ISISというクルマ

イスラム国にどう対応するのか?

直接的、間接的に繋がりのある世界各国の建前と本音の部分が入り混じってもにょもにょした感じになっておりますが、それはそうとて紛争国でも安心のトヨタ車であります。

とはいえ、アルカイダの時もそうでしたが、当該地域にトヨタは直接は輸出していないという事実があったとしても、これだけ国際交易がさかんになればどういったルートからでも調達は可能だというわけです。

そして、こういうタフなところでも支持されているトヨタ車というのは、それだけでも宣伝効果としては抜群なものがあるわけです。
表立って宣伝するわけにはいきませんが、トヨタ社内では内心ほくそ笑んでいる人がいてもおかしくはありません。

それは、自分たちの作ったものがどう使われるかは置いといて、少なくとも信頼されているのだという喜び禁じ得ない、モノづくりをしている者にとっては抑えようのない満足感とも言えるでしょう。

誰がそれを責められましょうか?


それにしても。

トヨタには「アイシス」という名のミニバンが存在しており、スペルが「ISIS」なんですね。

ISIS.jpg

このネーミングはエジプト神話の女神の名前で、広くは「イシス」として知られているものを「アイシス」と呼んで車名にしたという経緯があります。

とっくに廃止になりましたが、同様に「ガイア」という7人乗りのミニバンもありました。
こちらはギリシャ神話の地母神であるガイアから来ているのは明白ですね。

そんなわけで、トヨタとしてはイスラム国(ISIS)とはまったく関連もないところでありますが、とんだとばっちりを受けてしまいました。

クルマのネーミングというのは、それがどのようなキャラクターなのかをイメージさせる重要な要素であり、女神の名称を使った7人乗りのミニバンという、およそ戦争とは関係ないネーミングでありながら、単にスペルが同じというなかなか残念な結果になってしまいました。

当然トヨタに責任はありません。


同様の事例で知られるのは、VWの大型SUVである「トゥアレグ」ですね。

「トゥアレグ」の名称は、アフリカ大陸サハラ砂漠西部で活動する遊牧民の「トゥアレグ族」から取られた名称ですが、砂漠のような厳しい環境でもタフに乗りまわせるイメージを込めていたのでしょう。

実際、トゥアレグはVWのラインナップの中でも富裕層が好む車種としてそれなりに成功しましたし、ガワを変えただけのポルシェ・カイエンなどは芸能人御用達のクルマにまでステータスが高まりました。(これはどうでもいいですねw)

ちなみに、今年の夏に発生した丹沢の水難事故で無理に河を渡ろうとしてひっくり返ったのもトゥアレグであります。

そんなトゥアレグでありますが、命名元となったトゥアレグ族が最近各所でクーデターを起こしたりニジェール、マリ、チャド、モーリタニアなどで紛争を仕掛けるなど、イスラム国まで大規模ではないものの、国際的に非難される事態を引き起こしております。

VWも頭が痛いところですな。


どんな商品もそうですが、こういうリスクもあるのでネーミングを考える際は国際情勢を鑑みつつ、言葉の響きやそれが何かの卑猥な隠語になっていないか?といったことまで考えて付ける必要があるわけで、とても神経の使う作業だと思います。
現場の方も大変ですね。

そういえば、ホンダの初代フィットのネーミングが発表直前まで「フィッタ」で進められていたのが、「フィッタ」というのがスウェーデンにおける女性器の隠語だったために急遽「フィット」に差し替えられた、みたいな話がよく聞かれますね。
(フィットの海外での名称は「Jazz」なのですが)

そんなことを思いつつ、ちょいとツイートしたらえらく拡散してiPhoneの通知がビコビコうるさくてたまりませんでした。



この記事へのコメント


この記事へのトラックバック