ここを商売に使うのはMINIだろうな、と思ってたらやっぱりMINIでした。
そんなわけで、クルマに個性を求めてカスタマイズするニーズというのは国産車、輸入車問わず一定数おりまして、そういう人たち向けにアフターマーケットが存在すると言っても過言ではありません。
とはいっても、昨今はチューニングパーツでゴリゴリにカスタマイズするというよりは、お手軽に個性を発揮できるやり方で楽しむライトな層が増えてきております。
昔から好みのイラストやロゴのステッカーを貼り付ける『ステッカーチューン』なんてものがありましたが、最近では技術の向上でコストの下がったラッピングによる『痛車』なんてものがその象徴的な例とも言えましょう。
ラッピングバスのように車両にまるごとフィルムを貼り付けることによって全面にイラストが描かれたような作りも可能になってきていることから、豪華なステッカーチューンとして今後市場の拡大が見込めます。
っていうか痛車界隈ではそれをビジネスにして大成功しているところもあります。
著作権をちゃんとクリアしてるのか怪しい業者も多いですが。
ちなみにフルラッピングの費用は軽自動車で20万前後~ミニバンクラスで30万前後と多少値が張りますが、それでも全塗装と違って飽きたら剥がして元に戻せるという心理的な安心感がある分、気軽に試してみようという気にもなります。
そんなわけで、アフターマーケットでの盛り上がりを見せるラッピングではありますが、この分野に自動車メーカーがなかなか手を出してこないのは、好みに応じて細かく対応しなければならないという手間の煩雑さが、同じ商品を大量に売るというビジネスに向いていないからとも言えます。
(メーカー公式痛車などは販路限定でいくつかありましたが、あくまでトライアルという位置付けです)
とはいえ、輸入車においてもそうした試みが無かったわけではありません。
当BLOGで何度も引き合いに出しますが、かつてボルボがC30で試みた『グラフィックカー』という試みがありました。
他にもVWがTHE BEETLEの導入時にラッピングデザインコンテストを実施して、優勝者にはその仕様を作ってプレゼントなんてキャンペーンも行っておりました。
これらの試みはあくまで予めデザインが決まっているか、もしくは特別に限定台数生産というものであり、オーナーが自由にデザインできるわけではありませんでした。
その中間解として、シトロエンがDS3の発売当初に好きなルーフの色を選択できるようにしたり、プジョー208、BMW MINIはルーフやドアミラーなどピンポイントで貼り付けるステッカーを販売したりしておりました。
ステッカーの種類を増やせばそれだけ細かなカスタマイズが可能になりますので、それを以てオーナーの要望に可能な限り応えるという発想ですね。
ここまでは割と誰でも実現できる、ありきたりの話ではあります。
そこにきて今回BMW MINIでは、ルーフに関して完全にオーダーメイドのラッピングステッカーを作成するサービスを開始しました。
MINIルーフ自由化計画
BMW MINI側で用意したいくつかのデザインを選ぶもよし、自分で描いたイラストや写真を使用するもよし。
BMW MINIルーフに好きなデザインを入れられるというのは、公式のサービスとしてはなかなか画期的な事だと思う次第。
デザインルーフのお申し込みについて
■ ルーフステッカーの対象車は、MINI 3 DOOR(2014年4月以降に販売されたフルモデルチェンジ後のモデル)です。 ■ ルーフステッカーは1枚 ¥39,960(消費税込み・送料2,700円別・貼り付け費用別)です。 ■ 本登録完了後、最寄りのMINI正規ディーラーがあなたにご連絡。ディーラーへお越しの際は、本登録完了メール画面を見せるとスムーズです。 ■ お客さま所有の画像でデザインイメージを作成された場合は、元画像の著作権はお客さまに、本ウェブサイトで作成されたデザインイメージの著作権はMINI JAPANに帰属します。
ちなみに公序良俗に反する画像や著作権に抵触する画像は審査の段階でNGを食らう事があるそうです。
対象車種が3代目BMW MINI以降であるため対象が限定されますが、この手のオプションにありがちな車両注文時だけ受付ではなく、すでに所有しているオーナーも利用することができるのはいいことだと思うのです。
デザインというのは好みがあり、鮮度があります。
簡単に言えば、いつか飽きがくるわけです。
その時にまた違うデザインに変えたりとか元に戻せることは、とても重要な条件になってきます。
公式サービスであればアフターマーケット品に比べると対応がしやすいと言えるでしょう。
(完全に元に戻せるかどうかについては明言がありませんが、ディーラーで貼り付けまでしてもらえばその辺りは大丈夫でありましょう)
問題はステッカーの金額が約4万円なのはいいとして、キレイに貼り付けるのにどれだけの工賃が掛かるのか?という点です。
ディスカバリーchで放映している『名車再生クラシックカーディーラーズ』ではたまに修理の過程でラッピングを行うシーンを目にしますが、自分ひとりでやるのはちょっと難易度が高かったりするようです。
(ホコリと雨をしのげる場所を確保できて根気よく作業すれば出来ないことはないですが…)
大抵の場合はディーラーに貼り付けを依頼することになるでしょうから、その費用がどのぐらいかというのがポイントですね。
ルーフに貼り付けるだけだったら別にディーラーではなくてもいいので、安い業者があればそちらを利用するのもいいかもしれません。
このサービスのポイントは、自分のクルマに完全に適合したステッカーを作製できるところにあります。
オーダーを受けて提携業者に発注するオペレーションができれば、別にBMW MINIでなくてもどのメーカーでも実現できる企画です。
しかし、ルーフをデザインするという発想はMINIというクルマの歴史とも深く結び付いているので、冒頭にも書いたとおり最初に仕掛けてくるとしたらBMW MINIだろうな、と思った次第であります。
この企画は今後ずっと続くわけではないようですが、こういう形で既存オーナーも含めて自分のクルマをデザインする手段を提供する姿勢はいいことだな、と素直に思います。
と、自分の307swについてはほぼノーマル仕様の当方が語ってみたのでありました。
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