(前回のつづき)
オートバックスがアマゾン様で購入したカー用品の取付サービスを発表した。
★当サービスをご利用いただく際の注意事項1.取付・交換は「Amazon.co.jp」が販売する新品に限ります。※Amazon.co.jpに出店しているストアが販売する商品(マーケットプレイスでの購入商品)は対象外となります。2.取付車両は国産乗用車に限ります。3.違法改造車への作業および取付・交換することで保安基準に適合しなくなる場合の作業はお断りします。4.作業工賃は、お車の状態や取付方法等により異なります。従って、お申込後、店舗からのご連絡時にご案内させていただきます。現車確認後でないと工賃を提示しかねる場合があります。
安さで通販に客を取られ、取り付けで専門業者に客を取られ、ただでさえ消費者がカー用品を買わなくなった状況において業績が厳しいオートバックスが、ある意味禁断の領域に手を出したというのが今回のこの施策というわけだ。
では、実際に交換・取り付けを頼もうとした場合の料金設定について見てみよう。
タイヤ・ホイール(17インチ以下) | 1,500円~ |
タイヤ・ホイール(18インチ以上) | 2,500円~ |
ETC車載器(セットアップ手数料別) | 4,300円~ |
カーナビゲーション | 22,000円~ |
TVチューナー/アンテナ | 11,000円~ |
カーオーディオ | 5,500円~ |
レーダー探知機 | 4,000円~ |
ドライブレコーダー | 6,500円~ |
バックカメラ | 16,000円~ |
サスペンション・車高調 | 16,000円~ |
マフラー | 5,000円~ |
シート | 6,500円~ |
ステアリング | 5,000円~ |
シートカバー | 4,000円~ |
上記の料金表において、「○○○○円~」という表記がクセモノだ。
実際に作業を頼もうと思うとこれがとんでもなく跳ね上がる可能性が無きにしも非ず。
しかし、店側にも都合というものがある。
この手の用品を取りつける場合、掛かる費用の大半が作業時間に伴う人件費だ。
この手の用品を取りつける場合、掛かる費用の大半が作業時間に伴う人件費だ。
特に電子製品であれば配線の取り回しや正しい取り付け位置の確保、正常に動作するかの確認作業などかなりの手間が掛かる。
またこの手間の掛かり具合は車種によっても様々だし、持ち込まれたオーナーのクルマにゴテゴテと装飾が施されていたら、それらの邪魔にならないように作業をしなければならず、余計時間が掛かる。
こういう部分を加味すると、料金を一律に設定するのは難しい。
一応目安が公開されているので、この辺りを読んで納得するしかない。
しかし、正規ディーラーに取り付け作業をお願いした場合などに比べれば、かなりリーズナブルではある。
激安店で買ったナビを正規ディーラーに取り付けを依頼したら工賃が6.5万円という衝撃の提示を受けた経験がある。
さて、そもそもオートバックスはなぜこのようなサービスを始めようとしたのだろうか?
この施策のメリットは
・ピットの稼働率を上げることができる
・通常より工賃を上乗せすることで利益率の改善
ということになる。
当然カー用品を販売するというオートバックスの店舗運営は今後も残るため、アマゾン様は言わば競合関係にある。
しかも価格は圧倒的にオートバックスより安いケースが大半だ。
そこでアマゾン様とは直接のバッティングを避け、そこで買った用品の取付作業という需要を引き受けようという戦略だ。
そうなるとデメリットとしてはこうなる。
・自社店舗のカー用品売上が落ち込む
・ピットの稼働率が上がり過ぎて自社店舗の客に対応しきれない
アマゾン様との競合を避けるということは、同じ商品の価格勝負になった場合は、売上はアマゾン様に流れるということになる。
自店舗での売上が減れば、メーカーからの仕入れ数も絞らなければならず、そうすると仕入れ値が上がって利益を圧迫する要因にもなり得る。
ただし、ひとつ上手いなと思ったのが、このサービスを受ける条件としては、Amazon.co,jpが販売したカー用品の取り付けに限定している点だ。
よくよく検索してみると、カー用品に関しては意外とアマゾン様自身が販売している商品はそれほど多くは無い。
むしろ、マーケットプレイスという業者がアマゾン様の仕組みを使って出品しているケースが結構目立つ。
それらは対象にならないので、何でもかんでもオートバックス店舗の商品とバッティングするわけではないということだ。
しかし、もう一点のデメリットの部分が気になる。
というのも、カー用品の取付はピットでの作業が基本になるわけだが、週末ともなるとオイル交換やタイヤ交換でピットは結構混雑する。
オイル交換だけでも一時間待ちとかいう状況に遭遇すると、現状でもそれなりにメカニックマンの回転率は確保されてるんじゃないか?とも思える。
ここに今回のようなアマゾン様で買ったカー用品を取りつけるなんてサービスが加わると、ただでさえ待たされるところがもっと混雑することになるんじゃないか?という懸念が生まれる。
作業の流れ見る限り、事前の予約が必要ということである程度の作業見込みが立てられるが、問題は仮にメカニックマンを増やしたとしても、作業ピットの設備はそう簡単には増やせないということだ。
標準的なオートバックスの店舗では、リフトが4台程度設置されているが、その4台が埋まってしまえばそれ以上の作業を増やすことは難しい。
カーナビやドライブレコーダーなどリフトを使わず平地で行える作業であれば駐車場の停めた場所で作業もできるだろうが、タイヤ交換、サスペンション、マフラーとかの作業はピットを占有することになる。
もちろん店頭で購入した客の方が優先されることになるんだろうが、それでも客をどのように捌くかというシミュレーションをどこまでやっているんだろうか?
まぁ、これらは始まってみないとわからないことなので、お手並み拝見といきたい。
最後になるが、アマゾン様で安く調達したカー用品を(オートバックスというブランドを信頼すると仮定して)安心して取付を任せられるサービスが出来たことは、個人的にも素直に歓迎したい。
できれば早い段階で輸入車にも対応して欲しいところだが、とりあえず実家のプレミオにドライブレコーダーを取りつける依頼をしてみようかと思う。
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