素になっている。
つまりそれは、
『商品を取り巻くイメージ=そのブランドを選ぶ理由』
になっているということだ。
ルノーは『フレンチなライフスタイルを楽しめる』というイメージの演出と、魅力ある車種のラインナップにより消費者から支持を集めることに成功した。
では、『プジョーを選ぶ(好きになる)理由』とは何か?
当BLOGで何度も繰り返し問い質している質問だ。
プジョーの販売台数が低迷しているのは、この『プジョーを取り巻くイメージ』が消費者にきちんと定着していないからだ。
クルマは単に商品力だけで選ばれるものではない。
プジョーを選ぶことでどんな満足が得られるのか?
そこから得られる豊かなライフスタイルこそが、輸入車を選ぶ大きな理由となっている。
ルノーという隣の芝生は蒼く、非常に魅力的だ。
しかしプジョーが無国籍性を打ち出している以上、カングージャンボリーと同じようにフレンチなライフスタイルの提案をしても支持は得られないだろう。
いや、やってもいいのだが、当然別のアプローチが必要になるし、それはとても難易度の高い取り組みになる。
フレンチなライフスタイルでも、何か違う価値でもいい。
プジョーに乗っていることで得られる何らかの価値を見出せるのであれば、多くのオーナーはそれに納得するだろう。
今のプジョーは、その価値の提案すらない状況だ。
まずはそこから改善していくしかない。
明日開催される『PEUGEOT LION MEETING 2015』がその提案の第一歩になるはずだ。
だからこそ最初の一歩をきちんと踏み出して欲しい。
オーナーに向き合うために大切なことは、今まで何度か指摘した通りだ。
有料だったり会場が遠かったりというネガティブ要因をひっくり返すぐらいの意気込みを見せて頂きたい。
明日会場に集まる人は、それでもプジョーというブランドが好きで、期待をしてくれている人が多いことだろう。
彼らに少しでも満足してもらえるような提案を期待したい。
それでは、現地でお会いしましょう。
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