安全運転でキャッシュバックされる自動車保険が発売

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保険商品というのはある種の相互扶助とか性善説で成り立っているものであり、大多数の何も事故を起こさない人が支払う保険料によって、事故を起こした者の支払いを支えるという構造になっている。


そのため加入者のリスク分析(加入者がどの程度の確率で事故を起こすのか)の精度が保険会社の収益を左右する大きなファクターとなっている。

このリスク分析の精度を高めることで、問題なさそうなドライバーに対して保険料を安く設定する戦略にも活かされるわけであって、この業界ほどデータ分析ならびに新たなテクノロジーへの関心が高い業界は無いんじゃないだろうか?と思えるほど次々と新しい潮流が生まれている。


広く知られるところでは、リスク細分化にすることで事故の多い若年層の保険料を高くする代わりに、事故の少ない中年層の保険料を割り引く施策がある。

これが若者のクルマ離れの一因になったことは事実であり、相互扶助とか性善説という建前が求められる保険という制度からするともろ手を挙げて称賛する気にはなれない。


とはいえ、年齢に関係なく安全運転をする者が粗雑な運転をする者より保険料が安くあるべきだという考え方には多いに賛同する次第だ。

従来から20段階の等級制度によって事故歴があれば等級が下がることで保険料が割高になる仕組みがあったりしたが、それを一歩進めて事故を起こさなくても日常的に安全運転かそうでないかによって保険料に差を付ける商品がいよいよ発売になった。

それがソニー損保が本日より受付を開始した、「やさしい運転キャッシュバック型」だ。

この保険商品は簡単に言うと、

 ・従来通りソニー損保の自動車保険を契約する
 ・ドライブカウンタを設置して安全運転レベルを診断する
 ・スコアによって支払った保険料に対し一定のキャッシュバックが受けられる

というものだ。


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■ドライブカウンタの仕組み
設置するドライブカウンタは、専用のハードウェアになっている。
その機能については以下の通り。
【ドライブカウンタの機能】
 ・ドライブカウンタを契約車両に設置します。
 ・急発進・急ブレーキの発生状況等を計測します。
 ・急発進・急ブレーキ時には「ププッ」と音でお知らせ。
 ・スムーズに発進・停止した連続回数をカウントします。
これらの説明から、ドライブカウンタは加速度センサーによる運転診断を行うユニットということが推測できる。
(おそらくGPSは搭載されておらず移動履歴というクリティカルな個人情報を提供しなくて済むのは歓迎だ)

こうした機能はスマフォアプリや一部のカーナビにもおまけの機能として搭載されており、保険会社から安全運転啓発のために無料で提供されていたりもした。

これを保険商品に組み込んだということになる。


■キャッシュバック率
肝心のキャッシュバック率だが、ドライブカウンタのスコアが…

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90点以上 20%
80点以上 15%
70点以上 10%
60点以上  5%
59点以下 キャッシュバックなし

となっている。
ただしこのキャッシュバックの元になる保険料は一部の特約など対象にならない部分もあるので、必ずしも支払った全額から割り引かれるわけではない点に注意が必要だ。

(例)
保険料8万+特約2万合計10万円になった。
   ↓
ドライブカウンタのスコアが90点で20%キャッシュバックの対象になった。
   ↓
必ずしも2万円全額がキャッシュバックされるわけではない。
(1.5万かもしれないし1万かもしれない。これは契約の中身次第。)

この辺はスマフォの月々割などと同様の仕組みになっているため、事前によく確認しておいた方がいいだろう。


■その他の条件

 ・契約車両にドライブカウンタが設置されている期間が、180日間以上であること。
 ・ドライブカウンタで契約車両の走行状況を有効に計測した時間が、20時間以上であること。
 ・ドライブカウンタで契約車両の走行状況を有効に計測した日数が、10日以上であること。
 ・ウェブサイトで、やさしい運転キャッシュバック手続きしていただくこと。

自分でキャッシュバックの手続きをしなければいけない点を除けば、ドライブカウンタを半年程度きちんと設置して運転していれば特に気にすることはないだろう。

逆に言うと、都合の悪い時は取り外しておいてもいいと解釈することもできる。
これ以上は何も言いませんw


そんなわけで、個人情報と引き換えにキャッシュバックを受けるという最近出てきたこの手の商品の中で、ソニー損保の「やさしい運転キャッシュバック型」は提供する(取られる)個人情報は比較的限定的であり、公平感のある商品設計であると思う。

ちょうど4月にチューリッヒの更新を迎えるので、さっそく30日間無料トライアルの申し込みをしてみた。
さて、まずは運転診断でどの程度のスコアがでるかを試してみることにしようか。




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