dビデオの契約者数が思ったより伸び悩みを見せている中、さらに環境が厳しくなっていたNOTTVでありますが。
うぉっち対象としてはさして新しい話題も無く、当BLOGも昨年の10月のエントリーを最後に特に触れることもありませんでした。
契約件数についても右肩上がりから減少に転じたところまでは扱ってきましたが、その後150万契約近辺を推移し、3月末に160万契約を突破したあたりは一応情報としては押さえておりました。
で、その後3キャリアが契約件数の発表を毎月から四半期毎に切り替えたのに合わせて、NOTTVも毎月発表していた契約件数の発表を控えるようになりまして、これはもうだめかもわからんね、とか思っていたりもしました。
しかし、ドコモの夏モデルの発表に合わせて、従来は端末の魅力を前面に打ち出していたところを、最近はサービスに力を入れるように方向転換していることと連動して、従来のスマートフォンやタブレットに内蔵する形でしか閲覧することができなかったNOTTVが、外付けチューナー「TV BOX」として販売されることが発表されました。
とはいっても、フルセグとNOTTVのダブルチューナー、簡易ルーター、モバイルバッテリーも兼ねた製品ですので、どちらかというとNOTTVはオマケ的な扱いにはなっておりますが。
しかし、この製品が意味することはこのような使われ方になるわけです。
従来はNOTTVチューナー内蔵端末でしか閲覧できなかったわけですが、これからはiPhoneやチューナーを内蔵してないAndroidのグローバルモデルなどでも理論的にはNOTTVを観ることができるようになります。
高額キャッシュバックによる販売を3キャリアが自粛した結果、国産メーカーのスマートフォンが月販9万台に満たないという異常事態も発生しており、ヘタすりゃ年内にも事業撤退するメーカーがまた出てきそうな状況でもあったりして、わざわざNOTTVチューナーを内蔵したdocomo向けの端末を作る体力はあまり残っていない状況です。
NOTTVチューナー内蔵端末が売れない限り、視聴者のパイが増えないというビジネスモデルで、NOTTVがまともに事業を継続していける可能性は極めて低かっただけに、こうした外付けチューナーという方向に舵を切ったのは戦略としては正しいと思います。
付け加えるなら、dビデオに代表されるように、消費者は自分の好きな時間に観たい番組を観るというスタイルが定着しており、テレビ番組についても録画もしくはyoutubeなどの違法アップロードを利用することで、もはや番組表に則った放送というのはあまり意味をなさなくなっております。
つまり、持ち歩いていつでも観られることよりも、録画してそれを好きな端末で観られることの方が消費者が魅力に感じるポイントが多いことを意味します。
で、そんなNOTTVですが、視聴環境が改善されたのに伴い、新たな事業モデルへと移行を始めました。
NOTTVが放送されているV-Highと呼ばれる周波数帯は、従来のアナログテレビが仕様していた電波であったりするわけですが、現在サービスを提供しているのはNOTTVの3chだけというさびしい状況です。
NOTTVを皮切りにいろんな事業者に参入してもらおうとしたものの、地上波テレビの収益低迷など電波を利用した放送モデルの衰退もあり、新規参入はまったくありませんでした。
そんな状況がマズいということで、参入条件を緩和したところ、なんとか新しい事業者の参入が確定しました。
■スカパー・エンターテイメント
「スカパー!モバイル TV」(仮)
■アニマックスブロードキャスト・ジャパン
「アニマックス」
■AXNジャパン
「AXN」
■フジテレビ
「フジテレビONE スポーツ・バラエティ」
「フジテレビTWO ドラマ・アニメ」
■日本映画衛星放送
「時代劇専門チャンネル」
平成27年4月から放送開始となります。
いずれもスカパーやCATVで既に有料放送を行っており、それをそのまま流すだけなので、NOTTVのように独自のコンテンツを作ろうというつもりは無いようです。
そうした動きを見据えて、NOTTVも7月から従来の有料3chという編成から有料2ch、無料2chへとビジネスモデルを転換することになりました。
従来は有料契約をしなければ視聴できなかったところが、無料2chに関しては契約せずとも楽しめることになりました。
もちろんこれは「TV BOX」発売に合わせた施策であり、少しでもNOTTVの認知度を高めて有料契約へと持っていきたいということなのでしょう。
幽霊会員に支えられてここまで来たNOTTVでありますが、これからは他のメディアと同様の勝負をしていかなければいけないということになるわけです。
まぁ、ぼちぼち独り立ちしなきゃいけない時期でもありますしね。
今回の施策により契約者がまた右肩上がりで伸びるか?と問われると、たぶん大きな変化は無いと思います。
しかし、一度放送免許を取得することで事業として立ち上げてしまった以上、そう簡単に止めるわけにもいきませんから、関係各位はNOTTVの存在意義を自ら問い直し、自分たちにしかできない番組作りをしていくしか生き残る道はないのだということを肝に命じて精進して頂きたいものであります。
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