ちょいと遅くなりましたがDS3のお話ですよ。
プリクラッシュセーフティの中でも注目を集める自動ブレーキでありますが。
そうは言っても様々な種類がありまして、レーダー、レーザー、カメラ、またはそれらを複合的に組み合わせたシステムが混在しております。
当然それらの効果も様々となっており、
『時速何km/hで機能するか?』
『きちんと停止するか?』
といった部分で大きな差が出てくるわけです。
もちろん複数のセンサーを組み合わせたシステムの方がより高度な安全制御が可能になりますがその分コストはアップするわけで、大衆車のオプション(もしくは標準装備)として現実的な落としどころを見出すのはなかなか難しいものです。
この辺りでトップを行くのはボルボやスバルといった陣営ですが、欧州ではEURO NCAPの評価においてほぼ必須要件となったことから自動ブレーキの搭載が進んでおります。
さて。
シトロエンからのれん分けして独立したブランドとしてスタートしたDS Lineでありますが。
今年一発目のテコ入れ策として、DS3に新グレードが設定されました。
登場からすでに5年が経過して、さすがに基本設計の古さを感じざるを得ませんが、それでも流行のLEDヘッドライトの採用によって精悍な顔つきとなり、戦闘力を取り戻した感があります。
それに加えて、PSAグループ初となるアクティブシティブレーキなる装備が搭載されたことを強調しております。
PSAグループ初?
先行して発売された新型308にも自動ブレーキって付いてなかったっけ?
などと不思議に思ったあなたは鋭い。
我らがプジョーさんでも新型308から上位グレードには自動ブレーキ(エマージェンシーブレーキサポート)が採用されておりますが、
『自動でブレーキを掛けるとは言ったが、止まるとは言ってないぞ?』
というメイトリックス(コマンドー)さんの詭弁並の素敵仕様でありまして、自動停止ブレーキではないというなんともモニョモニョした気分にさせられます。
つまり、自動停止ブレーキを採用したのは確かにDS3からになるわけで、プレスリリースのこの表記は間違っていないということであります。
で、このアクティブシティブレーキですが、作動条件はこのようなものになっております。
・時速5km/h~30km/hの間で作動
・危険感知で完全に停止するまでブレーキが作動
・1.5秒にブレーキ解除、クリープにより動き出す
これを先の新型308に採用されたエマージェンシーブレーキサポートと比較してみます。
・時速10km/h以上で作動(上限は不明)
・危険感知で最大20km/hの減速
つまり、自動ブレーキではありますが、自動停止ブレーキではない、ということです。
新型308の安全装備説明の個所にもこの注意書きがあります。
時速10km/hで作動した場合は停止しないのか?という問いの答えは、試してないのでわかりませんとしか言いようがありません。
新型308の方はドライバーに注意を促すあくまでサポート機能であり、DS3は完全に事故を防ぐということなので、まったく別の目的の機能であると言えます。
プレスリリースにわざわざ強調して書かれたのもそういう理由からなのでしょう。
国産メーカーではスバルやマツダ、輸入車メーカーではボルボやVWが大衆車レベルで自動停止ブレーキを採用して一気に認知度が高まり、今では軽自動車にすらこの機能が設定されるようになりました。
そう考えるとDS3のアクティブシティブレーキは最低限の設定であって、プジョーのエマージェンシーブレーキサポートは近いうちにDS3と同等のものに切り替わるんじゃないでしょうかね?
新型308における設定がAllure/Cieloという上位グレードのみということからも、急ぎで対策をするべき課題かと思いますが。
あと、先日マイナーチェンジされた508も同等ですね。
まさかフラッグシップモデルに自動ブレーキすら設定が無いというのはさすがにどうかと思いますし。
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