「キツくない?」
あご紐を締めながら男は言う。
「うん大丈夫。でも変なかんじ。」
彼女は慣れないヘルメットにどこか窮屈そうな顔をしている。
「まぁ、タンデムならジェットタイプでいいでしょ。」
「髪が乱れるのは我慢して。」
男はそう言いながら、彼女のためのヘルメット選びをしている。
後ろに彼女を乗せてバイクで出掛けたい。
だから、とにかくヘルメットに慣れてもらうしかない。
店内を見ながら、彼女好みのデザインを探す。
「これかわいい。これにする。」
「(た、たけぇ…)」
男はかわいいイラストの入ったデザインヘルメットを、彼女のために奮発して買うことにした。
いや、どちらかといえば自分のためか。
数ヵ月後。
同じカップルが店を訪れ、再びヘルメット売り場に向かった。
どうしたんだろう?
今度はフルフェイスタイプのヘルメットを見ている。
主体的に動いているのは彼女の方だ。
「なにも最初から全部揃えなくたっていいんだよ」
男は少し引き気味に話しかける。
「自分で買うんだからちゃんとしたの選びたい」
前のめりに彼女は応える。
どこで学んだかはわからない。
ただ、女性がフルフェイスを選ぶのはいいことだ。
多少不便でも、万が一転んで顔に痕でも残ったらその方が後悔するだろうから。
(フルフェイスももうちょっとデザイン重視なもの並べときゃ良かったな…)
そんな微笑ましい光景を眺めながら、店員は品揃えの見直しを考えていた。
楽しさは伝播する。
そういうことらしい。
どうか安全運転で楽しいペアツーリングを。
・・・いい話だろ?
でもこれ、作り話なんだ。
いわゆる事実を元にしたフィクションってやつ。
で、ここに応募しようと思ったわけさ。
BIKE LOVE STORY
あなたとバイクとの感動のストーリーを募集しています
バイクをきっかけとした人との出会い、別れ、成長・・・
その感動と、あなたのBIKE LOVEの思いを物語りにしてください。
▲クリックで拡大
そしたら
「ご応募いただく作品は、ノンフィクションに限ります。」
だとさ。
なんだよ、せっかく書いたのに。
ってことでここでお披露目。
ちなみにコレ、俺だったら彼と彼女のセリフだけで余計なナレーションは入れず、後は映像だけで魅せる30秒CMを作るね。
バイク用品店とかバイクメーカーは、こういう感じのCM打てば共感得られるぞ。
コピーライトだけは主張するけどあとは好きに使っていいよw
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