三菱自や日産、トヨタ、そして国の補助金を使ってインフラの地ならしをさせておき、環境が整ったところで余裕の参入。さすがドイツ勢はムダが無い。
■ e-up! 3,669,000円(2/1受注開始)
※現行の補助金制度が次年度も維持されれば実質2,940,000円
■ e-GOLF 予価400万円台後半(2015年王発売予定)
BMWのi3が499万円(レンジエクステンダーが546万円)ということで、感覚的に少しe-GOLFが割高な気がしないでもありません。
これは専用ボディを持つ日産リーフに対して、ハイブリッドと同じ形をしたプリウスPHEVが妙に割高に見えて苦戦している関係と似ているとも言えましょう。
専用ボディというのは一目見ただけで特別な車種であることが分かるのに対して、既存ボディのバリエーションとなると、よく見ないと判別できないことから、意識の高い富裕層は特に専用ボディを好む傾向があります。
古い話ではハイブリッド戦争初期において、専用ボディを持つプリウスが爆発的に売れたのに対し、ホンダがシビックハイブリッドを設定したけどさっぱり売れなかったという事例にも当てはまります。
(性能差という歴然とした違いもあったわけですが…)
そのプリウスが今はPHEVとの差別化に苦しんでいるというのは皮肉なもんですね。
そんなわけでVWの戦略は日本の意識の高い消費者にどう響くのかが非常に興味があります。
e-up!に関しては、あのデキの悪いトランスミッションから解放されるというだけで価値がありそうな気がします。
e-GOLFはどうなんでしょうね?
むしろこの手の車種はアウディから先行して投入した方がイメージ的には想定顧客層のウケは良さそうな気がしますが。
EVってまだまだ大衆車と呼ぶには程遠いわけで、e-up!はまだしもe-GOLFに関してはリーフやiMiEV、アウトランダーPHEVやプリウスPHEVより大幅に高くなってしまう以上、むしろ意識高い富裕層を狙った方がいい気がするわけです。
GOLFという大衆車のボディをEV化することは、上記の通り意識の高い富裕層にはネガティブに写ってしまいそうな気がします。
その意味で専用ボディを持つBMW i3は意識の高い富裕層にもリーチできるうまい狙いどころだなぁと思った次第であります。
EVは大衆車か?
この問いに対して市場がどう反応するか、非常に興味があります。
意外とe-GOLFは苦戦するんじゃないかという気がしないでもありません。
さて、肝心の充電設備についてですが。
VWとしてはトヨタホーム、パナソニックの製品を推奨しており、価格は
【Panasonic製】
・簡易タイプ 95,000円(税抜)~
・ELSEEV cabi 3 235,000円(税抜)~
※補助金により実質155,000円(税抜)~
【トヨタホーム製】
・EVH1-H-M 190,000円(税抜)~
※補助金により実質130,000円~(税抜)~
となっております。
設置の施行についてはVWの推奨パートナーとして名前が挙がっているのが「トヨタホーム株式会社」、「株式会社JM」の2社。
主に一般戸建て住宅への導入工事を想定しているものの、マンションの共同駐車場への対応も可能とのことです。
充電プラグの形状については日本が先行して国際規格として提唱ていしているCHAdeMO(チャデモ)方式に対応しており、日産リーフや三菱自のiMiEVなどが充電できる施設を当然ながら利用できます。
欧州がコンボ方式を推すためにCHAdeMO方式の排斥の動きがありましたが、直近ではとりあえず国際規格としての認知を取りつけたといっていい状況のようです。
その辺りはこの辺のレポートをどうぞ。
どうなるEVの充電方式…EUにおける「コンボ」対「チャデモ」の戦い
そんなわけで、VWも日本への導入に関しては当然ながら日本で主流のCHAdeMOに対応してきたというわけです。
まだ市場が成立していないところでくだらない規格争いをしてもしょうがないので、当然の判断と言えますが。
来年2月から順次展開ということですが、VWがこのタイミングでミドルローレンジにEVと投入してきたということは、これでディーゼルに関してはアッパーミドル以上での展開という既報がより現実味を増した感じですね。
日産リーフもは補助金適用で226万円~と、いつの間にやら大幅に価格が下がっております。
しかも試乗車上がりの程度の良い中古車が激安で大量に中古車市場に流れておりますので、とにかく安くEVに乗りたい!と思ったら150万円ぐらいで買えちゃいます。
三菱自動車もMINICAB-MiEV TRUCKなんかは補助金適用で約148万円~とか、お値段の面では国産EVはずいぶん手が届きやすい状況になってきましたね。
それに対して海外勢が対抗するにはクルマとしての魅力やプレミアム感といった他人とは違った優越感を味わえるものならばそれなりに売れると思います。
なまじガソリンエンジンのゴルフが安くて性能がいい大衆車という地位を得てしまったがために、e-GOLFはけっこう難しい舵取りが迫られるかもしれませんね。
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