フィアットは大丈夫なのか?


投資家筋からは儲からない大衆車部門を切り捨て、フェラーリなどの高級路線で行きたいという勢力と、ドイツ勢に対してガチンコで勝負を挑み続けるフィアットのCEOであるセルジオ・マルキオンネとの確執なんて話があったりしますが、拡大路線を主張するマルキオンネに嫌気を指して、長くフェラーリを率いてきたルカ・ディ・モンテゼーモロ会長が退任することになりました。

イタリア自動車大手フィアットは10日、子会社の高級車メーカー、伊フェラーリのルカ・ディ・モンテゼーモロ会長(67)が10月13日付で退任すると発表した。

 モンテゼーモロ会長はフェラーリの創業者、故エンツォ・フェラーリ氏の側近として知られ、1991年から23年間にわたりフェラーリの経営を率いてきた。2004~10年にはフィアット会長も兼ね、マルキオーネ氏の改革を支えた。

 近年はフェラーリのブランド価値を守るため、販売台数を年7千台に抑える方針を打ち出し、フィアットの資金調達手段としてのフェラーリ上場計画にも明確に反対していた。マルキオーネ体制になった後のフェラーリの経営がどう変わるかに注目が集ま

これに伴い当面はフィアットグループとして拡大路線を突き進む方向性が見えたとも言えますが、それを象徴するようなニュースがこちらにも。


 フィアットクライスラージャパンは27日、輸入車で国内最大級の店舗を札幌市内に開く。敷地面積は4000平方メートルで、傘下の全5ブランドの店舗が入居する。消費増税で輸入車販売の前年割れが続くなか、同社は主力ブランドが前年比で増加に転じ堅調だ。店舗数も今年に3割増の200店体制にする計画で、大型店新設で攻勢をかける。

 販売会社のインポート・プラス(札幌市)が出店する。傘下の「フィアット」「アルファロメオ」「クライスラー」「ジープ」「アバルト」の5ブランドを併設する。5ブランドを併設した店舗を同時に出すのは初めて。合計10台を展示する。ブランドごとに専用のタイルやじゅう器にして、店舗の内装デザインに違いを出す。

 フィアットクライスラーの2013年の販売は前年比3%増の1万7千台で、4年連続の前年比プラスとなった。多目的スポーツ車(SUV)「チェロキー」の新型車が好調なジープの販売が8月まで11カ月連続で前年比で増えているほか、フィアットも7月には増加に転じた。同社は中期的には日本で3万台の販売を目指す。

フィアットは単体ブランドでは昨年の国内における輸入車メーカーランキングで7位に着けており好調さを維持しております。

各ブランドの国内市場における年間販売ランキングは…

フィアット7位
アバルトフィアットに含む
ジープ9位
アルファ・ロメオ14位
クライスラー16位

という感じになっております。

ディーラー展開については、基本的には「フィアット&アルファ・ロメオ店」というイタリア系と、「クライスラー・ジープ店」という、アメリカ系という具合に分けて展開をしております。

以前はアルファ・ロメオ専売店みたいな形で展開していた時期もありましたが、フィアット店と統合することでコスト削減を行ったのが功を奏し、当初は足を引っ張るばかりだったフィアットがFiat500の大ブレイクにより、逆に低迷しているアルファ・ロメオを救うという展開になっております。

「三本の矢」の例えじゃありませんが、1つのブランドでは弱くても、3つのブランドが力を合わせれば強くなる、みたいな話であります。
フィアット、アバルト、アルファ・ロメオとちょうど3つだったりもしますし。

同様にクライスラー・ジープ店でも2つのブランドを併売することで管理コストを抑えて多品種のクルマを売る戦略に出ております。
(一昨年にクライスラー・イプシロンを見込み違いで大量導入してしまい、大幅な値崩れを起こすなどクライスラーブランドだけが苦戦している状況ではありますが…)


