8月の頭にこんなニュースが流れた。
5日付のタイムズ・オブ・インディア紙は、匿名の関係筋の話として、マヒンドラが技術供与やフランスとインドでの生産施設の共有化、「大規模投資」を伴う戦略提携についてプジョーと協議していると報じていた。
プジョーの広報担当者は、「インド市場は当然、将来的にわれわれにとって重要になるが、現段階でインドへの即時の復帰を誰かと話し合っているという事実はない。現在の優先課題はグループの立て直しだ」と述べた。
火の無いところに煙は立たないというが、それにしてもインド市場への再参入については、当面は東風汽車と組んで何かやるんじゃないの?と思ってたのでこの報道の意図するところがよくわからなかった。
しかし、迅速にインド市場への再参入を果たすにはマヒンドラ・マヒンドラとの提携は手っ取り早い近道とも言える。
タタ・グループが「ジャガー」や「ランドローバー」を買収して世界各国でうまく展開している手腕を見ると、PSAとしてもマヒンドラにこういった部分を期待するという可能性もありえるのかな?とも。
そして一ヶ月経って出てきた話題はこんな感じだった。
9月16日(ブルームバーグ):トラクターやスポーツ型多目的車(SUV)の生産でインド最大手のマヒンドラ・アンド・マヒンドラ は、フランスのプジョーシトロエングループ(PSA )からスクーター事業を買収する方向で協議を進めている。事情に詳しい3人の関係者が明らかにした。
大本になったブルームバーグの英文記事によると…
プジョーの2輪部門はインド市場において3月期で23%も上昇するなど市場としては有望であり、プジョーのスクーターもそれなりの実績を上げている。
しかし、全体で見ればPSAにおける2輪事業は不採算部門となっており、前年比-8.2%の7.9万台程度の販売しかない。
エンジン工場の閉鎖などリストラを進めてきたが、フランス人500名、中国人300名の雇用も重荷になっていた。
そして、テコ入れとして期待した新型3輪スクーターのメトロポリスも、目標7000台のところが4000台程度の販売と低迷しており、PSAのCEOに就任したカルロス・タバレスから見ても不採算事業という判断を下さざるを得なかった、という事情のようだ。
▲目標ほどは売れなかった「メトロポリス」
日本においてもプジョーのスクーターは4輪部門のPCJ(プジョーシトロエンジャポン)は関知しておらず、一応プジョーモーターサイクルジャポンという並行輸入代理店が存在してはいるものの、ここ最近はまともに活動している様子も見られない。
大手のバイクショップで見かけることもなく、細々と並行品が輸入されている程度といった状況のようだ。
(以前も書いたが、自転車、スクーター、クルマのそれぞれの知名度を活かすために相互でプロモーションすりゃ良かったのに…)
プジョーといえば、原付かつ足こぎペダルで自転車にもなるという「VOGUE」というモペットが、ホンダのカブと並んで一世を風靡してオシャレ系女子のハートを鷲づかみにしたこともあったのに、どうしてこうなった…
▲名車「VOGUE」
このままプジョーの中で不採算部門としてくすぶるより、マヒンドラ資本になってVOGUEの復刻や新車種の開発といったところまで任せてしまった方が、お互いの利益になるんじゃないかとも思う今日この頃。
元々プジョーという会社は自転車、バイク、自動車の生産を古くから続けてきた歴史のある企業だ。
それが自転車部門もラインナップは縮小されOEMによる品揃えに頼ったり、2輪部門は売却が検討され、自動車部門は中国資本の助けを必要としている。
なんともさびしい話ではあるが、これもまた時代の変化に対応するためには必要なことなのかもしれない。
願わくば、売却後もプジョーのブランドを継続してくれれば、それだけでも欲しいという気持ちが沸くかもしれない。
スクーター一台、欲しいんだよね。
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