C4ピカソは5人乗りがイイッ!

picasso_long2.JPG

写真と実物で受ける印象がまるで違うというのを、AVのパッケージと中身が詐欺レベルで異なるという事例で半ベソかきながら学んだ御仁も多かろうと思います。

事ほど左様にデザインというのは写真だけで判断せず、実際にモノを見て、触れてみなければ評価のしようがないというのが当方の考えでもあります。

AV嬢を生で見て、触れる機会というのはなかなかハードルが高いですが。

で、その思いを強くしたのが先日FBMの会場にて展示されていた新型C4ピカソなんですね。

既報の通り新型C4ピカソに関しては、先代モデルから日本に導入された7人乗りのロング版である『GRAND C4 PICASSO(以下ロング版)』と、今回日本には新規で導入される5人乗りのショート版である『C4 PICASSO(以下ショート版)』の2種類がラインナップされることになりました。

その2台が横並びで展示されていたので、両者の違いを比べながらチェックすることができました。

結論から言うと、7人乗りは期待が大きかった分ガッカリ感があり、むしろ5人乗りがすげーイイ!という、当初想定していたイメージとは180度異なる印象となりました。※あくまで個人の感想です。


内装に関しては両車ともフロントから2列目までの居住性に大きな違いはありません。
外装に関してはリアに流れるラインの処理に関して、ショート版はプレスの処理にお金が掛かっているのに、ロング版は妙にケチった印象を受けるんですね。

c4grandpicasso_sideview.jpg

c4picasso_sideview.jpg

サイドビューで見ると両車のデザイン上の違いがお分かりになるかと思いますが、ロング版のデザインの特徴であるルーフからリアに流れるシルバーのライン。これがボディのデザインとの調和を乱している感じがするのです。

簡単に言えば、すげー浮いてる感じなんですね。

逆にショート版ではこのラインはウィンドウ周りのアクセントとして主張が抑えめであり、一体感を損なわない演出になっています。

また、リアの処理については3列目の居住性を確保しようとするためにロング版はリアの部分がのっぺりした処理になっています。

picasso_long1.JPG

フロントから流れる元気な曲線基調がどうもリアに来るとおとなしくなってしまい、なんか取って付けた感が否めませんでした。

picasso_short1.jpg

対するショート版はフロントからの連続するラインがそのままリアまで続いていて一体感があります。
この辺がおぉっ!と思わせるインパクトに好影響を与えている気がします。

デザインについては見慣れれば逆に良く見えることもありますし、好みの問題ゆえに評価が分かれるのは当然であります。

ですので、これをもってロング版のダメ出しをするつもりは無いのですが、居住性に関しては先代のC4ピカソ、そしてプジョー5008で実現したパッケージングから大して進化が見られないという点も個人的にはマイナスに感じられてしまいました。
(それだけ先代や5008が素晴らしかったとも言えるのですが)

国産箱型ミニバンのように3列まで居住性を求めるようなニーズには不向きですし、あくまでエマージェンジーであることは理解できるのですが、あのサイズでしかも刷新されたEMP2プラットフォームでどれだけの自由度が高まったのか?と期待していた部分もあったので、パッケージングにあまり進化が感じられなかったのは少々意外でした。

逆に驚いたのがショート版です。

FBMではCARBOXがC3ピカソの並行輸入車を展示しておりましたが、C4ピカソはこのC3ピカソが持つエッセンス、デザインの存在感というものも吸収した上でさらに使い勝手を高めた作りになっており、C4ピカソが導入されたのなら、もうC3ピカソの国内導入の必要は無いな、ってぐらいの存在感でありました。

c3picasso1.jpg
▲C3 Picasso

国産にも海外他メーカーにも、このデザインと競合するクルマは今のところありません。
トヨタのエスティマが正常進化していたら、こんな感じになったのかもしれませんが。


ショート版の全長4430mmというサイズはロング版に比べると-170mm短いだけですが、これはプジョー3008や、当方の乗っている307swとほぼ同じ長さになります。

当方は307swを背の高いステーションワゴンという位置付けをしておりますが、シートを全部取り外すと広大なスペースが確保できてとても気に入っております。
あとは荷室の全長がもう少しあれば理想的だったのに、と思ってましたが、ショート版のC4ピカソがまさしくそのニーズに合致する素晴らしい荷室スペースを実現しています。

中の人に話を聞いたところ、自転車媒体の取材を受けたとのことで、おそらくロードタイプの自転車を前輪を外しても外さなくても余裕で入れられたと話しておりました。

また、プジョー3008と比較すると荷室面が非常に低く、荷物の出し入れがとても楽であり、なおかつ荷室高も確保できています。
3008はSUVテイストが強いクルマですので見た目のサイズの割に積載性がイマイチでしたが、ショート版C4ピカソは外見から感じられる以上の使い勝手を実現しています。

荷室のことばかり書いていますが、2列目シートに座っても足元にはかなりの余裕があり、当方が2列目の快適の基準としている、「座って足が組めるか?」を楽にパスできています。

つまり、背の高いユーティリティワゴンとして考えた時、ショート版C4ピカソは独創的なデザインに積載性という実用面を兼ね備えた、所有欲を高い次元で満たしてくれる一台だと思いました。

新型308swが伝統的なエステートタイプのステーションワゴンに回帰しましたが、ユーティリティワゴンとしての用途を考えるなら、ショート版C4ピカソの方がむしろいいのではないかという気すらします。


シトロエンの中の人もFBMで展示をしたら、

「圧倒的にショート版の反応が良くて、正直驚いた」

とのことでした。


そんなわけで、各種安全装備も万全のため3,470,000円と少々値は張りますが、一度チェックしてみるべき注目の一台であることに間違いはありません。

久しぶりにデザインと実用性を両立したクルマに出会った気がします。
少々興奮しすぎましたが、見るだけならタダなのでお近くのシトロエンディーラーに冷やかしに行ってみてはいかがでしょうか。

お近くにディーラーが無い場合は…どうしたらいいんでしょうか?


この記事へのコメント

  • 昼休み中

    ショートのメッキ部分やロングの銀鼠部分のようなアクセントって、ボディ色によって全然見え方が違ってきますよね。

    C4ピカソに限らず、“白黒写真に落とし込んだ時にどう見えるだろうか”というのが、私がこの手の意匠を組み込んだクルマを見る時のポイントです。

    現車はショートのブラウンしか見たことないので、どちらがいいかはまだ判断していませんが、ショートのゴロンとした感じは結構好きです。
    2014年11月06日 13:03

この記事へのトラックバック