2014年の輸入車市場を振り返る(2)


JAIAより12月の輸入車登録台数が発表されました。
これにより2014年の各ブランドの販売台数がFIXしたことになります。

そんなわけで2014年の輸入車市場を振り返ってみる第2回です。
(ここで言う輸入車は海外メーカーの意味となりますので、トヨタや日産、三菱などの逆輸入車は含まれておりません)

改めて上位20ブランドを掲載しておきます。

2014年輸入車トップ20ブランド実績+α
メーカー2013年
販売台数
2014年
販売台数
販売台数
前年比
2013年
順位
2014年
順位
順位
前年比
VW67,27967,438100.2%11
Mercedes-Benz53,72060,834113.2%22
BMW46,03745,64599.1%33
Audi28,67631,413109.5%44
BMW MINI16,98217,596103.6%55
Volvo16,91813,27778.5%66
Fiat7,0077,289104.0%77
Jeep4,9286,691135.8%98
Peugeot5,9705,71095.6%89
Porsche4,8695,385110.6%1010
Renault3,7714,662123.6%1211
Ford3,8964,598118.0%1112
Land Rover3,3473,12693.4%1313
Alfa Romeo3,1482,66184.5%1414
Citroen2,9472,32178.8%1515
Maserati4911,407286.6%2316
Chrysler1,7741,28672.5%1617
smart1,2981,11485.8%1718
Jaguar9921,073108.2%1819
Chevrolet95694699.0%1920
■参考:新規ブランド・・・AbarthはFiatから分離、DSはCitroenより分離
Abarth0356--25-
DS086--33-
Tesla042----
 
  





































まず最初にトピックとして、JAIAの集計上長らく『Others』に分類されて国内の登録台数が不明だった『Tesla』が8月に4台、9月に38台の登録があったことがわかりました。

不思議なことにデータが修正されその後10月移行は再び非開示となり、『Others』に含まれるようになってしまいました。販売台数が明るみに出るのを嫌ってのことでしょうか?

しかし、『モデルS』の販売開始月となった9月の実績が38台であり、バックオーダーも抱えている状況から推察すると、日本での販売台数は月間40~50台程度といったところになるのではないでしょうか。

もう少し詳しい数字はJAIAのデータを買えばわかるのかもしれませんね。


そして似たような動きで、10月から『Abarth』が、12月から『DS』が単独のブランドとしてカウントされるようになりました。

『Abarth』は従来はフィアットに含まれており、同様に『DS』はシトロエンに含まれていました。

そんなわけで、昨年と同基準で計算すると、2014年のフィアットとシトロエンは

Fiat 7,645台(前年比 109.1%)
Citroen 2,407台(前年比 81.7%)

であったということになります。
フィアットはもうイケイケな感じですね。

逆にシトロエンはただでさえ販売が落ち込んでいるところに稼ぎ頭のDSが分離されてしまうと、ピカソが穴埋めをしてくれないと2015年の登録台数はかなり厳しいものになる懸念があります。


なぜ『Abarth』と『DS』は別ブランドとしてカウントを開始したのでしょうか?
これはもちろんインポーターの方針ということなのですが、単独のブランドとして独立させることでよりステイタスを持たせるための戦略の一環であったりします。

前例としてはすでに『BMW』とチューニングブランドである『BMW Alpina』が別々にカウントされている例があります。

FCAジャパン(1月よりフィアット・クライスラージャパンが社名変更)としては、手持ちのブランドの性格をより際立たせることで客層を明確化する狙いがあるのでしょう。

『Abarth』は10月からの3ヶ月間で356台を販売しておりますので、独立ブランドとして十分アピールできるだけの実績を上げています。


『DS』に関しても、3車種しかなく発売からかなりの年月が経って新鮮味が薄れている中で、1ヶ月80台を売っているわけですから、PCJ(プジョーシトロエンジャポン)としても、高級ブランドとして独立させてしっかり利益を出せる体制を作りたいのでしょう。

