さて、『BACK IN THE RACE』というスローガンのもと、再建に取り組むPSAの状況を整理するシリーズ。
前回はプジョーの直近2年間の販売台数をまとめましたが、今回はシトロエンとDSにスポットを当ててみます。
既報の通り、従来はシトロエンのブランドであったDS Lineを独立させ、「DS」「プジョー」「シトロエン」という3ブランド体制に移行しました。
販売台数のカウントも3ブランドごとに分けられるようになりましたので、市場セグメントと合わせていろんな見方が出来るようにもなりました。
今回も2013年と2014年の2年間の全世界販売台数の比較でデータを見て行きます。
その前に予備知識として、PSAにおける3ブランドの構成比率は、
プジョー 55.64%
シトロエン 40.33%
DS 4.03%
となっております。
■CITROEN(モバイルの方はグラフが切れるのでコチラをどうぞ)
モデル名 | 2013年 | 2014年 | 前年比 | 内訳 |
C-Zero | 300 | 600 | 200.0% | 0.1% |
C1 | 59,500 | 62,500 | 105.0% | 5.3% |
C2 | 10,000 | 0 | 販売終了 | |
C3 | 177,100 | 182,900 | 103.3% | 15.4% |
C3 Picasso | 90,000 | 65,300 | 72.6% | 5.5% |
ZX | 55,900 | 26,100 | 46.7% | 2.2% |
XSARA Picasso | 0 | 0 | 販売終了 | |
C-Elysee | 56,300 | 125,700 | 223.3% | 10.6% |
C3-XR | 0 | 1,200 | - | 0.1% |
C4 Cactus | 0 | 43,900 | - | 3.7% |
C4 | 283,300 | 251,200 | 88.7% | 21.2% |
C4 Picasso | 99,900 | 124,100 | 124.2% | 10.5% |
C5 | 65,500 | 53,300 | 81.4% | 4.5% |
C6 | 0 | 0 | 販売終了 | |
C8 | 2,800 | 1,600 | 57.1% | 0.1% |
C4 Aircross | 13,600 | 14,600 | 107.4% | 1.2% |
C-Crosser | 100 | 0 | 販売終了 | |
Nemo | 19,500 | 17,000 | 87.2% | 1.4% |
Berlingo | 140,700 | 139,800 | 99.4% | 11.8% |
Jumpy | 25,000 | 28,000 | 112.0% | 2.4% |
Jumper | 43,700 | 47,400 | 108.5% | 4.0% |
Autres | 100 | 0 | 販売終了 | |
合計 | 1,143,300 | 1,185,200 | 103.7% |
(「内訳」はシトロエン全体に対するシェアを意味します)
シトロエンブランド全体についてはプジョーと同様に新車効果もあって前年比103.7%と堅実に数字を伸ばしています。
プジョーに比べるとC-ElyseeやC4-Lといった中国など一部地域限定で販売しているモデルの販売が堅調で、それに加えてCセグメントであるC4ならびにC4ピカソが好調に推移しております。
それに対してC3&C3ピカソについてはモデルが古いこともあってシトロエン全体のボリュームの中では21%程度の比率となっております。
特にあまりテコ入れされないC3ピカソの落ち込みが厳しいですね。
この辺りは順次モデルチェンジ待ちということになるのでしょうがそれが当分先になりそうなので、当面の間は現行C3の商品力アップで対応せざるを得ないといったところでしょうか。
そうは言ってもC3、C-Elysee、C4(C4-L含む)、C4ピカソの4本柱で売上全体の57%を占めておりますので、プジョーに比べると柱の太さが感じられます。
また、プジョーと比べると中国での合弁事業が活発で、資本提携した東風汽車の力も借りながら販売している関係で、中国依存度が高めとなっています。
