1月の担当者の突然退社以降、後任担当の営業マンと結局会うことなくここまで来てしまったわけだが、たまたま平日に休みを取ったものの天使に会えずにガッカリした後、プジョー世田谷店へと向かった。
前日に営業マンから電話で閉店についての伝言メッセージが入っていたので、せっかくだから挨拶も兼ねてその辺の経緯をきちんと聞いておこうというのがその趣旨だ。
結論から言えば、
「現在の体制では十分なサービスを提供できないため、一度戦力を再編して事業を立て直す」
というのが閉店の目的だということだ。
話は今年の初めに遡るが、当方の担当営業マンでもあり、世田谷ショウルームの立ち上げから在籍していたマネージャーのS氏が突然退職したことに端を発する。
その際他の営業マン2名、合計3名が一斉に世田谷ショウルームを退社してしまったのだそうだ。
確かに何人かいなくなっているなとは思ったが、まさか3名同時だとは思わなかった。
1月末で退社という案内が当方にも届けられたが、実際は有休消化で1月はほどんと店に来なかったらしく、十分な引継ぎができなかったのも大きいということだったそうだ。
そのためプジョーシトロエン東京内で急きょ人事異動のやりくりが行われ、当方の後任営業マンはプジョー中央から何も事情がわからない状態で異動してきたらしい。
確かに2008の発表会あたりのショウルームのなんとも言えない雰囲気は、現場が混乱していたのだということで納得できた。
人材の補強というのは単に求人を掛ければ済む話でもなく、またコスト削減の圧力がある中では今いる人材をやり繰りしてなんとかするという方針を取らざるを得ず、結果としてサービス提供が手薄になるというのはどこの業界でもある話だ。
後任営業マンの人は以前GSTに所属していたとのことで、プジョー横浜港北や新横浜などの情報については熟知している人だったので、各ブランドのインポーター施策などについても詳しかったが、やはり世田谷ショウルームの問題点として整備工場とショウルームが物理的に離れた場所にあること、目黒店と商圏が被っているなどを挙げていた。
当方が思っていた問題点というのは、現場でも同じように認識していたというわけだ。
マンパワーの不足によって顧客対応がじゅうぶん出来ていないことが最大の問題であるとして、世田谷ショウルームを閉鎖して目黒店に統合(シトロエンは中央店)することで体制の強化を図り、まずはしっかりと顧客対応を行っていきたいということで、閉店という事実は単なるマイナスの要因だけではないということを強調していた。
別々の店舗でスタッフを抱えるより、一店舗にスタッフを集約した方が販管費や事務作業などを集約できるので、より効率アップが可能になるのは事実だ。
その意味で今のグダグダの状況よりは目黒店に集約した方が動きやすくはなるだろう。
旗艦ショウルームという虚を捨て、その代わりに顧客対応の充実という実を取ったと思えば理解しやすいだろうか。
最初は疑心暗鬼だった当方の考えも、閉店・統合の狙いを聞いたら少し考えが変わってきた。
新規の顧客にとっては、近くの店舗がなくなって遠くまで見に行かなければならないというのは確かにネガティブ要因ではあるが、幸いにして世田谷ショウルームと目黒店はエリア的にかなり商圏が被っているのは以前指摘した通りだ。
体制を立て直して環境が整えば、整備工場とショウルームが一体となった店舗をもう一度出店するなんてビジョンもあるかもしれない、ということなので期待したいところだ。
しかし、プジョーもシトロエンも売れ筋の新型車種が登場するこのタイミングでなくてもいいじゃんか…とは思ったのだが、その辺の事情は上から突然話が降りてくるので現場はよくわらないとのことだった。
本当かどうかは知らないが、やはり2014年中にいろいろ整理しておきたいという思惑はあるのだろう。
もう一つ興味深い話も聞くことができた。
シトロエンに関してはやはり日本国内でもDSブランドを独立させてDS専門店を展開することが決定しているそうだ。
その第一号店はPCJ直営になるということで、現在準備が進められているという。
もちろん東名阪エリアでも展開するだろうからそちらは地場資本に任せることになるだろうが、東京エリアではプジョーシトロエン東京が運営を受け持つと見て間違いないだろう。
PSAは世界でDSブランドを積極的に展開しようとしている。
その方針は日本法人でもあるPCJにも降りてきているだろうから、2015年のPCJの動きはシトロエン、そしてそこから派生するDSをアピールするためのプロモーションが重点的に行われるのかもしれない。
穿った見方だが、今回の世田谷ショウルームの閉鎖は、DS専門店の人員と予算確保のためのリソース振替だったりするのかもしれない。
