VWがDSG(デュアルクラッチトランスミッション)の大規模リコールを起こしたのも記憶に新しいところだが、今度は日本市場の攻略に重要な役割を担ったup!が、またもやトランスミッションでリコール(PDF)となった。
自動変速機制御コンピュータのプログラムが不適切なため、走行中にギア位置やクラッチ位置を正確に検出できないことがある。そのため、ギア位置が固定されたり、最悪の場合、クラッチの締結が開放され、惰性走行状態となり、車両停車後に発進不能となるおそれがある。
詳しくは上記PDFファイルを確認してほしいのだが、up!も割とトラブルの話を聞いてはいたものの、ここまで酷い状況だとは思ってもみなかった。
正直言って、お粗末なレベルと言わざるを得ない。
対策としては、
自動変速機制御コンピュータの品番を確認し、プログラムを書き換える。
または、プログラムを書き換えた自動変速機制御コンピュータに交換する。
とのことであり、プログラムの書き換えで対応するそうだが、前回のDSGのリコールでも根本的な解決になっていないといった指摘もある中で、本当にこれで大丈夫なのか?という疑問が浮かぶのも正直なところだ。
リコールの届け出に関しても、DSGのケースと同様、
不具合件数:111件
発見の動機:市場からの情報および国交省からの指摘による
となっており、VW自らリコールと判断したわけではないというのが気になる。
VWに言わせれば、これは仕様の範囲内という言いたいのかもしれない。
中国でDSGが問題になったのも、日本においては頑なにリコールしなかったことからも、そういった考えが透けて見える。
DSGについては投入からすでに10年が経過し、ようやくノウハウが蓄積されてきたところだが、それでもまだリコールが発生するレベルだ。
ASGに関してはMTの技術をベースにクラッチ操作をアクチュエーターによって自動で制御するという単純かつ低コストで生産できることから採用されてはいるものの、制御に関しては様々なシチュエーションに対応する必要があるため、きちんとした開発・検証が必要になる。
日本市場においてこれだけのトラブルが出るというのは、開発工数がしっかり確保されていなかったのかもしれない。
(このあたり、ホンダのDCTの度重なるリコール問題と同根のものだ)
それにしても。
リコール対象となる台数が18276台だそうで、2012年の販売開始から約2年間でこの台数というのは、確かにVWの日本市場における躍進の原動力になったのは間違いないが、VWが見込んでいた台数よりは少ないはずだ。
月販1000台行かないというのは、初期需要が一巡した後に失速したという指摘はその通りだと思う。
発売当初は軽自動車キラーとしてマスコミを騒がせ、最大の欠点であるASGに関しては『むしろMT感覚で乗れて好印象』みたいな提灯レビューが自動車媒体を飾っていたが、最近はそうしたメディア露出も減ってきた。
Ysplanning / 山本晋也 【Yamamotosinya】
@kaisendon まあ、あのミッションだと(正常に動いていても)厳しいでしょう。当初は話題になった赤外線センサーの自動ブレーキも、すぐにダイハツあたりの軽自動車にキャッチアップされてしまいましたしね。 at 06/18 18:23
山本さんからもこんなツッコミがあったように、up!の売りであった衝突軽減ブレーキもあっという間にキャッチアップされ、あえてup!を選ぶ理由というのはよほどの国産車嫌いぐらいのものなのかもしれない。
選択肢がいろいろあるのは大切なことなので、up!の存在そのものを否定するつもりはない。
何にしても、ドライバーが安心して運転できるクルマを出してくれればそれでいいと思う。
そういえば、プジョーさんも今年からETG5という同様の2ペダルMTを投入しているわけだが、基本構造は同じなので同様のトラブルを起こさないとも限らない。
果たしてこちらはどうだろうね?
この記事へのコメント
しの。
そーいう国産車嫌いな人たちは、わざわざ面倒臭いAMTなんぞを運転させられるくらいなら「頼むからMTで入れてくれ!」ってゆー人が多そうなのもまた問題ですよね。。。(^^;
エディ
プジョーの5ETGは大丈夫なんでしょうか。
最初はセミATを待っていたものの、最終的にはMTのアリュールにした理由の一つが、
「セミATは地雷」
という雰囲気を感じたからでした。
人間がクラッチ・ギア操作をするMTは、こういう不具合は起こらないわけです。
しの。
同じレポーターの記事ですが、プジョー2008の方は何だかup!をヨイショするダシに使われてしまったようで気の毒です。。。