アウディの特異なコラボが果たす効果とは?

audi_sentoue.jpg

そんなわけで、アウディがまたやらかした。
外国メーカーがその国で販売を伸ばしたいと思った時、その国の文化や風習を受け入れ、それに対するリスペクトを持ったマーケティングが必要になるのは言うまでもない。

製品そのものが日本の事情に合致していなくても、マーケティングのやり方次第で日本人にウケるやり方というのを、アウディは会得したようだ。

日本人ですら忘れかけている銭湯絵という文化。

銭湯の壁に見事な富士山が描かれていたりする、アレのことだ。

日本の文化を語る上で「銭湯およびそこでにおけるコミュニケーション」というのは海外から見ても特異かつ魅力的なものであることは、ヤマザキマリの「テルマエ・ロマエ」などでも描かれている。

しかし銭湯文化そのものが衰退の一途を辿っており、銭湯絵師なんていう職業も絶滅危惧種だったりするわけだが、コラボレーションというのは意外性があればあるほどインパクトがある。

日本の大衆文化の極みと言える銭湯絵。
それに対してアウディの中でももっともスポーティなR8 Spyderという車種の組み合わせ。

このインパクトこそが海外メーカーの日本という国におけるマーケティングのある意味お手本のようなものだと言ってもいい。

「だから何なんだ。」

という反応も一方ではあるだろう。
こういうネタ的な試みは、万人に理解されるのは難しい。
しかし、刺さる人には確実に刺さる。

R8 Spyderという車種の直接の販売に結びつかなくても、アウディというブランドに対する評価が確実に向上する。

また、こういった日本文化とのヘンテコなコラボレーションは、その特異性が際立つほどソーシャルメディアを使って海外にも広く伝わる。

その宣伝効果は国内だけに留まらず、世界中でアウディのブランド力向上に貢献するだろう。


以前当BLOGでホンダがアメリカのドライブインシアターの救済プロジェクトに取り組んでいることを書いた。

ドライブインシアターを救え!

あれの逆をアウディが日本でやったと思えば、イメージしやすいだろう。

節操無いといえば節操無いアウディの広告宣伝戦略は時に鼻に付くことも多いが、こういうのはも問答無用で「一本取られた」と関心してしまう。

日本人ですらその存在を忘れつつあった銭湯絵に、最新のクルマが描かれていたら、なんじゃいコリャ?という話になる。
しかも銭湯絵が描かれているのはどこぞの高級旅館の風呂ではなく、460円で入れる大田区の大衆向け銭湯なのだ。

冒頭のツイートであるビール吹いたというのはネタではなく、プレスリリースがメールで飛んできたその件名を見た時にその文字面のインパクトにやられてしまった、実話だったりする。

あぁ、もちろん見に行ってくるさ。
振られたネタはきちんと受け止めてやるさ。



この記事へのコメント


この記事へのトラックバック