2015年は東名阪地区にDS専門店を立ち上げるなど、DSブランドにプロモーションリソースの大半を突っ込むようですので、その分シトロエンとプジョーは不遇の年になってしまうかもしれません。


さて、前置きが長くなりましたが話を各メーカーに移します。

前回はトップのVWから6位のボルボまでの第一グループ、いわゆる勝ち組について振り返りました。

今回はそこまでは到達していない第二グループ&その他烏合の衆について見てみましょう。


いつの間にやらプジョーを追い抜き、さらに先に行ってしまったフィアット同じFCAグループで久々の躍進となったジープブランドが揃って7、8位を占めております。

フィアットは前年比104.0%、ジープに至っては135.8%と大躍進となっております。
その原動力は質実剛健な「ラングラー」、クロスオーバーテイストの「チェロキー」、コンパクトSUVの「コンパス」という「SUVといったらこんな感じだよね」というニーズを一手に引き受けております。

トヨタがランクル70を再販したように本格SUVというのは一定の需要がありますが、厳しくなる環境規制に対応できずラインナップが激減しております。

しかも旧車を乗り続けてきた人もそろそろ限界を迎えつつあり、このタイミングで買えるのなら買い換えてしまおうという動きをジープがうまく吸収している感があります。

特にラングラーに関してはランクル70の再販によって客を取られていますが、逆にこのジャンルに再びスポットが当たったことで注目を集めることになったという副次的な効果もありました。

景気が多少良くなっていること。
そしてガソリン価格が下がっていることからこの手のクルマがウケるタイミングでもあったと言えるでしょう。


こんな感じで好調のFCAですが、CEOのマルキオンネが勇退を宣言した2018年までの5ヶ年計画においてかなり野心的な目標を掲げています。

フィアット・クライスラーが5カ年計画、2018年販売目標700万台

日本市場におけるちょっと危なっかしい拡大戦略もその流れに沿ったものと言えますが、2014年はフィアット・クライスラーグループで15,000台の販売目標を掲げておりました。

で、バラバラになってるのをまとめてみると、こうなります。

■フィアット部門
 フィアット 7,289
 アルファロメオ 2,661
 アバルト 356

 合計10,306台

■クライスラー部門
 ジープ 6,691
 クライスラー 1,286

 合計7,977台


■高級車部門
 マセラティ 1,407
 フェラーリ 561

グループ合計 20,251台

高級車部門を除いたFCAジャパンの取り扱い車種だけに絞っても合計18283台と目標を大きく上回った実績を上げております。

そんな勢いを駆ってか、2015年の目標は3割増しの2万台を目指すとしています。

FCAジャパン、15年販売目標2万台 小型SUV投入 

その柱になるのはジープ『レネゲード』、フィアット『500X』となります。

B/Cセグメントクロスオーバーとして世界的にもヒットしている車種だけに、日本市場に賭ける期待も大きいというところでしょう。

そろそろ稼ぎ頭であるFiat500の限定車商法も苦しくなってきているので、その代わりを務めてくれるのかが気になるところです。

唯一、クライスラーブランドだけが打つ手なしという低迷にありますが、こちらはどうするんでしょうか?


次に付けるのが9位のプジョーさんです。
リーマンショック後に持ち直すかに見えた販売台数ですが、どうも年間6000台というのが今持っているポテンシャルの限界と言えそうです。

208のパワートレイン刷新、2008の発売、308の発売開始&ディーラー試乗車の登録という最後の駆け込みを合わせても、販売台数が前年を下回ってしまいました。

前年割れしている他のブランドと違うところは、大ヒットの反動で実績を落としているのではなく、販売力の低下が構造的てなものであるという点です。

総合順位もフィアットに続きジープにも抜かれ、いつの間にやらルノーとの差が無くなってきました。

15位のシトロエンも同じ問題を抱えており、しかも2015年からはDSが別ブランドとしてカウントされることになりますので、登録台数としては厳しくなるかもしれませんね。
(DS専門店が立ち上がりますが、従来のシトロエンディーラーでもDSは購入可能なので、ディーラーの売り上げが奪われるということではありません)