で、そんなフィアットグループですが、現在国内の新車販売ディーラーは、

フィアット&アルファロメオ店 81店舗
クライスラー・ジープ店 63店舗

まで拡大しております。

上記の北海道の戦略店は、それぞれ分かれていた2系統の店を統合して、フィアットグループ全ブランド取扱い店としてオープンするんだそうです。

トヨタが系列店を一ヶ所に集めたディーラーモールのようなものを作ったりしますが、それと同じ発想と言えるでしょう。

他にも驚きなのが、割合は不明ですが、本年度中に全国のディーラーの数を3割増やして200店舗を目指すとしている点です。

これにより中期的に年間3万台の販売を目指すということですが、ずいぶん思い切った勝負に出たなぁ、というのが正直な感想です。

これは若干、ネガティブな意味を含んでいます。

グループ全体が好調であることは事実ですし、販売店の数を増やせばそれだけ販売台数を稼ぐ可能性が増えることも事実です。

しかし、今のフィアットグループを見回すと、意外と売れるタマはそれほど多くはありません。

■フィアット&アバルトの売れ筋
 ・Fiat500シリーズ(好調だがモデル後期で鮮度が落ちてきた)
 ・パンダ(地味に売れているが爆発力はない)

■アルファ・ロメオの売れ筋
 ・4C(新型で人気はあるが台数限定)
 ・ジュリエッタ&MiTo(想定ほどは売れず)

■ジープ
 ・チェロキー(販売好調)
 ・コンパス(販売好調)

■クライスラー
 ・売れ筋がなく苦戦


このような感じであり、店を増やしても売るものが無いというリスクが伴います。

おそらくはFiat500シリーズとジープで台数を稼ぐつもりなのかもしれませんが、ここらでぼちぼち新型車の導入によってラインナップの拡大を行わなければ厳しいと思います。

そこで考えられるのが以下の車種です。

Jeep-Renegade_2015_1280x960_wallpaper_01.jpg
▲ジープ・レネゲード

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▲フィアット500L

Fiat-500X.jpg
▲ファイット500X

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▲パンダクロス

これらの車種の国内投入です。
レネゲードと500Xは基本コンポーネントを共有した兄弟車ですが、ご覧のとおりキャラクターが明確に異なるため、両ブランドに投入しても直接的なバッティングはしないと思われます。

また、人気のクロスオーバーSUVであることからも、販売に期待が持てる車種です。

また、500シリーズのMPVである500Lも、現在のフィアットグループの中で欠けているピースを埋める役割は果たせるのではないでしょうか。

こんなのチンクじゃない!という声も海外ではあるようですが、ラインナップ強化という意味では有効かもしれません。

そして最後にパンダクロスです。

パンダをベースに地上高を上げ、なんちゃってSUVに仕上げたクルマですが、パンダの販売が沈静化してきているので、テコ入れの意味では投入したら面白い車種だとは思います。

ただし、上記したFiat500Xとコンセプトが被るので、500Xが導入されるまでの繋ぎとしての導入という可能性がある程度かもしれません。


これらはあくまで予想ではありますが、これぐらいラインナップを拡大しないと、中期目標3万台を目指すのは難しいと思います。

ディーラーを増やすということは、インポーターにとっては販管費が増大することを意味します。

輸入車ビジネスは「魅力的なクルマ」と「充実したディーラー網」という両輪が揃って初めてうまく回ります。

その意味で、今年だけでディーラーを3割も増やすという施策は、どうもバランスを欠いた戦略に見えて、当方としては若干の不安を感じずにはいられません。

もちろんこれでフィアットグループのクルマがバカスカ売れて、街中を走るクルマに彩りを与えてくれるのであれば、それは大変喜ばしいことではあるんですが。


なんでこんなにフィアットについて熱く語っているのかというと、プジョーさんで語ることがなくなってきたからです。
他意はありませんどころか、大ありです。
  

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