かつてランバ・ラルさんは「戦いに敗れるとは、こういう事だ!」といって散っていきましたが、こちらは「戦いに勝つとはこういう事だ!」といわんばかりの浮かれっぷりです。
2015年のダカールラリーは、BMW MINIを駆るナッサー・アルアティアが終始安定したレース運びで総合優勝を飾りました。
これでBMW MINIはダカール4連勝となり、総合順位でも上位をほぼ独占するなど圧倒的な強さを見せつけました。
それに対して25年ぶりに復帰したプジョーさんはペテランセルが総合11位になんとか入ったものの、サインツはリタイア。
2輪から4輪に乗り換えて初参戦となったデプレは総合34位でなんとか完走、という当初の期待に反して散々な結果でありました。
久しぶりに目覚めたライオンは、開催地がアフリカから南米に移ったことを忘れて、アフリカ大陸に行ってしまっていたのかもしれません。
さて、敗者の総括と粛清はまた別の機会にするとして、勝者の浮かれっぷりをご覧いただきましょう。
MINI IN RALLY DAKAR
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見事なまでの浮かれっぷりです。
そりゃまぁ、圧倒的な強さで勝てば浮かれたくなる気持ちもわかります。
11名のドライバーがMINIでダカールに参戦し、総合10位以内に5人が入ったという事実は、強い説得力を伴ってブランドのアピールにも繋がるわけですし。
で、ここで冷静になって考えてみましょう。
確かにダカールに参戦したのはMINIクロスオーバーがベース車両ということになってはいますが、市販車とは似ても似つかない魔改造が施されております。要するに、別物ということですね。
つまりダカールの活躍を見ていざ市販車のMINIクロスオーバーに乗っても、ラリー車と同じ走りができるわけではありません。
しかし、あくまでこういったものはイメージが重要だったりします。
自分の乗っているクルマやメーカーがレースで勝って悪い気分になるオーナーはいません。
中身が別物と知ってても、やはり自分のと同じ名前クルマがレースで活躍してくれれば応援したいという気持ちにもなるわけです。
だからこんなに大げさなページを作ってまでMINIクロスオーバーの宣伝に余念がないわけです。
これはWRCにおけるVWポロも同様です。
かつてセバスチャン・ローブがWRCで無敵の強さを誇っていた頃、それを宣伝に使おうともしなかったどこぞのインポーターがありましたが、それとは非常に対照的ですね。
F1などと違い、WRCや今回のダカールなど市販車をベース(という建前)としたレースは、消費者に近いモータースポーツという事ができます。
消費者との接点がマーケティングにおいて重要になっている時代にあって、トヨタがWRCへの復帰を決めたのもこうした背景があったりするわけですね。
(それが故にホンダがF1に復帰するの話はどれだけ効果があるのか?当方はちょいと疑問に思っております)
プロモーションに必要なのは、その商品に興味を持ってもらえるフック(機会)をいかに多く提供するか?という点に尽きるわけです。
メーカーがモータースポーツに参戦する理由の多くはそのフックを作るためであり、プジョーが今回2008でダカールに参戦したのもそれが理由でした。
結果は残念なものでしたが、続けることで頂点を極め、それがプロモーションとしてうまく還元されるようになればいいな、と思うわけです。
日本のメーカーも、積極的にモータースポーツへ参戦して、消費者に多くのフックを提供して頂きたいと思う次第であります。
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