真相は今後の目黒店がどれだけ攻めた顧客対応ができるかをしっかり見定めてみたいものだ。
それと、担当になる営業マンには毎回当方がBLOGでプジョーについてあれこれ書いていることを伝えている。
今回の後任担当の人にも隠さずにそのことを伝えたところ、むしろ顧客視点で店に何か要望があるのならどんどん伝えてもらいたいとのことだった。
「客が何を考えているのかわからない。」
客商売をやっていてこれほど怖いことはない。
プジョーが進めようとしているプレミアム化路線について、顧客が求めている大衆車路線とのアンマッチを感じているとは言いながら、具体的な声が拾えなくては現場としても動きようがない、と。
プジョー乗りはたまにディーラーを訪ねて雑談しながら
「プジョーはこうあって欲しい」
なんてことをちゃんと伝えてみるのもいいかもしれない。
プジョーブランドにとって決して明るい話ばかりではないが、208 Allure(MT)の意外な売れ行きなど、それなりに手応えが感じられる部分もあるそうだ。
(皮肉にもその208 AllureのMTが販売終了などという話もあるが)
個人的にはこのご時世で顧客との接点をあえて避けるようなマーケティング手法が最大の問題だと思っている。
PCJの中の人も当BLOGをよく見に来られているようなので、今後も思ったことはいろいろ書いていこうかな、という思いを強くした次第。
世田谷ショウルームの閉店の話からずいぶん逸れたが、今後のプジョーシトロエン東京の動きには単にネガティブな視点ではなく期待も込めてうぉちしていきますよ、ということで。
この記事へのコメント
DS太郎
ちょうどプジョー307を手放した後という事もあり、そのまま後任の人の挨拶葉書はもらったものの、連絡もなくお会いする事もないまま閉店になりそうです。
それにしても、シトロエンのDS専門店化は本気でしょうか。他国の状況は知りませんが日本国内でのシトロエンの販売台数を考えるとDS専門店を立ち上げるというのは、メーカー資本のような販売店はまだしも、地場資本の企業はかなり二の足を踏むのでは?
私は様々な条件が許せば、またプジョーに乗りたいと思っています。特に新型308SWは魅力的だと思っていて、早く実車を見てみたいです。ただし、購入となれば私はプジョー信者ではないので、現実的にVWなどのライバルと比較してクルマが魅力的である事が大前提ですが・・・。
海鮮丼太郎
DS専門店は利益追求の柱事業なので、本国からやれと言われている以上やるでしょうねぇ。
まぁ、富裕層向けということでプロモーションにもお金を使うでしょうし、今後ぼちぼち車種も充実してくるでしょうから少しずつ広げていくつもりじゃないですかね?
今までとは違うやり方が必要になるので、人材もそれなりに高級車を売ってきたスタッフを揃えなきゃならんでしょうから、ちょうどレクサスの国内立ち上げみたいな感じではないかと。
東名阪の店舗についてはどうなんでしょうねぇ?
少なくともシトロエンやプジョーの店やってるよりは、DS専門店に鞍替えした方がまだ商売になるかもしれない、と思ってるところはありそうな気がしますが。
グループトータルで赤字にならなければいいという地場資本もありますので、酔狂で引き受けるところもあるかもしれません。
さて、DS太郎なのに308swが魅力的というのはなかなかパンチが効いていますが、今回の308swはゴルフヴァリアントと真っ向対決することになります。
クオリティ的には負けてませんが、パワートレインが弱いですね。
実質的にCieloじゃないと各種快適装備も付かないので割高感は否めませんが、レアなところに価値を見出す人もいるのでまぁ気に入った方をどうぞというところでしょうか。
それよりも、新しくなったメガーヌエステートがいいぞぉ!
308
そういえば私の担当者@晴海が1月に突然世田谷に異動になったのを思い出しました。タイミングが符合しますね。また先日お会いしたBMWの営業の方は今年の初めまでPCJにいたとおっしゃっていました。VWには元BMWが多くいたり、BMWには元MBがいたりと、正規ディーラーという同業間での人材の流動性って高いのでしょうか。
今後ともブログを楽しみにしております。
海鮮丼太郎
コメントありがとうございます。
当方の担当は、おそらくその方ですね。
人材の流動性というのは、輸入車業界は結構活発にありますので、違うブランドに移籍するケースは非常に多いですね。
世田谷の元マネージャーS村氏も、プジョーの前はボルボにいたと言ってましたし。
立つ鳥跡を濁さず、であれば本人が好条件をもとめて転職するのはご自由にというところですが、世田谷退職の騒動には若干疑問を感じずにはいられないというところです。
ちなみにBMWでお会いになった方は、上記のヒントに該当するお名前でしたか?