次に同じくフレンチ勢の中では対照的な動きを見せる11位のルノーですが。
まさしく2014年は大躍進の1年となりました。

従来のカングーが下支えをする中でキャプチャーとルーテシアのヒットによって、数字が上積みされて前年比123.6%も伸びております。

これはトップ20ブランドの中ではマセラティ、ジープに次ぐ伸び率であり、販売拠点が少ない割によく売れていると言えます。

万が一2015年もこのペースを維持すると、ついにプジョーを射程に捉えることになります。

そのためには需要をきちんと把握して的確な車種を投入することと、より顧客を取り込むためのディーラー網の整備が不可欠です。

エリアカバー率の低いところへ新規出店を増やすのは当然として、プジョー横浜港南がルノーディーラーに鞍替えしたように、地場資本のディーラーをうまく取り込んでいくことで効率的に店を増やしていく必要があると思われます。

店舗数で言えば、あと10店舗ほど増えればプジョーと、15店舗増えればフィアット&アルファロメオ店と同レベルになります。

まぁフォードのように一店舗あたりの販売をもっと伸ばすという作戦もありますので、店舗の数が必ずしも総販売台数に直結するわけではありませんが。

フィアットと並んで2015年はルノーの施策にも注目です。


さて次はスポーツカーブランドとして異様に売れている10位のポルシェであります。
ポルシェは詳しくないので詳細は分かりかねますが、景気が良くなるとポルシェが売れるの法則がここでも見られるようですね。

ポルシェに関しては1999年は年間1414台で18位というポジションでしたが、その後ジワジワと数字を伸ばし続けております。
高級スポーツカーが大衆車よりも売れる国というのはそれほど多くは無いと思いますが、それだけ日本人にとってのポルシェというブランドの支持が高いということなのでしょう。


11位にはフォードが付けております。
フォーカスのヒットに続いてフィエスタを投入。ちょっと意味がわからないエコスポーツの投入によって年間の販売台数は前年比で118%も伸びましたが、総合ランキングではルノーに抜かれてしまいました。

しかし相変わらず少ない店舗で多くの台数を売っており、効率のよい販売と言えるのかもしれません。

ただし、相変わらず商戦期に数十万円のクーポンを乱発したりするので、低走行の程度の良いフォーカスやクーガが平気で100万円引きで販売されるなど、中古市場が大混乱しております。

こういうことばかりやっていると新車を買うのがホントにバカらしくなります。
逆にフォード車が欲しい人は発売から1年後ぐらいに程度のいい中古車を安く買うことをお勧めします。ってこんなところで書くことじゃないか。


最後に注目すべきは16位のマセラティです。

なぜか芸能人や特定方面のセレブには絶大な支持を得ているマセラティですが、ギブリとクワトロポルテの好調により前年比286.6%と大幅に実績を増やしております。

この手の高級車が1400台も売れるというのは、確実に世の中の特定の人々の金周りが良くなっていることを意味します。

さすがにバブルの再来までは起こらないでしょうが、世界的なリセッションでも起こらない限り、マセラティの好調はしばらく続きそうです。



さて、こんな感じで2014年を振り返ってみましたが、それぞれのブランドの浮き沈みにはそれ相応の理由があることがわかります。

もちろん一番大事なのは魅力的な車種をどれだけ用意できるか?という点になりますが、それと同時に日本市場に適したプロモーションの仕方でも勝敗が分かれたりします。

必ずしも資金が潤沢でなくても工夫次第で販売を伸ばすことができるわけですから、東京モーターショーがある2015年は各ブランドがどんな取り組みを見せてくれるのか、うぉちする側としては期待したいものだと思います。


相変わらず長くなりました。

じゃ、そういうことで。

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