撤退戦はいかに被害を少なくするかが勝負の分かれ目(2)



前回のエントリーで何が言いたいのかよくわからない御仁も多かろう。
ということで、ノートPCに求められる最低限の要件としての10キーとカーソルキーについて軽くまとめてみたい。

そもそもノートPCはラップトップ(膝上)PCなどとも言われるように、成り立ちはデスクトップPCの簡易環境を外出先でも実現することが目的で成り立ってきたジャンルだ。

それゆえに、デスクトップPCのキーボードと同じ使い勝手を実現には物理的な制限がある。

具体的には中、小型ノートPCでは10キーが省かれていたり、ファンクションキーが小さかったり、といった具合だ。

しかし、時代のニーズはラップトップ用途に加えて、デスクトップの代替品としてのニーズも高まるようになった。

多少性能が劣っても、オールインワンで済ますことのできるノートPCの利便性は多くの消費者の支持を受けている。
出荷ベースでもノートPCがデスクトップPCをはるかに凌駕する状況であることからも明白だろう。

そんなノートPCもモバイル用途ではスマートフォンやタブレットに役割が取って代わられつつあるが、むしろ生産性向上のツールとしてのPCは、よりデスクトップと同等の使い勝手を求められるフェーズに入ったと言える。

何が言いたいのかと言うと、

『ノートPCに必要なのは快適に使用できる入力装置が備わっていること』

ということだ。
それはすなわち、快適なキーボードということを意味する。

で、その視点から見てみると、たとえば現在のメインマシンであるInspiron1720。

アイソレーテッドキーボードが主流になる前のモデルということもあり、キーストロークが十分な上にどのキーもピッチが十分確保されている。

また特筆すべきはカーソルキーが少し下にレイアウトされていることで、ブラインドタッチにおいても迷うことなくカーソルキーに手が届き、またその流れの中で10キーによる数値入力を快適に行うことができる。

ノートPCにおけるキーレイアウトとしてはほぼ理想的なデザインであり、買い替えにあたってはここまで出来が良くなくても、ある程度これに類するデザインだったら良しとしようと思っていた。

で、いざ買い替えを検討してみると、カーソルキーと10キーの配置に無理のあるキーボードが多いことがわかった。

例えばこのキーレイアウトはASUSのK53TA。

K53TA_key1.JPG

15.6インチサイズにフルサイズのカーソルキーと10キーがデザインされている。
一見すると使いやすそうに見える。

しかし実際に指を置いてみると、このキー配列の欠点がすぐにわかる。

手元に10キーがある人は指を置いてみて欲しい。
無ければ電卓でも構わない。

親指がどの位置に来るか?
そう。この場合、親指は右カーソルキーの上に来てしまう。

10キーにおいて0のキーが大きいのは、使用頻度が高いのと、親指で押すためにある程度の大きさが必要になるためだ。

K53TAのレイアウトでは、カーソルキーと10キーの境目もなく0キーも小さいため、数値入力に関しては指の向きを斜めにしないとうまく打てないという、かなり残念な仕様になっている。

サブPCとして購入して使っていたが、どうしても使い勝手が悪いので、今年の頭に嫁用PCとして譲ってしまった。



じゃあ、カーソルキーを小さくしたらどうなのか?という発想になる。

現在多くの10キー付きノートPCでは、カーソルキーを小さくすることでレイアウトを工夫している。

国内メーカーの代表格であるNECのLavieLはこんな感じ。

LavieL_key.jpg

カーソルキーは小さいが、ちゃんと独立していて及第点レベル。(打ちやすいとは言えない)

それに対して富士通のLIFEBOOK AH77のキーボード。

FMV_AH_key.jpg

カーソルキーはNECと同じようなレイアウトだが、10キーは0が分割され「0」と「00」キーに分かれている。

このあたり、事務作業をする人で00キーが欲しい人もいるだろうが、あまり一般的ではない気がする。

店頭で実機をチェックしたが、キーピッチが狭いために、0を入力しようとして00を押してしまうことが結構あったので、個人的には評価していない。

富士通もその辺は迷いがあるようで、最近新たなモデルとして投入された、高齢者向けノートPCのブランドである「GRANNOTE」では、最大限に入力しやすいキーレイアウトとなっている。


l_tm_1404_grannote_09.jpg

同じ15.6インチのAH77のキーボードと比べても、カーソルキーが明らかに大きくなっている。

つまり、カーソルキーは大きい方が人に優しいレイアウトであることがわかっているということだ。

そんなわけで、これだけいろんなキーレイアウトがあるわけだが、話の発端となるhpのEnvy 17-j100のキーレイアウトを改めて見てみる。

ENVY_key4.JPG

10キーについては不満は無いものの、カーソルキーはその役割を果たしていない。

カーソルキーの改悪については、AppleのMacBookが先鞭を付けたわけだが、左右がフルサイズで上下が半分に分割されて1つの面積に押し込まれているのは、デザインでみると確かにスマートには見える。

しかし実際にこれを触ってみると、かなり注意深く操作しないと余計なキーを叩いてしまう。

カーソルキーという性格上、上下左右に思い通りに動かせなければ意味が無い。

ブラインドタッチはおろか、キーを見ながらでもストレスが溜まる。


誤解の無いように言っておきたいのだが、Envy 17-j100については、キーボード以外の部分については非常に満足度が高いのだ。

Inspiron1720を100点とすると、キーボード以外の得点は90点近くを与えられる。
2.5インチドライブベイは2つあるし、GeForce+FullHDの解像度で3D性能もある程度満足できるレベルであり、BDコンボドライブも付いて12万円ちょっとというのはコストパフォーマンスとしては悪くない。

しかし、このまったく使い物にならないキーボードはマイナス5億点を付けてやりたいぐらい怒りに震えている。

決断すべきはこのまま我慢して使い続けるか?それともより高額になってもいいから買い換えるか?

買い替えとなると、本体価格が上昇してしまうのに加えて、Envy用に購入したメモリと256GBのSSDがムダになる。
これだけでもけっこうな支出だ。

このまま使い続ければ、ストレスは溜まるが少なくともこれ以上の損失は出ない。

どちらにしても決断を下さなければならない。

返品期限は土曜日。

悩みはつづく。


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