場所は東急池上線の蓮沼駅、もしくはJR蒲田駅から住宅街の中を歩いていくのだが、歴史ある住宅街(火事が起こると非常によく燃えそう)の細い道を入っていくと、それは突然現れたのであった。
まず驚いたのが、パッと眺めると「第二日の出湯」とはどこにも書いていない。
書いてあるのは「大田黒湯温泉」の文字だけ。
・・・場所間違えたのか?
何度も地図を確認するが、間違いなく場所はここらしい。
しかし、アウディとコラボした銭湯絵についてのポスターも掲示も何にもない。
動揺して立ちすくんでいる当方の横を、腰の曲がったおばあちゃんが2人、中に入っていく。
まったくもってその辺の銭湯の光景そのものだ。
何も特別感が感じられない。
とりあえず中に入って聞いてみるしかあるまい、ということで番台に向かうと、番台の婆ちゃんと先ほどの腰の曲がった二人の婆ちゃんが世間話をしている。
やれ腰がどうだとか薬だどうだとか誰々さんは入院したとか何の買い物をし忘れたとか。
老人の時の流れはゆっくりしているというが、後ろで待ってる当方に気が付かないあたりが年齢を重ねた重鎮ならではの貫録だ。
埒があかないので声をかけてみた。
「ココってアウディの銭湯絵のあるところですか?」
「はぁ?」
「ココは銭湯絵で有名なところですか?」
「はぁ?」
「ココのお風呂の壁にクルマの絵は描いてますか?」
「あぁ、クルマの絵ね」
・・・おい。
耳が遠いから聞こえないのかと思ったら、アウディのコラボ企画のことについて全然知らない感じだった。
しかも「銭湯絵」という言葉が通じない。
壁にクルマの絵という、外国で慣れない会話をするレベルまで言葉を簡略化してようやく意味が通じた。
さすがただの銭湯。
侮れない。
「でも、今日は女湯だから見れないよ」
「ヘっ?」
こんどはこちらが素っ頓狂な声を出す番だ。
第二日の出湯は半月単位で男湯と女湯が入れ替わるようになっており、アウディの温泉絵が見られる方は今日は女湯だという。
「じゃあいつ男湯に切り替わるんですか?」
「16日からだね」
ちょっと待て。
クルマのコラボ企画といえば、対象は圧倒的に男性だ。
しかもこういうネタは新鮮なうちにネット上でバズらせなければ意味がない。
しかしその対象の男性が温泉絵を見ることができるのは2週間後だというのか?
アウディにしてはこれはちょいとポカじゃないですかねぇ・・・
番台からちょっとだけ女湯の壁の絵が見えたが、確かにアウディR8が描かれていた。
しかしこれ以上突撃するとなかなかファンキーな事態を招くことになるので自重した。
ってことで、2週間後にもう一度訪れようとは思うが、せっかく話題を作るなら、こういうのはちゃんとタイミングを見計らってやろうよ、などと思う次第でありました。
帰り際に案内板の写真を撮ったら、ここに小さく第二日の出湯って書いてあった。
何なんだいったい・・・
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