ホンダがこだわる"Feeling"

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Honda Civic - Feeling

究極のショートフィルムとでも言うべき海外のCMをチェックしていると、たまに映像美にハっとさせられ作品がある。
大抵の場合それはソニーであり、ホンダだった。


ソニーが脱落しその代わりにLGが台頭する中、日本のメーカーで攻めたCMを作り続けるのは唯一ホンダだけになってしまったと言ってもいい。
(あくまで海外の話だ。日本におけるホンダのCMは特に評価すべき点はない)


欧州におけるホンダというメーカーのポジションは日本のそれとは大きく異なっており、それは欧州向けシビックというプロダクトに代表されるイメージと言っていい。

それ故に欧州におけるホンダの、とりわけシビックのCMについては常に新しいアイディアと表現手法にトライして、どんどん高まる期待というハードルを軽く上回る驚きを常に与えてきた。

特にカンヌを受賞し数々のパロディーを生み出した2006年の傑作CMである「Choir」は、何度見ても背筋が震えるぐらいのインパクトがある。



もちろんこうしたCMは優れたCM制作集団が存分にその才能を発揮しているからこそ成り立つわけであり、その環境を整えられることが欧州ホンダの強みとも言える。

そんなわけで、このCMのVFXを担当したMPCがCMについて紹介している。
秒間1000フレームで撮影した映像に細かくレイヤーで分けられた素材を加えているわけだが、ここで描かれているのはホンダが運転を楽しむためにどれだけ“フィーリング”にこだわっているかということだ。

饒舌なナレーションではなく映像による説得力でメッセージを伝え、

"Some say the most powerful thing you can build is a feeling."

で締めるあたりに強い自信の表れが感じられて、CMはやっぱりこうじゃなくちゃという感を強くする。


残念ながら欧州シビックは日本に導入されておらず、そしてこのCMも日本で見ることはできない。

また、今の日本におけるホンダのイメージでは、たとえTypeRを持ってきてこのCMを流したとしても、残念ながら受け入れられる土壌がほとんど無い。

前回台数限定で導入した欧州シビックTypeRが売れ残ったという事実からもそれは明白だ。

それはホンダが自ら招いた事態でもあるわけだが、S660の取り組みなどで再び土壌が育まれる余地はある。

新型車を開発する時間とコストを考えるならば、ここらでもう一度ホンダのブランディング再構築の一環で、欧州シビックの再投入を検討してみるのもいいかもしれない。

ただしそれは、安直な開発ストーリーなどではなく、クルマ本来の楽しみ方の再提案、言うなれば改めて"Do you have a HONDA?"のスローガンを掲げることが必要になるとは思うが。

覚悟はあるか?
ポリシーはあるか?

それを問われているのは、ホンダ自身だ。


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