東風汽車からの出資を受け入れ、市場的にも有望な中国を攻めようとすれば、当然そちらに向けて車種を最適化する動きが出てくるのは当然の流れです。
そんなわけで、従来は中国向けのモデル(南米などでも一部併売)を仕立ててきたりしましたが、フラッグシップである508シリーズの後継に関しては、中国のニーズを汲む形で2つの方向性に進化する、というお話です。
1つはよりダイナミックに、もう一つはより広々かつコンフォートに。
記事ではメルセデスのEクラスとCLSのような、という表現をしておりますが、まさにそういうところが狙いなのでしょう。
従来は307/308/301セダンなどCセグメントでの専売車を投入してきたりしたわけですが、より利益を出そうと考えれば増加している富裕者層を狙うのが必然となります。
思い返せば508シリーズというのは、407と607を統合してその中間を狙った、妥協と迷いの産物でありました。
経営再建中の当時のPSAの判断として無駄な車種を統合して売れ筋に特化するというのは妥当な決断ではありました。
しかし、結果として販売台数は日本だけでなく主戦場である欧州でもあまり芳しくなく、ラインナップに508RHXを加えるなどしていますが存在感が希薄な状況は変わっておりません。
フェイスリフトが発表されておりますが、大きなメカニカルチェンジのトピックもなく、エンジン含めて新世代へ移行するまでは細々と販売を継続していくのだと思われます。
そんな中で出てきた新世代の話は、簡単に言えば607クラスの後継車が復活するということです。
607はプジョーにとってはフラッグシップでありまして、それなりに気合を入れて開発したのですが、いかんせんメカニカルトラブルが多すぎて、市場の信頼を得られませんでした。
イギリスでも電装系の故障でワースト10に入ってたりしましたし。
そんなわけで高級車路線から撤退したプジョーさんですが、冒頭の通り新たな市場開拓を狙って高級路線に再参入、ということになるわけです。
もちろんこれは中国以外の地域でも販売するわけですが、DS Lineがプレミアム路線へとシフトし、プジョーも現在の大衆車路線からちょっとアッパーへとブランドポジションを底上げする役割を担うことになるのでしょう。
そうすると気になるのが、406→407シリーズの路線はどうするのか?ということになります。
いわゆる大衆Dセグメントですね。
本来はCセグメントである新型308がサイズ的にはDセグメントに被っているので、その役割は308シリーズに委ねることになるのかもしれません。
販売のボリュームが期待できないセグメントでもあるので、そうした決断もアリかもしれません。
ところで。
そうすると、プジョーが2012年に自ら定めた車種の命名ルールが崩れることになりますが、その辺の整合性は大丈夫なんでしょうか?
末尾が1=主に新興国向け
末尾が8=従来のステータスラインナップ
“中国はもはや新興市場ではない!(キリッ)”
という言い訳もありえるかとは思いますが、ちょいと苦しい気もします。
日本市場に508後継が導入されるとしたら、ディーラーの方でも従来の売り方を変えないといかんでしょうね。
高級セダンというのは売り方やおもてなしも含めて商品なので。
そういったソフト面も含めて、どのように展開してくるのか生暖かくうぉちすることにしますかね。
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