そうしたこともあって、中国市場向けの専用モデルといったものが今後もいろいろ出てくることになると思われますが、日本市場には関係ない話ですね。
今後に関してはPSAにおいてシトロエンブランドの位置付けを変える(お手軽価格帯を増やす)ことから、車種の展開に関しても大きく転換をすることになりますが、先鋒とも言えるC4カクタスのヒットによりブランドイメージをアピールしやすくなったのではないでしょうか。
今までどうしてもプジョーとの差別化が難しかったところに、チャレンジングなデザインという方向性を見出したのは、シトロエンというブランドの本来持っている独自性から考えても良い傾向だと思います。
2015年に限ってみると、プジョーと同様に目立った新モデルが無いことから既存モデルでの対応をせざるを得ませんが、おそらく中国市場での積み増しで前年並みのレベルはクリアしてくるのではないかと思います。
■DS(モバイルの方はグラフが切れるのでコチラをどうぞ)
モデル名 | 2013年 | 2014年 | 前年比 | 内訳 |
DS3 | 69,000 | 57,000 | 82.6% | 48.1% |
DS4 | 29,800 | 21,700 | 72.8% | 18.3% |
DS5 | 23,900 | 33,200 | 138.9% | 28.0% |
DS6 | 0 | 6,600 | - | 5.6% |
合計 | 122,700 | 118,500 | 96.6% |
(「内訳」はDS全体に対するシェアを意味します)
新たにスタートしたDSブランドですが、ラインナップはモデル後期から末期に差し掛かったものばかりで新鮮味がほとんどありません。
(DS3が登場したのはもう5年前になります)
そうしたこともあってか、販売拠点は増えているものの全体としてみるとPSAブランドで唯一前年割れをしております。
そのほとんどを欧州市場ならびに中国市場で販売していることから、必然的に力が入るのがこの2つのエリアということになりました。
シトロエンディーラーから独立してDS専門店を展開し始めたところですが、欧州では61拠点、中国では60都市80拠点をオープンするなど、今はまさに投資の段階と言えるでしょう。
車種についてもDS3、DS4、DS5の基本ラインナップに中国市場向けのロングボディなどを加え、徐々に車種を増やしていく方針のようです。
また、PSAグループにおいて先進技術をいち早く投入するのもDSブランドからになります。
従来の燃費向上を主目的としたHYbrid4から、パワーをアシストするパフォーマンス向けのハイブリッドシステムへと転換を進めていますので、高級ブランドとしてのDSの客層にはマッチすることになるのではないでしょうか。
日本においてもDS専門店のオープンが予定されておりますので、今後じっくり時間を掛けて高級ブランドとしての普及を図っていくことになると思います。
DS3でWRCに参戦してモータースポーツでのイメージ訴求を図っておりますが、それに加えて来年よりヴァージンと組んでフォーミュラEへの参戦を検討しているとされています。
F1に比べるとまだまだ認知度の低いフォーミュラEではありますが、新しい技術を競い合うレースは新規性や環境アピールといった効果が見込めますので、認知度を高めたいDSブランドにとっては魅力的であるとは思います。
このあたりを主導しているのがPSAのトップであるカルロス・タバレスである辺りが憎いですね。
何はともあれモータースポーツでの活躍はイメージアップと販売増に直結しますので、やるからにはいい結果を出して欲しいものだと思います。
こちらもあわせでどうぞ。
この記事へのコメント
acatsuki-studio
我が家のDS3の納車が2010年6月なので、DS3は「登場から5年」だと思います。先日ようやく前後のライト類を刷新した小手先コスメチューンが施されましたね。乗っている贔屓目もありますが、DS3、そもそも悪くないです。トランスミッションさえもう少し吟味されていれば、ですけど…。
海鮮丼太郎
あらホントだ。
直しておきました。
DS3、悪い車じゃないんですけど商品としての鮮度が落ちたことが販売減につながってると見るべきでしょうね。
高級車っていうのは本来そういうもんじゃないんですけど、
やはり量販セグメントにおいて鮮度を維持するのも大切な戦略ではあります。