
自動車を扱うテレビ番組の中で、間違いなく世界No.1のおもしろさを誇る英BBCの『TopGear』において、長らく番組を引っ張ってきた司会者のジェレミー・クラークソンの解雇騒動が起こっている。
元々は番組プロデューサーに暴言を吐いて殴ったことが問題視されているというが、ファンからは100万通以上の嘆願書が戦車によって届けられたり、『スニッカーズ』のアカウントからは
kaisendon / 海鮮丼太郎77L4
RT @SnickersUK: .@JeremyClarkson you may want to have some of these on set next time you are #hungry… http://t.co/Vxihd6k9lt at 03/17 16:31
「お腹が空いてた時の君は本当の君じゃないよね」
などとスニッカーズが番組あてに送られてくるなど、こんな騒動もバカな感じで盛り上がっていたりする。
とはいえそんなジェレミーがTopGearの司会を担当するようになったのは2002年からのことだ。
それ以前のTopGearの出演者たちがBBCの番組終了によってスタッフまるごと移籍してスタートした『5th Gear』という番組(日本ではDiscovery chで放映中)の知名度はそれほど高くないことからも、事実上TopGearはジェレミーが世界的なコンテンツに育てた番組と言ってもいい。
その歯に衣を着せぬ物言いと、『Powerrrrrrrrrrr!』という大出力絶対主義は、クルマに対する価値観の軸としては非常にわかりやすいキャラクターではあった。
それを補完する形で異なる価値観を呈するリチャード・“ハムスター”・ハモンドと、技術志向のジェームズ・メイを配することで切り口に幅を持たせていたわけだが。
様々なバカげたチャレンジは、まさしく自動車を使ったバラエティーショーとして唯一無二の存在であることは間違いない。
日本人にとってはこのエピソードで唸らされた者も多いだろう。
TopGear出張版 GT-Rで羽咋から鋸山へ
とはいえ、10年以上やり続けてきたことである種のマンネリ感が漂っていたのも事実だ。
また、ジェレミーもハモンドもジェームズもそれなりにいい年齢になってしまったことで、視聴者にとっての同世代感というものが希薄になってきてしまっているのも事実だろう。
世界的にクルマの変革が進む中で、『More Power!』な嗜好のジェレミーが今後番組を続けていくとなると、より過激な方向へ行くしかやり方は残されていないわけで、その意味でそろそろ潮時な感じがしないでもなかった。
そこに今回の騒動が起こって個人的にはこんなことを思った。
kaisendon / 海鮮丼太郎77L4
モラル云々の前に、TopGearというコンテンツの行き詰まり感というか、ジェレミーでやれることはもうやりつくした気もするけど。だからもういいんじゃね?|時事ドットコム:「トップ・ギア」司会者復帰を=100万人署名、戦車で嘆願書-英 http://t.co/7NPar08pkK at 03/23 11:52
kaisendon / 海鮮丼太郎77L4
BBCの番組は視聴者の投票によって継続か否かが決まる仕組みらしいので、嘆願書とかもそれなりの数が集まるんだろうね。NHKもそういうシステムにすりゃちっとはマシになるかもね。 at 03/23 11:54
そんなわけで、BBCはジェレミーとの契約更新を行わないという報道が出たことで、実は降板は既定路線であって、その理由として「温かい食事が食べられなかったから」みたいなもっともバカげた理由が演出として報じられているだけなのではないかという感を強くした。
後任にはクリス・エヴァンスの名前が挙がっていたりするが、それに対する反発の声がけっこう大きいことに驚く。
確かにジェレミーの後を受けてTopGearの冠を引き継いでいくのは大変なプレッシャーだろう。
短期的には世界的なTopGear人気も低下せざるを得ない。(すなわち配信打ち切りのエリアも出るだろう)
とはいっても、ジェレミー的な価値観を持ったエンスージアストたちは、今後は空飛ぶプライベートな乗り物などに価値を見出していくだろうし、必ずしも4つのタイヤで地面を這う乗り物だけがエンスージアストたちを満足させるわけではないことは理解しておくべきだろう。
時代の変革は確実に起こっており、その変革の過渡期においては番組も新陳代謝を行いながら時代の変革を受け入れていくべき話なのではないかと思う次第也。
ジェレミーはああいうキャラを演じていつつも自身では理解しているはずだ。
彼のコラムを読んでいれば、ジェレミーが単なるエンスーではないことはよくわかる。
TopGearに未練があるのなら、それこそかつてのスタッフが『5th Gear』を立ち上げたように、ジェレミーならではの番組をまた立ち上げることだって可能だろう。
問題は、そうした番組を作るためのふんだんな予算をどこから確保するのか?ということだが…
それほどまでにBBCおよびTopGearという番組は予算の掛け方がハンパじゃなかったという話でもある。
余談だが、同番組のフォーマットをライセンスしてアメリカで制作されている『Top Gear U.S.A.』(日本ではナショナルジオグラフィックchで放映中)は死ぬほどつまらない。
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