2011年のジュネーブショーでお披露目され話題になったMINI「ロケットマンコンセプト」だが、その後市販化を模索しているという話があったものの一向に進展を見なかった。
現行MINIよりさらに小さなサブコンパクトというコンセプトではあるものの、現在BMWが保有するプラットフォームではこの車種を成立させることが出来ないというのが大きな理由だったが、それであれば他社からプラットフォームを借りてくればいいという話になる。
一時期はPSAのプラットフォームを使っての開発が噂されたものの、その後進展はなくコンセプトのブラッシュアップだけが細々と続けられていた。
それがどうやら正式に動き始めたようだ。
名称は1959年にBMCから発売された当時の名称である「MINI Minor(マイナー)」の名称が用いられるようであり、ここからはMINIといいつつ巨大化が進んだ現行型に対して、初代のアイコン的役割を担わせたい意図が感じられる。
しかしBMWはそもそも小型量販車の製造ノウハウが無く、発売するにしても他の欧州ブランドと異なり大量販売が見込めないことから単独でのプラットフォーム開発が難しい。
だからこそロケットマンコンセプトの市販化が難航していたわけだが、そこにパートナーとして名乗りを挙げたのがトヨタということなのだそうだ。
それも、一時期噂されたPSAとの合弁会社によるAセグメント(トヨタAygo/プジョー108/シトロエンC1)のプラットフォームではなく、MINIマイナー用に新規にプラットフォームを開発するなんて話になっている。
ホンマかいな?
実際はAygoのプラットフォームに手直しをする程度な気もするが、もちろんMINIのためだけにこのプラットフォームを作るとは考えにくく、トヨタ側にもAygoとは異なる新たなAセグメントを開発する計画があるのかもしれない。
そういえばトヨタはスマートの市場を狙ってわざわざ専用プラットフォームを開発して『iQ』を発売したが、売れ行きがパッとせず派生車種の開発がキャンセルされて当初の目論見から大きく外れる失敗作となってしまった。
ひょっとするとトヨタはMINIマイナーのプラットフォームを供給するついでにiQの後継車を開発するつもりなのかもしれない。
プラットフォームの開発には多額の開発費が掛かるため、それを回収するためにはかなりの台数を販売しなければならないことを考えると、この線は割と考えられるんじゃないかと思う次第也。
スマートの後追いではなく、トヨタ流の超高効率マイクロコンパクトカーであれば、それなりに市場に受け入れられる余地はあると思うので、少しだけ期待してみようか。
話をBMW MINIに戻すが、これと関連してMINIの今後のラインナップの統廃合についても触れておこう。
現在のBMW MINIのラインナップはいわゆるハッチバックタイプの伝統的ボディスタイルに加えて、様々なバリエーション展開をしているが、当BLOGではこれらを『MINIの皮を被った何か』と表現した。
中でも存在意義の不明な車種については実際どれぐらい売れてるんだろう?と首を傾げたくなるものもあったが、結局のところこれはワールドワイドでも同じ話だったようで、後継車に関しては以下のように統廃合されることになったようだ。
既にハッチバックについては3代目として販売が開始されているが、今年の夏にクラブマン、2016年にクロスオーバーのモデルチェンジが行われるのに対してクーペ、ロードスター、ペースマンはラインナップからドロップ。
また、開発が噂されていたMINIの7人乗りバージョン(フィアットで言うところのFiat 500Lに相当する車種)も計画が破棄されたそうだ。
その代わりとして今回話題になったマイナーを新たに投入、そしてもう一つはイタリアのカロッツェリアである「Mini Superleggera Vision Concept」の市販化バージョンが2018年に登場予定だという。
これはまぁ、量販車というよりはスペシャリティカーといったところか。
このように、日本では好調のBMW MINIではあるが、意外とワールドワイドで見ると必ずしもきちんと利益の上げられるほどの規模には成長しておらず、かつてスマートがラインナップ拡充とコスト削減に苦しんだのと同じ悩みを抱えている。
今回の車種の統廃合はブランド戦略の大きな見直しも意味するわけだが、意外と持続的な成長を続けていくのは簡単なことではないという事例として、今後のBMW MINIの動きをうぉちしてみるのも面白いだろう。
この記事へのコメント
マイナー太郎
ヤリスと一緒に…というのは大胆すぎるので、さすがに無いでしょうけど。
海鮮丼太郎
うん、当方も最初はそれを考えました。
ただソース元によると、現行もしくは次世代Aygoとは別に開発、という記述があるのよね。
とはいえ、トヨタとしてはAセグメントはそれほど力を入れてないので、Aygoと別のものを作るとすると新興国向け(だたしこれはコスト要件が厳しいので品質の面でMINIとの共有は難しい)もしくはAygoとは違う性格の車種という可能性になるのかな、と。
そうするとiQの後継ぐらいしか思い浮かばんのですね。